日本経済は減速続けるが、明確な後退には陥らず=日銀展望リポート全文

2008年 05月 1日 17:19 JST
 
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 [東京 1日 ロイター] 日銀は1日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の全文で、日本経済について「2008年度上期にかけて減速を続けつつも、明確な後退には陥らず、その後潜在成長率並みの緩やかな成長経路をたどっていく」との見解を示した。前日公表した同リポートの基本的見解でも同様の見方を示したが、「明確な後退には陥らず」の文言が挿入され、緩やかな成長シナリオがより強調された格好となっている。

 <明確な景気後退には陥らない>

 リポートでは、景気が明確な後退に陥らない理由について、1)海外経済の高めの成長、2)緩和的な金融環境、3)在庫・設備・雇用面における調整圧力の小ささ──などを指摘。一方で「2009年度までの見通し期間中に、潜在成長率を明確に上回るモメンタムも取り戻せない」とし、その理由として、1)設備投資が過去数年間にわたる増加の結果、循環的にみて伸びにくい局面に入ってきている、2)海外経済の成長ペースが2007年までに比べれば緩やかになる、3)その下で国際商品市況は高水準で推移し、企業収益の圧迫要因として作用し続ける、4)その結果、企業から家計への所得波及も緩やかなものにとどまる可能性が高い──などを挙げた。

 <輸出は日本経済を支え続ける>

 日本経済をけん引してきた輸出については「世界経済の減速や円高の影響が現れる2008年度上期を中心に、増勢が幾分緩やかになるとみられるが、増加傾向自体は維持されていく」との見方を示した。交易条件の悪化による海外への所得流出はあるが「一次産品価格の上昇と表裏をなしつつ増大したグローバル需要を、日本経済は実質貿易(純輸出)や利子・配当等(海外からの所得の純受取)の形でしっかりと取り込んでおり、対外取引全体でみた所得はむしろいく分増加している」として「こうした交易利得と実質貿易収支を交換し合う好循環は、過去数年間、日本に限らず、世界的な規模でおおむね実現されており、これが国際商品市況の上昇と世界経済の高成長をこれまで両立させてきた基本構造であったと考えることができる」と解説。「先行きもこのような形で世界経済の拡大が続くのであれば、日本の輸出は、幅広い地域に向けて増加基調を維持し、成長のエンジンとして日本経済を支え続ける」との見通しを示した。

 もっとも基本的見解と同様に、国際金融資本市場や世界経済をめぐるリスクについても言及した。

 <09年度には企業収益の増加基調は回復>

 一方、企業部門については「企業収益は高水準ながら、このところ伸び悩んでいる」としつつ「こうした収益の伸び悩みは、過去数カ月間に生じた円高や大幅なエネルギー・原材料価格高による面が大きいため、そうした外部環境がさらに厳しさを増す状況とならない限り、2009年度には企業収益の増加基調が回復されていくがい然性が高い」と判断している。

 ただ、労働需給のタイト化により人件費の削減が難しくなっていることから「新たな市場の開拓や生産性の向上など、付加価値を創造する力が強まって行かない限り、2006年度までのような増益テンポを取り戻すことは容易ではない」とも指摘。「とりわけ中小企業は、もともと内需依存度の高い企業が多いことや、そのこともあって原材料コスト上昇の影響を受けやすいことなどから、全体として、大企業よりも厳しい収益環境に直面し続ける可能性が高い」と警戒感も示した。

 (ロイターニュース 志田 義寧記者)

 
 

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