ユーロは下値模索、ギリシャ債務交換協議難航も重しに=今週の外為市場

2012年 01月 16日 07:25 JST
 
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 [東京 16日 ロイター] 今週の外国為替市場で、ユーロは下値模索の展開になりそうだ。スタンダード&プアーズ(S&P)は13日、フランスなどユーロ圏9カ国の格下げを発表。ユーロは対ドルで1年5カ月ぶりの安値をつけたほか、対円でも11年ぶりの安値を更新した。ショートポジションが過去最大に積み上がっていることから、買い戻しは入りやすいものの、投資家の目線は依然下向きだ。ギリシャ債務交換協議が難航していることも重しになる可能性が高い。一方、ドル/円は、ユーロ売り/ドル買いの動きがサポートして、底堅い展開になる公算が大きい。

  

 予想レンジはドル/円が76.00─78.00円、ユーロ/ドルが1.2500─1.2850ドル。

 13日の海外市場は大荒れの展開となった。EBSでユーロ/ドルEUR=EBSは一時1.2624ドルと2010年8月以来の安値をつけたほか、ユーロ/円EURJPY=EBSは97.20円と2000年以来の安値を更新した。

 このきっかけとなったのが、S&Pによるユーロ圏9カ国の格下げだ。これにより、フランスやオーストリアが最上級の「トリプルA」格付けを失った。ユーロは、格下げ観測が出た欧州市場で急落。このため、実際の発表後の反応は限定的だったが、引き続き下値リスクが強く意識されている。

 アナリストからは、ギリシャの債務負担軽減をめぐる民間債権者との協議が中断したことがより大きな重しとなった、との声も聞かれた。

 ウェストパックのシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は「ギリシャはおそらく先進国としては60年ぶりにデフォルト(債務不履行)することになるだろう」と述べた。同氏は「ユーロの下落基調は終わっていない。ユーロのショートポジションは極端な(高)水準となっているものの、市場の主体がすべてショートにしているわけではない」と指摘。「ユーロは一段の下落余地がある」として、ユーロ/ドルは今週末までに1.25ドルまで下落する可能性がある、との見方を示した。

 ウェルズ・ファーゴの為替戦略責任者、ニック・ベンネンブルック氏も「(ギリシャの債務交換交渉は)ニュースを見る限り、まだ流動的なようだ。ユーロは一段と下落する可能性がある。すでに大幅に値下がりしているが、1.25ドル近くまで下げるとみている」と口を揃える。

 国際金融協会(IIF)は13日、ギリシャ政府との債務交換協議を中断したことを明らかにした。IIFは声明で「現在のような状況下で、自発的に(債務再編に)参加することのメリットをじっくり検討するため、ギリシャ当局との協議を中断した」と説明。「ギリシャ政府の努力にも関わらず、提示された案は、(民間債権者の)自発的な債務交換という10月末のユーロ圏首脳会議の合意事項に沿った、全ての関係者による建設的な反応を得られていない」との認識を示した。

 

 ユーロをめぐっては、欧州中央銀行(ECB)の3年物資金供給オペなどで流動性懸念が一服していることに加え、心配されていたユーロ圏諸国の国債入札も順調にこなしていたことから、ショートカバーが入りやすい地合いにあった。IMM通貨先物の取組でユーロの売り越しは過去最大に膨らんでおり、「これだけショートが溜まっていれば、ある程度整理したいに決まっている」(大手邦銀)との声も出ていた。

 ただ、今回の格下げで、ユーロ圏の借り入れコストは全般的に上昇する可能性が高く、債務問題はさらに深刻化しかねないとの見方も浮上している。今後は欧州金融安定ファシリティ(EFSF)の資金供給能力に懸念が生じやすくなるほか、欧州大手銀行や企業、政府系機関などが相次いで格下げされる恐れもあり、市場参加者は更なる下落リスクに警戒を強めている。

 こうした中、今週はフランスやスペインで格下げ後初となる国債入札が予定されている。堅調であれば、ユーロのショートカバーを誘いやすいが、市場では仮にショートカバーが入ったとしても上値は限定的だろう、との見方が目立つ。

 一方、投資家のリスク姿勢に影響を及ぼしやすい米経済指標では17日に1月ニューヨーク連銀製造業景気指数(連銀)、18日に12月鉱工業生産、19日に1月フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数の発表などが予定されている。市場では「現時点では米経済の堅調さを裏付ける数字になりそう」(外資系証券)との見方が出ており、リスクオンの流れになればユーロ/ドルの反発につながる可能性もあるが、戻り売り圧力も強そうだ。

 IGマーケッツ証券為替担当アナリスト、石川順一氏は「国債大量償還、ギリシャやフランスの選挙などイベントが目白押しで、簡単にユーロ買いとは言えない。金融政策のスタンスの違いも、じわじわとボディーブローのように効いてくる可能性がある」といい、引き続きダウンサイドを警戒する必要があるとみている。

 一方、ドル/円は、ユーロ/ドル下値模索の影響を受け、底堅い展開になる可能性が高い。もっとも、77円台には輸出企業の売りが控えており、上値も限られるとの見方が多い。

 (ロイターニュース 志田義寧)

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