再送:〔焦点〕信用収縮の懸念が再燃しCDSワイド化、サムライ債の発行延期が相次ぐ

2008年 06月 27日 07:35 JST
 
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*この記事は26日17:10に配信しました。

 伊藤 武文記者

 [東京 26日 ロイター] クレジット市場では、米金融機関の業績悪化から信用収縮への警戒感が世界的に強まっており、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に絡むクレジット危機が最悪期を脱したとの見方が大きく後退している。日本のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の指数は3月の200ベーシスポイント(bp)水準までワイド化するとの見方まで出てきている。この影響でサムライ債(円建て外債)の発行を計画していた海外金融機関が起債を延期するケースが増えており、資金の調達計画にも支障が出ている。

 <モノラインのさらなる格下げ想定>

 信用収縮に対する最大の不安材料として、マーケットでは、米金融保証会社(モノライン)のさらなる格下げが想定されている。ムーディーズは19日、モノラインのアムバック・フィナンシャル・グループ(ABK.N: 株価, 企業情報, レポート)とMBIA(MBI.N: 株価, 企業情報, レポート)の保証部門の格付けを、資本調達能力の低下などを理由に引き下げた。モノラインの格下げについて、ある銀行系証券のクレジットアナリストは「厳しい第2・四半期決算となっている米金融機関の資産価値を一段と劣化させる可能性がある。モノラインの格付けがAAを下回れば、金融機関が抱える資産に対する引当金が増えることになるほか、金融機関が保有している債務担保証券(CDO)の格下げが相次ぐことも考えられる」とみている。

 7月に第2・四半期決算の発表を予定している米大手銀行のシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)<0#1226=JFI>が19日、かなりの評価損を計上する可能性を明らかにしたほか、米バンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価, 企業情報, レポート)<0#1237=JFI>は23日、米証券大手のメリルリンチMER.N<0#1108=JFI>とスイス金融大手のUBS(UBSN.VX: 株価, 企業情報, レポート)(UBS.N: 株価, 企業情報, レポート)の第2・四半期決算で一段の評価損が見込まれるとの見方を示しマーケットに衝撃を与えた。米金融機関の健全性について、JPモルガン証券・クレジット調査部長の中空麻奈氏は「業績が悪化している地銀、ノンバンクなどのデフォルトリスクを警戒する見方が一部に出始めている」と述べた。

 <日本CDS指数、200bp水準までワイド化も>

 日本のCDS市場では、指標となるiTraxxJapanシリーズ9ITXCK5JA=GFIのプレミアムが、4月以来となる130bpを上回って取引される局面にあり、長い期間80─90bpで形成してきたボックス圏を大きく上に放れた。モノラインの格下げなどを背景に、米クレジット市場の信用不安が増していることを警戒している。

 マーケットでは、モノラインの格下げに加え、米住宅価格が下げどまらず金融機関が保有する証券化商品の評価損がさらに膨らむことを想定。内外CDSの指数にワイドニング圧力がかかりやすくなっている。シリーズ9のプレミアムの場合もクレジット危機の最悪期を脱したとの見方から、5月中旬には60bp台前半までタイト化していたが、現在は4月中旬の130bp水準にまで上昇している。CDS指数が株への連動性を強めているだけに、米ベアー・スターンズ<0#1235=JFI>が救済された3月の水準まで米株が下落したことから判断すると、「シリーズ9もクレジット危機の最悪期とされた3月の200bp水準までワイド化してもおかしくない」(国内証券)との見方が出ている。

 3月のクレジット危機の局面では、米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利下げや資金供給策を打ち出したが、24─25日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.00%に据え置かれた。金利据え置きは、クレジット市場の混乱の中、経済への下支えとして一連の利下げを開始した2007年9月以降初めてのことになる。会合後の声明では「成長への下振れリスクは引き続き存在するが、幾分低下したようで、インフレとインフレ期待の上振れリスクは高まった」とした。声明について、ある国内投信投資顧問シニアストラテジストは「インフレリスクに対する警戒姿勢を鮮明に打ち出したことで、利下げは考えにくくなった。クレジット市場で再び信用収縮への警戒が強まっている局面だけに(利下げの打ち止めは)気がかり」とみている。

 <海外金融機関のサムライ債の発行延期相次ぐ>

 クレジットに対する危機感が高まる中、サムライ債の発行を計画していた海外金融機関が起債を延期するケースが増えている。サブプライムローン問題を背景とした信用収縮への警戒が再び強まっており、投資家が海外金融機関の発行するサムライ債への運用に慎重になっているためだ。みずほ証券・金融市場調査部シニアクレジットアナリストの石原哲夫氏は「米景気、デフォルト率、金融機関の追加損失、金融機関やモノラインの格付けなどに不透明さが増していることが影響している」と述べた。複数の市場筋によると、18日にサムライ債の利率など発行条件を決める予定にあった米保険大手のプルデンシャル・ファイナンシャル(PRU.N: 株価, 企業情報, レポート)、豪保険大手のサンコープ・メトウェイ(SUN.AX: 株価, 企業情報, レポート)が起債を延期したほか、米証券大手のメリルリンチも25日の起債を見送った。「6月中旬以降、サムライ債の起債環境は明らかに悪くなっている」(国内大手証券)との指摘が出ていた。

 <消費者金融プレミアムがすさまじい勢いで上昇>

 一方、日本のCDS市場では、消費者金融のプレミアムの上昇が止まらない。上昇の勢いはすさまじく、わずか1週間で、武富士(8564.T: 株価, ニュース, レポート)<0#8564=JFI>が110bp、アイフル(8515.T: 株価, ニュース, レポート)<0#8515=JFI>が150bp、アコム(8572.T: 株価, ニュース, レポート)<0#8572=JFI>とプロミス(8574.T: 株価, ニュース, レポート)<0#8574=JFI>が70bpワイド化した。消費者金融の急激なワイド化について、ある外資系証券のクレジットアナリストは「消費者金融は厳しい局面を迎えている。モノラインの保証を活用した証券化で資金調達を行ってきたところもあるだけに、モノラインの格下げは資金繰りに支障が出る可能性がある」と話した。消費者金融のワイド化は、信用収縮の影響を受けやすい銀行や損害保険など他の金融機関に波及しており、プレミアムの気配は水準を一気に上げている。

 日本のCDSを取引する投資家の多くは、信用収縮への警戒から、高い保証料を払ってでもリスクをヘッジしようとする動きを強めている。今後の見通しについて、三菱UFJ証券・クレジット市場部の水谷伸政氏は「クレジットスプレッドの拡大に備えて、信用リスクを回避するプロテクションの買いポジションを高める方向にある」とみている。

 ある国内証券のクレジットアナリストによると、3月でクレジット危機の最悪期を脱したと判断した投資家は、信用リスクを取るプロテクションの売りポジションに向いたところも多く、ワイド化が進んでいる現在は、かなりの損失が出ている計算になる。「一部の海外投資家は、信用不安からプレミアムが急上昇している消費者金融をマーケットが落ち着いていた4月ごろからプロテクションの売りポジションで積極的に手がけてきただけに、思惑をはずしたところがある」(銀行系証券)との見方が出ていた。

 (ロイター日本語ニュース 伊藤 武文記者 編集 橋本浩)

(takefumi.ito@thomsonreuters.com;03-6441-1793;ロイターメッセージング:

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