〔FEDフォーカス〕米地区連銀制度、議会の一部で見直し論

2009年 05月 13日 18:10 JST
 
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 [ジキルアイランド(米ジョージア州) 12日 ロイター] 米政府による銀行救済をめぐり国民から怒りの声が上がったが、議会では矛先が連邦準備理事会(FRB)制度の見直しに向けられている。ただ、内部関係者の間では、金融政策が政治化し、やや変わっているものの効果的な地区連銀制度の機能が不当に損なわれるとの懸念も出ている。

 議会の有力議員は、FRB制度の見直しの必要性について議論しているほか、最近の予算案の中に12地区連銀の数とコスト見直しに道を開く文言を挿入している。

 12地区連銀の総裁とワシントンのFRB理事7人は、約100年前に当地での会議で策定された青写真のもと、金融政策の立案や米国の支払いシステムの運営のほか、大手銀行の監督などの業務を行っている。

 カンザス地区連銀のホーニグ総裁は今月1日、ロイターとのインタビューで地区連銀制度について「関係者が議論を始めた1907年と発足した1913年には12の地区連銀は必要なかった」と指摘。「国中から独立した意見を聞いて主要な政策議論にまとめることが必要だったため設立された」述べた。

 1910年、当時の金融機関経営幹部らはカモ猟の格好に変装し、密かにジキルアイランドに集結し、1907年の金融恐慌の教訓を活かし、金融危機対策のための青写真を策定した。

 銀行規制見直しのため「国家金融委員会」の委員長に任命されていた当時のネルソン・オルドリッチ上院議員(ロードアイランド州選出)が、この秘密会議を主導したが、国内の金融機関が国にかわって金融政策の策定にかかわることに対し、国民から非難されることを回避するため、会議は極秘裏に進められた。

 この会議にはJPモルガンのパートナーであるヘンリー・デビソン氏、ナショナル・シティ・バンクのフランク・バンダーリップ社長、クーン・ローブのパートナーであるポール・ウォーバーグ氏らが出席した。この会議では、現在のFRBの基礎となる1913年の連邦準備法のたたき台が議論された。

 当地では現在、昨年顕在化した金融危機とその対策をめぐる年次会合が開かれており、政策担当者や金融機関関係者のほか有識者らが出席している。

 現在の金融危機の元凶は、米国の金融機関が考え出した複雑な証券とされているため、一部の地区連銀関係者は、国民の反発の矛先が地区連銀制度に向けられことは不当だとみている。

 カンザス地区連銀のホーニグ総裁は4月21日、上下両院合同経済委員会での証言で「ウォールストリートで発生した危機の結果、ウォールストリートが国内の他部分の犠牲の上に力を得ることになれば、皮肉な話だ」と述べた

 <政治的説明責任>

 議会で出ている批判の1つは、地区連銀の総裁が民主的な方法では選出されず、地元の銀行家や経済界幹部らで構成される地区連銀理事会が選出している点だ。

 ただ、一部のFRB関係者は、これは弱点ではなく強みであると指摘する。

 リッチモンド地区連銀のラッカー総裁は今月4日、「12地区連銀の構造は役に立っている。これにより短期的な、党派や政治的圧力から金融政策を守ることができる」と述べた。

 FRBの正副議長は大統領が選び、上院での指名承認が必要となる。

 地区連銀の総裁は、FRB理事会の承認が必要なものの、経済界出身の地元理事らに選出され、FRR理事よりもタカ派である傾向が強い。

 他の条件が同じであれば、地区連銀総裁はインフレ抑制のため金利を引き上げる可能性が高い。そのため短期的な成長が抑制され、失業も増えることになる。

 このことは政治家には不人気だが、FRBに対するインフレ抑制信認度は高まる。

 現代の中央銀行関係者の間では、インフレと失業のトレードオフ関係は続かないことが常識になっている。物価安定を確保できなければ、経済成長が減速し、長期的にも雇用が減ることになる。

 FRBのバーナンキ議長も11日、持続可能な成長に戻り物価安定を達成するため、時宜を得た方法で金融緩和から脱却する方針を示した。

 12地区連銀制度については、連銀の所在地がミシシッピ川以東に偏り過ぎているほか、カンザスシティーとセントルイスというミズーリ州の2地区連銀は、1913年当時の米経済を反映したもので、09年の経済実態を反映していないとの批判もある。

 ただ、この制度が政策決定過程にもたらす視野の広さはプラス要因であるとの見方が多い。

 (Alister Bull記者;翻訳 宮本辰男;編集 内田慎一)

(tatsuo.miyamoto@reuters.com; 03-6441-1864; tatsuo.miyamoto.reuters.com@reuters.net)

 
 

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