〔アングル〕たばこ自販機の成人識別導入でコンビニでの購買増加、各社に増額修正期待
清水 律子記者
[東京 11日 ロイター] 全国のたばこ自動販売機が順次「成人識別たばこ自動販売機」に移行するなか、コンビニエンスストアでたばこを購入する人が増えており、2009年2月期のコンビニ各社の業績へのプラス要因になりそうだ。各社とも、たばこ購入の増加を織り込んだ見通しを出しているものの「抑え気味」の計画としており、成人識別自動販売機が首都圏にまで拡大した後の消費者の動向によっては、増額修正の余地がありそうだ。
「成人識別たばこ自動販売機」は、未成年者の喫煙防止のため、3月1日にパイロットエリアとして鹿児島県・宮崎県で導入。来月には北海道と20県で導入され、7月までに全国に広げる。この自動販売機を利用する際には、成人のみに発行されるICカード、「taspo(タスポ)」が必要になるため、自販機でのたばこ購入に際して不便さがつきまとう。
すでに「タスポ」がスタートした宮崎県・鹿児島県では、導入から1カ月しか経っておらず喫煙人口の3分の1程度にしか普及していないこともあり、コンビニ各社でたばこの売上高が大幅に伸びているという。
こうした動向を踏まえ、ファミリーマート(8028.T: 株価, ニュース, レポート)は、2009年2月期の既存店売上高前年比2.5%増(前期は0.9%増)のうち1%は「タスポ効果」をみている。上田準二社長は「エリアフランチャイズの南九州ファミリーマートでタスポがスタートしたが、たばこの売り上げは2倍になっている。単純に計算すると、ファミリーマートで240億円の売り上げ増となるが、120億円と保守的に織り込んだ」と述べた。
ローソン(2651.T: 株価, ニュース, レポート)も既存店売上高前年比4.0%増(前期は0.8%減)のうち、3.5%は「タスポ」によるものとみている。新浪剛史社長は「宮崎県・鹿児島県ではもっと、売上高が伸びており、現在のトレンドからするともっと上の数字になる。ただ、タスポがもう少し普及することを加味して試算した」と述べ、導入間もない現状よりも「タスポ」の普及が高まることで、コンビニでの購買は宮崎県・鹿児島県ほど伸びない可能性を見て、慎重な織り込み数字としたことを明らかにしている。
コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパン(セブン&アイ・ホールディングス(3382.T: 株価, ニュース, レポート))は、08年2月期まで8年連続で既存店売上高がマイナスとなっていたが、09年2月期は前年比0.5%増(前期は1.5%減)とプラス転化を見込む。プラス転化には、店内のフライヤー(揚げ物用調理器具)で調理したファスト・フード商品取扱店の拡充やプライベートブランドの強化、ネット販売の開始などの寄与を見込んでいる。同社では「セブン―イレブンの店舗がある宮崎県だけでは、たばこ販売増の広がりが読めない」(広報)とし、既存店売上高の見込みには、ほとんど含んでいないという。このため「もう少し広がりを見て、本当に効果があれば、数字を上積みする可能性がある」(同)としている。
コンビニ各社では、たばこ購入客増に対応した施策を考えている。たばこの場合、自分の決めた銘柄を購入する消費者が多いため、店頭に置くたばこの銘柄を増やしたり、カートンでの購入増への対応を検討。このほか、たばこ購入に加え、これまで来なかった顧客がコンビニに立ち寄ることも予想されるため、たばこを購入するついでに何かを買う際にニーズのありそうな商品の品揃えも考えていく、という。
日本たばこ協会によると、全国の喫煙人口は推定で約2600万人。このうち、タスポ発行枚数は185万枚で7.1%となっている。導入から1カ月が経過した宮崎県では喫煙人口の28.8%、鹿児島県では26.1%が「タスポ」を取得している。
また、日本たばこ産業(JT)(2914.T: 株価, ニュース, レポート)によると、たばこの販売は、金額ベースでみると、自動販売機と対面販売が半分ずつ、機会ベースでは自動販売機と対面販売は6対4程度になっている。
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