ヘッジファンド規制の対象は個別ファンドでなく運用会社に=野村AM社長

2007年 11月 9日 18:57 JST
 
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 [東京 9日 ロイター] 野村アセットマネジメントの柴田拓美社長は9日、ヘッジファンドに対する規制のあり方について「個別ファンドや運用手法を対象にするのではなく、運用会社やプライムブローカーなどの関係者を対象にするべきだ」と指摘した。

 また、システミックリスクの管理については、ヘッジファンドに対してつなぎ融資や証券保管サービスなどを提供するプライムブローカーに対して細心のリスク管理や異常なポジションの報告などを求めるとともに、自主規制の強化を促すべきとの見解を示した。

 日米欧など証券当局で構成される証券監督者国際機構(IOSCO)が東京で開催した国際会議のパネルディスカッションで述べた。

 

 柴田社長は賢明な規制のアプローチとして、当局はヘッジファンドと伝統的なファンドとを平等に扱い、既存の監督権限や手段を活用して運用会社、受託銀行、プライムブローカー、運用アドバイザーなどヘッジファンド関係者を規制の対象にすべきだと述べた。

 実体がつかみにくいとのイメージがあるケイマン籍などのオフショアファンドについても、実際の運用担当者はニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの大都市に在住している場合が多く、規制対象を個別ファンドではなく運用会社にすれば実態の把握が可能になるとの見方を示した。

 世界のヘッジファンドの運用額は1兆7000億ドル、ファンド数は9300本以上で、全てのファンドのポジションを監視するような「過剰規制は避けるべき」と警告した。

 規制当局が課題とするシステミックリスクについては、リスク回避のためにはヘッジファンドに流動性を供給するプライムブローカーへの監督権限を有効活用するべき、と指摘した。「プライムブローカーはヘッジファンド業界のシステミックリスクを管理するカギを握っている。天国にも地獄にも行くカギを握っている」とし、市場ポジションに大きな偏りがある場合はプライムブローカーが当局に報告することなどを求めるよう提言した。

 同席した香港証券先物委員会のマーティン・ウィートリー最高経営責任者(CEO)は、ヘッジファンドは複数のプライムブローカーを使い、複数の国で取引をしているため、単一のブローカーが全てのポジションを把握できないとし、「プライムブローカー、ファンド、規制当局など複数のレベルで対話を持つ必要がある」と述べた。同時に各国間の協力の必要性も強調した。

 <プロ投資家と一般投資家の境界線が薄れる>

 同パネルに参加した仏アセット・マネジメント協会のアラン・ルクレアー会長によると、ヘッジファンドは米国やアジアでは株式手数料全体の35─40%、ニューヨーク証券取引所やロンドン証券取引所では1日の出来高の40─50%、世界全体の為替取引高の10─15%を占めるほど「市場への影響力が大きくなっている」。同時にリスクの発生源としての存在感も拡大しているため、同会長は規制の導入は必要との見方を示した。

 しかし、規制が厳し過ぎるとオフショアファンドが想定外に拡大する一方、緩過ぎるとオンショアファンドに対して適切な水準の安全性を担保できないと警告した。

 望ましい選択肢としては野村アセットの柴田社長と同様に、運用担当者やプライムブローカーなどヘッジファンドの「プレーヤー」に焦点を当てた規制を挙げ、業界の自主規制への動きを阻害しない形が必要とも指摘した。そのうえで、オンショアヘッジファンドとファンドオブヘッジファンドへの規制を導入したフランスの規制は、金融革新と預金者保護の適度なバランスを保っている「成功例」との見方を示した。

 同会長は、プロ投資家や適格機関投資家向けのヘッジファンドも、ラップ口座への採用などで一般投資家向けにも販売されるようになっており、「ヘッジファンドのリテール化を避けることは不可能」と述べた。一般投資家とプロ投資家の境界線があいまいになりつつあるため、今後はヘッジファンド活動を阻害するのではなく、ヘッジファンドの拡大を支えるために、一般の個人投資家を視野に入れた規制が検討されるべきとの考えを強調した。

 しかし、同席した米国マネージド・ファンド協会(MFA)のジョン・ゲイン会長は、進化を続けているヘッジファンドにはリスクが伴い、プロの投資家だけに供給されるべきで、「MFAとしてはヘッジファンドのリテール化を支持しない」との考えを示した。

 
 

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