WRAPUP1: 日銀総裁人事は第2ラウンドへ、民主不同意なら再提示・空白リスクも

2008年 03月 7日 21:42 JST
 
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 [東京 7日 ロイター] 政府は7日、議院運営委員会の両院合同代表者会議に新日銀総裁の候補として武藤敏郎・日銀副総裁を昇格させ、2人の副総裁の候補として白川方明・京大大学院教授(元日銀理事)と伊藤隆敏・東大大学院教授(経済財政諮問会議議員)を充てる人事案を提示した。しかし、参院で過半数を握る野党からは武藤氏の昇格に異論が続出しており、野党が過半数を握る参院で不同意の結論が出た場合、人事案は白紙に戻る。福井俊彦日銀総裁の任期は3月19日で満了となるため、不同意の場合は、人事案の再提示が必要となり、日銀総裁が空席になるリスクも高まる。総裁人事は来週以降、同意人事で事実上の拒否権を握る民主党の対応が焦点となる。

 

 候補者から金融政策のスタンスなどを聞く所信聴取は11日に行われ、その見解を材料に来週中に開かれる予定の衆参両院の本会議で各党が同意か不同意か、意思を表明する。衆院の笹川尭議院運営委員長によると、11日午前9時45分から開催される衆院議院運営委員会で、武藤氏らから2時間15分の予定で所信を聴取する。その後、参院でも午後2時から同様の手続きが行われる。

 民主党では所信聴取を踏まえて同日の部門会議で適格性の検討を行い、夕方の国会同意人事に関する検討小委員会で意見をまとめる。その後、同日中に小沢一郎代表ら同党の役員会で最終的な判断を下す方針だ。

 

 内外の市場関係者が日銀総裁人事に注目するのは、手続きが遅延した場合、総裁不在の可能性もあるためだ。武藤敏郎、岩田一政両副総裁の任期も、福井総裁と同時に3月19日で満了する。もし、19日までに人事案が決まらない場合、日銀政策委員会のメンバー9人のうち、審議委員6人を除く総裁、副総裁の計3人が欠員になるという異常な状態に直面する。

 

 <11日の所信聴取が大きな節目>

 

 当面は11日の所信聴取が大きな節目となる。民主党内には武藤氏が元財務次官であった点から、日銀総裁就任は財政・金融の分離原則に反するとの声が強い。だが、与党内からは、所信を聞いて武藤氏から矛盾する見解を引き出せない場合、民主党の主張が正当性を失って、最終的に同意することになるのではないか、との見通しも出ている。

 また、空席になった場合に「民主党の責任が注目され、政権担当能力に疑問符が付く」(都銀関係者)との声がマーケットからも出ており、民主党に対して世論が厳しい目を向ける可能性もある。こうした情勢の下で、与党内には民主党が所信聴取を機に同意に傾くとの観測も出ている。

 

 <民主党内で根深い武藤氏に反対する声>

 

 ただ、財金分離を掲げる民主党内には、依然として武藤氏の昇格に反対する声が多い。同党の川端達夫副代表は7日午後、政府の提案を受け、「われわれの求める日銀総裁像とかなりずれている」と指摘。

 渡辺周・同党税調副会長はロイターの取材に対し、民主党が武藤氏の昇格に同意しないと暗に伝えていたにもかかわらず、あえて提示してきたことに対し「政治的な駆け引きだ」と批判、「総裁ポストを空席にしても、政府案を突っぱねる」と答えた。同党の大塚耕平参院政審会長代理も、6日のロイターとのインタビューで「党内の雰囲気は限りなく不同意に近い」と述べていた。

 こうした党内の声を背景に鳩山由紀夫幹事長は7日午後の会見で、「(党内を)まとめるのは容易ではないと認識している」と不同意の可能性を示唆。

 その上で、同意人事の採決を行う衆参両院本会議の開催日程について、政府・与党が打診している14日を2日前倒し、12日開催を求めていく考えを明らかにするなど、政府案の再提示を視野に入れた発言を行っている。

 武藤氏への反発が根強い民主党の同意人事検討小委関係者からは、前倒しで作業を進める背景について「仮に否決ということになっても再提出できるぐらいの考慮をした」との声さえ聞かれた。

 町村信孝官房長官は政府案提示後、国会に山岡賢次・民主党国対委員長を訪ね、日銀人事に対する理解を求めたが、山岡氏は民主党内の厳しい情勢を伝え、進展はなかったもよう。民主党以外の野党からも、武藤氏昇格に反対する声が上がっている。国民新党の糸川正晃国対委員長は7日午後、武藤氏は財務省出身であり、日銀総裁に適任ではないと記者団に語った。

 

 <党首会談でも思惑交錯>

 

 これに対して、政府・与党は不安定な金融市場の混乱回避の必要性や、武藤氏の5年間の日銀副総裁として実績を前面に掲げ、財金分離論を突破したい考え。

 福田康夫首相は7日夜の会見で政府案を「世界経済の変化は非常に大きく、十分気をつけて金融政策・経済運営をしていかなければならない時期で、そうした課題に立ち向かえる人選」と自賛。

 額賀福志郎財務相は同日夕の会見で、武藤氏について「財務省出身だが、5年間、日銀副総裁としてしっかりと金融政策、日銀のマネージメントの実績を残してきた。日銀総裁として十分に職責を全うしてくれる」と期待感を表明し、自民党の伊吹文明幹事長も「(武藤氏は)常識的には、海外市場や国内市場など市場に一番安心感を与える人ではないか。また、この5年間で日銀での経験も積んでいる」と強調した。

 他方、政府案への批判を強める民主党など野党に対しては「中央銀行の人事問題は政局に結びつけることがあってはならない」(北側一雄・公明党幹事長)と強くけん制する声が上がっている。

 北側幹事長は、福田首相が6日に前向きの見解を示した小沢一郎民主党代表との党首会談の開催について「(日銀総裁の)空白を作ることはできない。そういう判断があってもおかしくない。総理の判断を尊重する」と援護した。

 ただ、これに対して山岡国対委員長は「一般的には(党首会談の可能性は)ない」と否定。鳩山幹事長も7日の会見で「(福田首相の党首会談の発言は)必ずしも本気ではないのではないか」と、実現性は低いとの認識を示しており、打開策は見出せない状況だ。

 

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦、伊藤 純夫、吉川 裕子)

 
 

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