UPDATE5: 白川日銀総裁会見一問一答

2008年 04月 30日 19:57 JST
 
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 [東京 30日 ロイター] 白川方明日銀総裁は30日午後、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)発表後に記者会見した。会見の主な内容は以下の通り。

 ──今日の決定会合の議論と展望リポートについてうかがいたい。

 「今日の会合では、政策金利の現状維持を決定した。その背景となる経済・物価情勢については、これまで公表されている経済指標や情報などから、わが国経済はエネルギー・原材料高などから足元減速していると判断した。先行きは当面減速するもののその後、潜在成長率並みの緩やかな成長経路をたどる可能性が高いとみている。ただし、世界経済や国際経済をめぐる不確実性、エネルギー・原材料高の影響には引き続き注意が必要。したがって今後公表される指標や情報、内外の金融市場の状況などを丹念に点検し、見通しのがい然性とリスクを見極めた上で、それに応じて適切に政策判断を行っていくことが適当だと判断した」

 ──サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響はまだ終息していないが、5月中旬の国際決済銀行(BIS)総裁会議ではどのような議論となる見通しか。

 「私自身が関心があるのは、金融市場の動向をどう評価するかということ。クレジット関連をみると、3月上中旬にスプレッドが拡大したときと比べると、足元は少し小康状態となっている。一方で短期金融市場ではいわゆるTEDスプレッド(米3カ月物TBと3カ月物LIBORとの金利差)が高止まりしているし、流動性も薄い。このようにクレジット市場と短期金融市場では多少食い違いがあるが、その辺のところをどのように解釈するのかということも、ひとつの問題だ」

 「また、世界経済をみると、ここにきて国際商品市場が随分上昇しているが、これも私にとってはひとつの関心事項。ひとつにはインフレと言っているが、その場合、消費国にとっては実質所得の減少であり、景気後退要因。一方で資源国では景気を大きく押し上げる要因。インフレ圧力が強くなった場合には、景気が後退する、あるいは金融政策面から措置をとることになる。資源価格上昇が世界経済全体にどういう影響を及ぼすのかが非常に大事だと思っている」

 ──資源価格の上昇については、世界的な需要の動向に伴って上昇していると捉えているのか。それとも、金融の緩和的な流れに起因するものと考えているのか。

 

 「資源価格の上昇については、過去ずっと議論がなされてきたわけである。上昇の背景をどういう時間的なニュアンスの中で議論するかによって、多分答えも変わってくると思う。私は資源価格の専門家ではないが、非常に大きな流れでみると、新興国を中心として資源を大きく使う経済が成長しているという需要要因が、まず基本にあるという感じはするし、資源価格が上がっても、それに対して供給を弾力的に増やしていくというふうには必ずしもなっていないという供給サイドの要因も影響していると思われる。これは、結局現在上がっている資源価格が、どの程度持続するものとみるかということの生産者の判断にかかっている」

 

 「ただ、最近の動きについてみた場合、そうした大きな流れに加えて、金融市場の動きも影響しているというふうに思う。これはよく言われる話であるが、昨年夏以来、複雑な金融商品をどういうふうに評価したらよいかというのがなかなか難しく、結果的にリスクの評価が相対的に容易な商品、コモディティというか商品に向かっているわけで、よく『flight to simplicity(シンプルなものへの逃避)』という言葉を使っているが、そうした動きも多分反映しているのだろうというふうに思う]

 「そういうふうに考えた場合、金融の動きが実はかつてとは少し違った意味で、こういう単純な商品である商品に向かって行って、それが価格を上げていく。先ほど申し上げた全世界的な資源高という形で色々な影響を与えていくと思うが、そういう意味で金融も今言ったような意味で、影響を与えているなという感じはする。単純に金融が緩和しているから商品が上がっていくというメカニズムは昔からあると思うが、そういった面だけではなくて、今申し上げたような意味での金融の影響もあるのだろうと思う。ただ、いずれにしても色々な説はあるが、どの専門家ももちろん答えを持っているわけではないし、特定の仮説にあまり依拠することなく、複眼的にものを見ていきたいというふうに思っている」

 ──物価見通し、物価安定の理解について。

 「現在、石油製品や食料品などの価格が上がっているが、その結果、消費者物価全体としては今、1%程度の上昇となっている。確かに最近、消費者が実感として感じる物価は上がっているというような消費者の見方が色々なアンケートでも示されている。私どもが行っている生活意識調査でも、そういう結果が出ている。その背景だが、全体として物価は1%程度の上昇率であることと、一方で、実感として物価が上がっていることをどういうふうに解釈するかだが、日本に限らず、どの国でもそうだが、購入頻度の高い品目の価格が上昇していると、どうしても物価が上がっているという感じが実態より強く出るのだろうと思うし、最近は上昇している品目の数が明らかに増えてきていると思う」

 

 「その結果、消費者が実感として感じる物価上昇率は高くなってきているように思う。日銀としては、そうした物価の動き、それからその結果起こる消費者の物価に対する見方、これがどう変化していくかを注意深く見ている。消費者のインフレ予想を通じて、先行きの物価が上振れする可能性もある。あるいは企業が価格を設定する際に、従来はなかなか転嫁できなかったが、企業の価格設定計画が少し変ってくる可能性もある。いずれにせよ、今上昇局面の中でこの問題が起きているが、考えてみると、日本がこの10年直面した問題は、物価が全体として上がる局面でも下がる局面でも、相対的な価格が変化するなかで、金融政策をどういうふうに運営するのかが議論されてきた」

 

 「現在、石油製品をみると、供給要因で上がった物価上昇であるという説明が1つある。これについては必ずしもそうではないと申し上げた。供給要因の目でみると、かつて労働集約的な財が、中国をはじめとしていろんな国から入ってきたが、これも供給面からする物価の下落だった。一方、現在起きていることは、供給面からする物価の上昇が起きているいう見方があって、そういう中で中央銀行として、どの物価指数をみて金融政策を運営するのかというのが問われ続けている話だと思う」

 

 「日銀としてはむろん、物価指数を通じて物価情勢を見ていくということは、これはこれで非常に大事だが、最終的に物価の安定が持続的なものであることが必要であり、その持続的物価安定の下で、経済が持続的に成長するのかということを見ていくというのが一番大事だと思う。そういう意味で、先ほどの消費者の身の回りの物価高、その身の回りの物価高というのは食料品とかガソリンということだろうが、一方で、労働集約的な財の値段が下がっているものもある。そういう中で、今申し上げたような視点で、金融政策を判断していきたい」

 ──きょう発表された鉱工業生産と暫定税率復活は、展望リポートに反映されていないのか。

 「暫定税率については、かつての消費税のときもそうだったが、税制面の変更を調整した基調的なもので判断している。したがって暫定税率の変更を織り込まないで判断している」

 ──生産・所得・支出の好循環メカニズムについて、今回の展望リポートからなくなっているが、その背景は。

 

 「日本経済はエネルギー・原材料高の影響などから減速している。生産・所得・支出の循環メカニズムも足元弱まっているとみている。このことを少し個別に点検すると、生産は横ばい圏内の動きとなっている。所得面ではエネルギー・原材料高は企業収益などの所得形成を弱めている。支出面では比較的底堅く推移ししているが、設備投資の増勢は鈍化している。つまり生産・所得・支出、これは国民所得の3面等価だが、そのいずれも弱まる方向にあり、その結果、記述も落ちたということだ」

 ──標準シナリオからさらに景気減速し、一方で物価が上昇した場合に、金融政策はどうなるのか。

 「中央銀行にとって、景気にしろ物価にしろ同じ方向を向いている時には、相対的には金融政策はやりやすいのだが、両者が食い違っている時にどうするのかというと、その都度難しい問題になってくる。あらかじめ答えを持っているべきではないと思う」

 

 「食い違いが生じるというのは、需要のショックではなくて、供給ショックが起こるからそういうことが起こる。つまり石油価格が上がる、その結果、所得が流出して景気が減速するというのが1つの例。その場合に金融政策がどうするかは、昔から考え方は整理されていると思う。つまり純粋に供給サイドの要因であれば、これは景気の減退要因。物価の上昇が2次的な物価の上昇をもたらさないのであれば、それに(政策で)対応するのは適当ではないし、もし期待インフレ率の上昇をもたらすなら、金融政策で対応する」

 

 「今起きていることは、実は単純に供給ショックだけではなく、需要ショックも背後にある。大きな意味で新興国の成長が拡大し、その結果、資源の価格も上昇している。その面では、単純に供給面の要因だけではない。経済の先行きの経路がどうなるのか、情報を集めて判断するしかない。基本的には持続的な成長ということだが、少し長い目でみてデータに即して判断していくということ」

 

 ──物価についてだが、日銀の見通しよりも実績が低く出る傾

 
 

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