UPDATE2: 現在は不確実性高く、政策の方向性に予断持たず=白川日銀総裁

2008年 04月 9日 20:56 JST
 
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 *白川総裁の就任会見での発言などを追加し、見出しとリードなどを手直ししました。

 [東京 9日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は9日、正式な辞令交付前の段階で金融政策決定会合の終了を受けて記者会見し、景気認識について、当面減速するもののその後、潜在成長率並みの成長に戻ると述べ、循環メカニズムは途切れていないとの認識を示した。ただ、日銀としては、特に不確実性が高い状況にあり、今後の情勢や経済指標を分析し適切に政策判断を行っていく方針を示した。利下げについては、下振れリスクが顕現化しないかよく見極めたいと述べた。白川総裁は、今の調整圧力が終われば、同じ政策金利でも経済に対する効果は変わってくると述べ、下振れリスクだけでなく上振れリスクへの点検も必要との考えを示した。

 その後の総裁就任会見では、政策効果にタイムラグがあることや金融と経済の相互関係も踏まえて、中長期リスクに目配りしていく姿勢を示した。

 <潜在成長率並みの成長続くが、不確実性特に高い>

 4月の日銀金融経済月報では、景気判断を現状、先行きともに下方修正し、「緩やかな拡大」との表現を削除した。白川総裁代行は、「景気は当面減速するものの、その後は潜在成長率並みの緩やかな成長経路をたどる」との見方を示した。ただ「世界経済の不確実性やエネルギー・原材料高の影響には引き続き注意が必要。日銀としては今後公表される指標や情報を丹念に点検し、適切に政策判断を行っていく」との方針を示した。さらに「金融市場の安定については引き続き動向を注意深くモニターしていく」とした。

 景気判断を下方修正したこともあり、利下げ方向への政策判断がありえるのか、との質問には「現在は不確実が特に高い。こうした状況では先行きの政策の方向性に予断を持つことは適当ではない」として、利下げの可能性も排除しない姿勢を示した。その上で「この先の経済・物価の展開について、下ブレリスクが顕在化するのか、それとも持続的な成長経路をたどるのか、毎回の決定会合でよく見極めたい」と述べた。政策金利の効果については、これまでの発言を踏襲し「名目短期金利だけではなく、全体としての緩和力を評価すべき」として「短期金利は物差しの1つであり、それだけから金融政策の方向性を判断はできない」と述べた。

 <メカニズムは途切れていない>

 生産・所得・支出の前向き循環メカニズムについて白川総裁代行は「足元弱まっているが、途切れたわけではない」との見方を示した。生産は横ばい圏内の動き、所得面でも短観で企業収益が07年度は減益に転じる姿となり、支出面でも設備投資の増勢が鈍化しているとしてメカニズムは足元弱まっているが、輸出が幅広い地域に向け増加を続けており、出荷・在庫も概ねバランス、設備、人員面でも過剰感はないとして、メカニズムは途切れていないと説明した。

 <上振れリスクへも言及>

 白川総裁は、下振れリスクだけではなく上振れリスクに関しても言及した。「現在は過熱リスクがあるとは考えていない」としながらも、「現在のような不確実性の高い状況は、一方で景気にマイナス方向に作用するが、調整が終わって不確実性が急きょ晴れてくると、同じ金利水準でも効果が変わってくる」と指摘した。

 バブルを振り返って、低金利だけが原因ではないとしながらも、需給タイト化の下で低金利が続くとバブルが生まれやすいと指摘。また、物価が上がりにくい中で資産価格が上がっていくということへの対処をしっかり考えていくべきとした。

 金融政策の枠組みに関連し、各国中央銀行が課題として抱えていることについて、資産価格が上昇していく中で経済・金融情勢が非連続に変化していくことや、望ましい物価上昇率との関係だけから金融政策の変更について説明しにく点を挙げた。

 <国際金融市場の動揺で実体経済も調整起こる>

 国際金融市場の動揺に関し「米欧の金融環境はタイト化している」との認識を示した上で、「現在の金融市場はリスク再評価の過程であり、調整にそれなりに時間がかかる。さらに金融市場の中で完結するわけではなく、実体経済の調整も合わせて起こることになるとみている」とした。

 7日の国会の所信表明で、米国金融情勢について1930年代の世界恐慌以来の深刻な状況だと表現したことについて白川総裁代行は、レベルとして当時と同じと言っているわけではないが、金融市場の動揺としては戦後例がなかったようなものだと説明した。

 <G7での対応>

 

 11日に開催される7カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)に初めて出席する白川総裁代行は「世界経済の現状と先行き、課題について議論する貴重な機会。今回は世界経済の不透明感が高まっており、国際金融市場の不安定な状態が続く中、こうした動向について率直な意見交換が行われるとみている」と述べた。

 G7での議論と関連して、国際金融市場の動揺への対応について3点あげた。1つは各国がそれぞれの事情に応じて適切な金融政策を取ることであり、各国とも同じ政策を取るということではないと指摘。2つ目は市場の動揺を抑えるため、適切な流動性供給行い、金融機関自身が損失を確定して資本を調達することを挙げた。3つ目は金融システムを確保する姿勢を明確にし、各国の事情に応じてセーフティネットなどを整備することだと指摘した。

 <中長期リスクに目配り、資産価格との関連も考慮して政策運営>

 白川総裁は衆参両院の同意を経て、夕方総裁に任命された。58歳での総裁就任は、1956年から64年まで務めた第20代山際正道総裁(就任時55歳)以来となる異例の若さ。総裁就任会見では「自分の職業人としての誠実さを疑われないよう、自分のポジションに責任をもってつとめたい」と、総裁としての決意を示した。

 就任会見では金融政策の考え方として、政策波及の時間的ラグや実体経済の複雑な相互関係が存在していることから、中長期的リスクに目配りをする必要があると述べた。

 今後は総裁として金融政策の評価を問われることについて、白川総裁は1つのポイントとして、バブルの教訓を引き合いに出し「資産価格と金融政策の関係を常に考えながら、政策を行う必要がある」との考えを示した。

 金融市場や金融システムについては現在、市場の動揺が続いており、今後も細心の注意を払う必要があると述べた。

 自分自身の政策スタンスについて、タカ派と言われることもハト派と言われることにも「どちらも違和感がある」とし「金融政策の姿勢としては、その時々の金融情勢の中でどう考えるかが大事だ」とした。

 11日にワシントンで開催される7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に総裁として出席することになり、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発する米国の金融問題についてどのような助言をするのか、との質問に対し、白川総裁は「金融システム問題というのは流動性の問題であり、日銀はその点色々な経験を積んでおり、そうした自分の経験が役に立てばと思っている。また実体経済と金融の相互作用が金融機関の損失額や自己資本の不足に大きな影響を与えるが、先々の経済において金融との関係を意識しながらどういうビジョンを持つかということが重要だと感じている」とした。

 (ロイター日本語ニュース 中川 泉記者:編集 田巻 一彦)

 
 

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