〔クロスマーケットアイ〕米信用リスク増大で株下げ余地、クレジット市場との非連動論は幻想か
<東京市場 10日>
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日経平均 |国債先物6月限 | 国債290回債 |ドル/円(17:54) |
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12532.13円 | 139.53円 | 1.335% | 102.03/05円 |
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-250.67円 | +0.39円 | -0.015% | 102.66/70円 |
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注:日経平均、国債先物は大引け、現物の価格は午後3時の値。
下段は前営業日終値比。為替は前営業日NY終盤。
[東京 10日 ロイター] 10日の東京市場は株安、債券高。ドル/円<JPY=>相場
も上値が重い。金融市場では、米景気後退観測が強まっている上に、米国発の信用リスク
が強く意識されており、株式などのリスク資産売り/債券買いの地合いが続いている。日
経平均.N225が目先の下値メドとみられていた1月の安値を下回ったことで想定レンジ
の下限を1万2000円程度まで引き下げる参加者も出てきた。さらにクレジット市場の
混乱に収束の兆しが見えない中で、100円割れが現実味を帯びてきたドル/円相場次第
では、一段のレンジ切り下げを余儀なくされる可能性もある。2月に浮上した「株式市場
とクレジット市場とのデカップリング(非連動)論」は幻想との声も聞かれた。
<米発の信用収縮懸念が市場を覆う>
東京株式市場では日経平均.N225が続落。ザラ場、終値とも昨年来安値を更新した。
朝方は、1月機械受注が事前予想を上回ったことで下げ渋る場面もあったが、米雇用統計
の悪化を受けた米リセッション懸念が強く、下げ幅を拡大させた。
米国経済は在庫率の低さや設備投資の底堅さなどから、企業部門は大きく悪化していな
いものの、金融市場の機能低下による信用収縮が米経済の大幅減速を引き起こすとの懸念
が高まっている。いちよし証券・投資情報部チーフストラテジストの高橋正信氏は「2月
米雇用統計を受けて、株価は米リセッションを織り込みに行くことになるだろう。米連邦
準備理事会(FRB)は資金供給枠の拡大を決めたが、それだけでは足りない。米政府が
先導して需要創出につながる政策を打つ必要がある」と指摘している。その上で「3月の
米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げを行うだろうが、0.5%程度の引き下げ
は株価に織り込まれている。ドル安リスクはあっても為替より景気が大切だと割り切って、
実質ゼロ金利まで引き下げる姿勢を明らかにすれば、株価は下げ止まるだろう。しかし、
その後、インフレの兆候が明らかになったとき、すばやく利上げできるだけの景気の状
況に持っていけるかが問題だ」と話している。
<日銀総裁人事で政治混迷を嫌気>
日銀総裁人事をめぐって政府・与党と民主党の溝が埋まらないことも「日本株売り」ム
ードにつながっている、という。
「期末要因もあって国内実需勢が見送り姿勢の中、先物主導で下げ幅が拡大した。日銀
総裁も決められない劣悪な政治状況では海外資金を呼び込めず上値が重い」(準大手証券
エクイティ部)との声が出ている。
新光証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「米株安や円高はストレートパンチ
のように直接的に日本株に効いてくるが、ボディブローのようにじわじわ効いているのが
日銀総裁人事をめぐる日本の政治混迷だ」と話す。「日銀総裁人事で妥協したとしても、
今後、折に触れて政局からみの局面を見せ付けられるのではないか、日本はしばらく政治
の安定は望めないのではないかといった危ぐが海外勢の間で強まっている」という。
<切り下がる株価下値メド>
日経平均が下値メドとみられていた水準を切ってきたことで、想定レンジを切り下げる
参加者も出てきた。
大和住銀投信投資顧問・チーフストラテジスト、門司総一郎氏は当面の下値メドは1万
2000円になったとみている。門司氏は「米国経済への警戒感がかなり高まっている。
ヘッジファンドなどがサブプライムローン関連も含めて証券化商品を投げ売りしていると
の話もきかれる。来週から本格化する大手金融機関の決算では、10─12月期から損失
額が拡大する可能性がある」と警戒する。
一方、日興コーディアル証券・国際市場分析部長、馬渕治好氏は「米国経済の先行き不
透明感が一気に晴れることはないため、不安心理が後退するまで時間はかかるだろう」と
しながらも、現在は下げが加速して勢いが付いた段階であり、すでに底値圏には到達して
いる、とみている。「東証1部予想ベースのPERは15倍、配当利回りは1.8%台と
債券との比較で売られ過ぎている」という。
他方で「現在の金融市場は、テクニカルやバリュエーションが通用しない相場になって
いる。FRBが資金供給の強化策を打ち出してきたが小出しの感が強い」(ある邦銀関係
者)といい、「ドルの悪材料が出尽くすにはまだ程遠い」(バンク・オブ・アメリカ・日
本チーフエコノミスト、藤井知子氏)ことから、レンジ切り下げの可能性も残っている。
野村証券・投資調査部チーフストラテジストの岩澤誠一郎氏は「2月に株式市場がやや
持ち直したことで、低迷が続くクレジット市場とのデカップリング論が一部で出たが、幻
想に終わった。クレジット市場の混乱が与える影響の度合いについて株式市場は過小評価
してきたが、やはり株が下げ止まるには信用市場の混乱が終わる必要がある」と述べる。
<クレジット市場はプロテクション買いに急転換>
株安地合いの中で、この日も海外勢中心に債券買いが目立った。中心限月6月限は一時
139円57銭まで上昇して約2年ぶりの高値を付けた。現物市場では中長期ゾーンが強
含みとなり、長期金利は一時、同1.5bp低い1.330%に低下。5年債利回りは、
あすの新発債の入札を前に金利低下に慎重な声が出ていたものの、一時は2.0bp低い
0.720%まで低下した。先物は限月交代に絡んだ買いで上昇に弾みが付いた面がある、
という。
入札に関しては「さすがに5年債で0.7%まで下がると、買いたい水準ではない。こ
れまで相場上昇が急だったこともあり、業者もそれほどショートになっていない可能性も
あり、もう少し様子を見てから買おうという向きもいるのではないか」(外資系証券)と
して慎重な声も聞かれた。
超長期ゾーンは、上値が重く、海外勢のフラットニング・ポジションの解消の動きなど
が指摘されていた。前週に引き続いて海外勢によるポジションクローズの動きが継続。海
外勢がコアの買い手とみられる30年債や物価連動国債に売りが出ているほか、スワップ
市場ではアセットスワップのアンワインドなどのフローも入った。
一方、国内のクレジット市場では、米市場の混乱の影響は続いており、クレジット・デ
フォルト・スワップ(CDS)市場では、指標となるiTraxxJapanシリーズ8
JPMCDS01のプレミアムが190bpで取引され、最高値を更新した。株安とドル安/円
高で輸出関連を中心にプレミアムに上昇圧力がかかった。同プレミアムがさらに上昇し3
月中に200bpを上回ることも想定されている。
「投資家やディーラーは、信用リスクを取るプロテクションの売りを解消し、リスク回
避からプロテクションの買いへとポジションを急激に変えているため、一方的にプレミア
ムが拡大する可能性がある」(外資系証券)という。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:田巻 一彦)
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