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コラム:「トランプ相場」を乗り切るヒント
2017年2月1日 / 05:27 / 9ヶ月後

コラム:「トランプ相場」を乗り切るヒント

[30日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏の登場により、ようやく投資家は、自分たちと同じくらい頻繁に間違いを犯す大統領を得た。米大統領の政策がこれほどまでに予測不能で、強い感情を呼び起こす力を持ったことは、恐らく史上初めてだろう。

 1月30日、ドナルド・トランプ氏の登場により、ようやく投資家は、自分たちと同じくらい頻繁に間違いを犯す大統領を得た。写真は2016年12月、ニューヨーク証券取引所のスクリーンに映るトランプ氏(2017年 ロイター/Andrew Kelly)

国家としてはともかく、投資家にとって短期的により大きな危険をもたらす可能性があるのは、トランプ大統領が何をやるかではなく、投資家がそれにどのように反応するか、である。

敵を目の前にしたとする。トランプ大統領は、私たちとほぼ同じように行動する。過剰反応を起こし、本能に従い、自分自身の知識と能力をひどく過大評価してしまう。彼がヘッジファンドの経営者ならば、資産査定(デュー・デリジェンス)の最も基本的なプロセスでさえクリアできないだろう。

トランプ大統領は、最悪の投資家の多くと同じように行動している。だがここでのポイントは、彼に刺激されて大失敗をやらかさないようにすることなのだ。

トランプ大統領が何をするのか、経済や世界にどのような影響が生じるのか、ひいては、それが証券や資産価格にどのような影響をもたらすのか――私たちはそれを予測できない可能性が高い。そう考えると、トランプ政権の誕生は、愚かな投資行動に関する壮大な実験という様相を帯びつつある。

もちろん、いま分かっている限りにおいて、トランプ氏の政策が何の影響ももたらさないという意味ではない。現時点での筆者の考えでは、特に貿易に関する彼の発想は、インフレを進行させ、長期的な経済成長を阻害するだろう。株式などリスク資産にとっては、有害な組み合わせである。

しかしこれは、そうした見解に基づいて利益をあげることが可能である、という話ではない。トランプ氏を嫌悪する人にとっても彼を高く評価する人にとっても等しく言えることだが、危ういのは、投資家が「強い感情」を「妥当で実践可能な投資分析」と取り違えてしまうことなのだ。

「いま投資家のあいだでは、今後1年間の利回りや価格動向はトランプ大統領の動き次第、という気分が広がっている。だがこれはほぼ確実に間違っている。私たちは恐らく、世界各国の政策当局者を相手にするのと同じようなやり方でトランプ大統領にもアプローチするべきだ。つまり、雑音を気にしすぎることなく、実際の政策決定が行われるのに応じて、その方向性と規模を評価するということだ」

資産運用会社M&Gインベストメントのスティーブン・アンドリュー氏は、顧客への書簡でこのように書いている。

<政治的信念が判断を狂わせる>

確かに「雑音」はたくさん聞こえる。だが今のところ、投資家はトランプ大統領就任を、株式にポジティブ、国債にはネガティブな材料と考えているように見受けられる。S&P500指数はトランプ氏の当選以来9%上昇し、10年物米国債は価格下落により、利回りが4割以上アップして2.48%に達した。

「とはいえ、純粋に投資という視点から見れば、トランプ政権発足についてさらに分析を進めるとどういう結論に至るかは、あまり明確ではない。ただ、過度に『知識』を装った、早合点の意見が出てくるだけだ」と前出のM&Gインベストメントのアンドリュー氏は書いている。

国境税の導入がドル高を招くという想定でドル上昇に大きく賭けた投資家は不利な立場に追い込まれつつある。国境税を既定路線と見なして小売企業の惨状を予想した投資家も同様だ。

前回、政策をめぐる熱心な賛否が見られた頃、つまりグローバルな金融危機と銀行救済の時期に、たとえ非常に洗練された投資家であっても運用実績が振るわなかったというデータを見ると、現在の危険の一端がうかがわれる。

2016年に発表されたある学術研究では、ヘッジファンドの運用実績とそのマネジャーによる政治献金との関連を検証し、「民主党支持」「共和党支持」のファンドがどのような実績を上げたのか測定することを試みた。

それによれば、2008年12月から2009年9月まで、民主党支持のファンドマネジャーの運用実績は共和党支持のファンドマネジャーを月当たり72ベーシスポイント上回った。この研究における他の期間では類例を見ない、際立って大きな差である。

当時は、各市場における重要な時期だった。株式市場が下降局面を終え、オバマ政権による財政出動と銀行優遇政策を一因とするV字回復が始まった頃である。

この研究の執筆陣は、共和党系のファンドマネジャーの運用実績がふるわなかったのは、政治的な信念が投資判断に過剰な影響を与えたことによる部分があるのではないかと推論している。恐らく彼らは、数年前に「ブッシュ恐怖症」に罹患した人々と同様に「オバマ恐怖症」の症状に苦しんでいたのだろう。

今日と2008年、またオバマ氏とトランプ氏の違いはたくさんある。しかし、現在のわが国の大統領が強い感情を引き起こすこと、そして彼のポリシーミックスと政権運営スタイルが従来に比べてはるかに個性的であることは断言できよう。

そのことは、最終的にはリスク資産にとってマイナスに働くと筆者は推測している。しかし当面は、どちらの方向にせよ、大きな賭けに出ない方が賢明であろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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