Reuters logo
コラム:日本株は「安倍プット」で買い継続へ
2013年11月19日 / 08:17 / 4年前

コラム:日本株は「安倍プット」で買い継続へ

[18日 ロイターBreakingviews] - By Peter Thal Larsen

11月18日、米経済が悪化しても米FRBが金融緩和で対応してくれるとの期待「バーナンキ・プット」に別れを告げ、その代役を日本の安倍晋三首相に期待しよう。写真は4月、都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

米経済が悪化しても米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和で対応してくれるとの期待「バーナンキ・プット」に別れを告げ、その代役を日本の安倍晋三首相に期待しよう。バーナンキFRB議長は債券価格を支えたが、安倍首相の進める改革は、株価上昇を支える。

約1年前から始まった「アベノミクス」相場。過去数カ月では足踏みしているものの、昨年12月の自民党による衆院選圧勝以来、日本の主要株価指数は55%上昇した。アベノミクス相場のここまでの買い主体は海外投資家だったが、それが変わると判断する十分な理由がある。

まず個人投資家の動向から見てみよう。10月1日から口座開設受け付けが始まった少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)は、来年1月からの導入を前に、口座開設申請者がすでに300万人を突破した。

この数字はさらに膨らむ可能性がある。野村総合研究所(NRI)が行った調査では、最大1000万人がNISA口座を開設する可能性が示された。これらすべての人が毎年の非課税投資枠の上限100万円を使い切り、現在の個人投資家の資産配分と同様、そのうちの23%を日本株に投資すると仮定してみる。野村によれば、そのケースでは向こう5年間で総額11兆5000億円の資金が、新たに個人投資家から株式市場に流れ込むことになる。この金額は、2013年10月末時点の日本株全体の時価総額の約3%に相当する。

実際の数字はそれより小さくなるだろう。すべての個人投資家が非課税投資枠の上限までは使い切らないだろうからだ。また、NISA口座に入る資金の一部は、既存の株式投資から吸い上げられるだろうからだ。ただ、それでもなお、NISA口座が、長らく預金や国債に意識が向いていた個人投資家の株式投資熱に再び火をつけることは間違いないだろう。

同じ理屈は、眠れる日本の年金基金にも当てはまる。年金基金のデフレ対応は過去何年も国債の買い貯めだった。しかし、いったんインフレになれば、そうして大量に貯め込んできた国債の資産価値は一気に下がる。それゆえ、安倍首相が任命した年金改革に関する有識者会議は、世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し、今月中にまとめる提言で、株式への投資配分を増やすよう求めるとみられている。

この変化は巨大なうねりとなる。GPIFの総運用資産は約120兆円だが、現在の日本株への投資配分比率は15%に過ぎない。それを25%に引き上げれば、新たに12兆円の資金が日本株に流入する。小規模な公的年金基金もGPIFに追随するだろう。

ただ、企業業績の改善が続かなければ、莫大な資金の流入観測だけで株価を支えることはできない。2013年7─9月期決算では多くの企業が増益となったが、ソニー(6758.T)や日産自動車(7201.T)が今期利益予想を下方修正したことは、大手企業の一部に依然として強い逆風が吹いていることをあらためて思い出させた。

一方、企業業績は、来年1月6日から算出・公表される新たな株価指数に押し上げられる可能性もある。「JPX日経インデックス400」は、株主資本利益率(ROE)や累積営業利益などを基準に40銘柄を採用するが、これは伝統的に企業が株主価値より大きさを優先してきた日本にとって大きな変化となる。野村証券チーフ・ストラテジストの田村浩道氏は、GPIFなどは新指数を資産運用のベンチマークとして採用する可能性があると指摘しており、そうなれば、企業の経営陣には資本をより効率的に使うよう圧力がかかるだろう。

株式市場への熱が続くかどうかは、安倍政権の改革の行方にかかっている。もしアベノミクスがつまずく兆候が明らかになれば、国内・海外の投資家はどちらも大急ぎで安全な国債投資に回帰するだろう。しかし、もしそうなれば、今度は日銀の出番となる。日銀はすでに大量の国債を購入しており、資産買い入れ規模を拡大するとすれば、購入対象の焦点は上場投資信託(ETF)のほか、個別株になる可能性さえある。日銀がすでにETFを年間約1兆円買い入れていることを考えれば、あながち「論外」だとは言い切れない。

以上のすべてを勘案すれば、日本株への「安倍プット」は当面継続すると考えていいだろう。

*筆者は「ReutersBreakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below