〔情報BOX〕日銀政策委員の景気や金融政策に関する最近の発言
[東京 18日 ロイター] 日銀が利下げを決めた10月31日開催の金融政策決定会合以降、日銀政策委員の景気および金融政策に関する主な発言は以下の通り。日銀は景気は日増しに悪化していると警戒感を強めているが、連続利下げをしなければならないほどの追加的なショックは発生していないと判断、20─21日開催の金融政策決定会合では、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.3%前後に据え置く見通し。ただ、年末に向けた金融機関や企業の資金繰りに対する緊張感が高まっていることから、資金繰りに万全を期すために、適格担保の緩和やコマーシャルペーパー(CP)オペの拡充などの支援策について検討する可能性はあるとみられる。
◎西村清彦副総裁(11月17日、日仏交流150周年記念講演でのあいさつ):「米欧金融機関の破たんなどを背景に、国際金融市場は著しく緊張が高まっている。(中略)こうした世界的な金融面の動向を受けて、わが国の金融市場も不安定さが増している」「現在は、さまざまな不均衡の調整過程にあり、G7後、各国政府や中央銀行は矢継ぎ早に様々な対応を採っているが、その調整には時間がかかる」
◎中村清次審議委員(11月13日、愛媛県金融経済懇談会でのあいさつ):「米国では経済の停滞が続く中、下押し圧力が一段と強まり、雇用環境も一段と悪化」「(中国経済)先行きは、世界経済の減速により輸出の伸びが鈍化する可能性が高く、輸出関連産業への固定資産投資の減少や鉄鋼・コモディティ需要の減少につながるおそれもあり、経済のダウンサイド・リスクが高まっている」「日本だけでなく、世界的にインフレ懸念は急速に後退」「世界経済が一段と減速するリスクが高まっているほか、減速局面を脱して再び加速する時期が見通し難くなっている」
「わが国の経営者の成長期待が慎重化している向きもうかがわれる。今後、企業の成長期待が本格的に低下すると、設備投資を中心に企業活動が抑制され、わが国経済への下押し圧力となるため、経営者が成長期待を維持できるかは、今後の成長を考える上で重要」「世界的な金融危機が、実体経済との負の相乗作用により世界経済を減速させ、ひいてはわが国経済が長期的な調整局面入りする瀬戸際にあるとも考えられるなど、景気の下振れリスクが一段と高まっている」「(国内金融環境)先行きの景気や業績に対する危惧(ぐ)もあって、金融機関の融資姿勢は慎重化しており、これまでの緩和的な金融環境に変化がうかがわれる」
(懇談会後の記者会見):「金融機関経営を取り巻く環境は厳しさを増している。さらに、10月入り後は、国際金融資本市場の緊張感の高まりのもと、株式市場も極めて不安定な動きを示しており、金融機関の財務面への影響も決して小さくないレベルに達している」「景気が大幅に落ち込んだ場合は、中央銀行として常に対応を検討しなければならない。具体的にどのような措置を講じるかは、その時々の経済・物価情勢や金融市場の動向を踏まえて総合的に判断していく。ただし、極めて低い金利水準のもとでは、短期金融市場の円滑な機能確保という観点から、様々な問題が生じる可能性が高く、先行きの金融政策運営に当たっては、これらの点も踏まえて適切に判断していかなければならない」「(超過準備預金への付利)今の水準であれば(市場)機能を損なうことはない」「(追加利下げについて)今、直ちにアクションを取らなければいけない状態とは思わない。先般の金融政策変更の実効性の浸透を見守っていきたい」
◎山口広秀副総裁(11月11日、参院財政金融委員会での答弁):「(日本経済)景気下振れの可能性を十分認識しながらみていく必要」「(量的緩和策の効果)量を大量に供給する中でゼロ金利を追及していったことは、金融システム不安を抱える中では有効打だった」「量的緩和では時間軸を利かせるという対応もとった。これは長めの金利をより低いところで安定させるという効果を狙ったものだったが、経済に対し何らかの浮揚力を持った。(中略)いずれにしても量的緩和やゼロ金利の追及は経済に対しいろいろな意味での効果はあった」「日本経済が回復に向けた条件が整うには相応の時間がかかる」
◎白川方明総裁(11月5日、衆院財務金融委員会での答弁):(利下げ幅について)「将来の政策対応余地を残す、のりしろという配慮ではなく、あくまでもこの時点でこの政策金利が最適と判断した。先行きのりしろを残すという判断ではない」
◎白川総裁(11月5日、きさらぎ会での講演):「短期金融市場の機能が維持されること、言い換えると、市場参加者同士の資金の流れを確保することは、金融政策が効果を発揮する上で極めて重要な前提条件」「政策金利が0.5%と極めて低くなっていた状態で、さらに金利水準を大幅に引き下げた場合、金利収入がさまざまな取引費用をカバーできなくなる結果、金融市場での取引が細り、市場流動性が低下する可能性がある」「金利水準の低下が持つ金融緩和効果だけではなく、金利の引き下げが金融市場の機能を阻害し、かえって資金の流れを悪くする可能性についても十分配慮する必要がある」「現在のように、世界的な金融市場の混乱の影響が国内市場にも及び、金融市場の機能の大幅な低下がみられる局面では、この問題の重要性は一段と増大している」
「流動性供給を通じて金融市場の安定を図ることは、中央銀行が果たし得る最大の貢献。現在の低金利による緩和効果を十二分に発揮させるためにも、市場の安定は極めて重要」「(日本経済)当面停滞色が強い状態を続けたあと、やや長い目で見れば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復する。(中略)この見通しをめぐる不確実性は極めて高い」「日本経済の先行き見通しは、海外経済の回復や、その前提となる国際金融資本市場の安定に大きく依存」「世界経済が下振れた場合は、日本にとっては、輸出が減少するばかりではなく、企業のグローバルな需要増加への期待に変化が生じることを通じて、設備投資が下振れる可能性もある」「(国際金融資本市場)いくぶん改善がみられるが、金融市場の緊張はなおしばらく続く可能性が高い」
◎白川総裁(10月31日、決定会合後の記者会見):「(利下げの背景)日本でも株価下落、社債等の信用スプレッドの拡大、為替円高とその激しい変動がみられ、金融市場自体が大きく変化した。実体経済をみても、設備、輸出、生産等で、従来に比べて明らかに変化を示す材料が出てきた。(中略)このように経済・金融情勢自体が、この1カ月弱の間に大きく変化した」「欧米のように金融機関の体力が十分でない場合には、十分な緩和力が発揮されない。あるいは、流動性についての不安感があるときには金融機関は積極的にリスクを取りにくくなるが、この場合は中央銀行が流動性供給を通じて流動性に対する不安を除去していくことにより、金融機関の行動を後ろから支援することもある。それ以外にも、中央銀行が有している機能を使うことによって、この厳しい状況の中でも側面から金融機関の行動を支えていくことは考えられる」
「この調整にはある程度時間がかかるし、その調整を金融政策だけでなくしていくことは非常に難しい」「短期金融市場の機能度を規定する要因は2つある。1つは市場金利の水準それ自体。(中略)取引には当然コストがかかるので、ゼロ金利のようにそうしたコストをカバーできない水準まで金利が下がると、市場で取引をするインセンティブが失われてしまう。そうすると取引が細り、ますます市場の機能は低下することになる。(中略)もう1つは誘導目標金利と事実上の市場金利の上限、下限となる金利とのスプレッド。今回の決定の場合、下限となる当座預金の金利と上限となる補完貸付の金利の間には0.4%の差がある。そうすると、日中は0.4%の範囲内で市場の金利が動き得るわけで、例えばその瞬間のマーケットの状況や個々の金融機関の状況に応じて金利は変わり得るという余地が残る」
「わが国金融機関の株式保有リスク削減努力に関し、日本銀行として関与し得る有効な手立てがあるのかどうか、今後の情勢をみつつ、検討していきたい」「最近の円高が企業の一部に対して影響を与え、それが実体経済にも影響を与えていくということは、先程申し上げた通り。ただ、現在の経済・物価の姿を規定する要因は為替相場だけではない。それを遥かに上回る色々な大きなショックが加わっているので、為替だけを取り出して述べることは適当でない」「(利下げ判断で)政治的なプレッシャーを感じたということは全くない」
(ロイターニュース 志田義寧記者)
(yoshiyasu.shida@thomsonreuters.com; 03-6441-1837; ロイターメッセージング:yoshiyasu.shida.reuters.com@reuters.net)
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.






日本
米国