再送:〔アングル〕アイスランドの危機継続、融資承認でも最悪の場合には債務免除の要請も

2008年 11月 21日 07:59 JST
 
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*以下の記事は20日午後5時49分に配信しました。

 吉池 威記者

 [東京 20日 ロイター]  アイスランドに対する国際通貨基金(IMF)などの支援策がまとまったものの、同国の危機観測は後退していない。通貨クローナの下落に歯止めがかからず、国内総生産(GDP)の500%超に膨れ上がった対外債務がさらに増大する可能性があり、数十億ドル規模の支援策では到底カバーできないとみられている。今後は追加融資に迫られるほか、最悪の場合には債務免除要請の可能性も浮上している。

 IMFは19日、総額21億ドルの対アイスランド融資を承認した。北欧4カ国もすでに25億ドルを融資することで合意しているが、ロシアは先に40億ドルの支援は多すぎるとの見解を示しており、関係各国からの支援は総額50―60億ドル程度にとどまる見通し。IMFが9月に発表したアイスランドの2008年GDP見通しは200億ドル。対外債務はGDPの500%超にのぼるため、単純計算で1000億ドル規模に達する。BNPパリバ証券クレジット調査部長の中空麻奈氏は、各国からの支援について、当面必要な資金を確保した程度で「モラトリアム(支払い猶予)の期限が迫れば債務の繰り延べは不可欠」との見方を示す。

 モラトリアムの期限については特に定められていないが、過去にデフォルト(債務不履行)したアルゼンチンが立ち直った期間を考慮すると、中空氏は4―5年が限度としている。つまり、アイスランドの場合、2012年くらいには信用回復の段階に入っていなければならないことになる。その間、50億ドルあまりの援助資金も底を突くことが予想されるため、追加融資の必要性も出てきそうだ。それでも再建が進まなければ、「関係各国に徳政令を出すことになる」(中空氏)という。つまり債務免除の要請である。

 対外債務が増大する国にとって重要なのは通貨安を止めることだが、アイスランドクローナISK=は下落に歯止めがかかっていない。ロイターデータによると、1ドル=140.16/21クローナ付近。10月初旬には一時143クローナ付近に下落したが、その直後のワシントンで開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後、いったんは100―110クローナに上昇した。しかし、各国との支援交渉の過程で足元では10月初旬の最安値に接近している。外為市場では、売りと買いが出合っていないという外銀関係者の指摘もある。

 IMFは19日、アイスランド経済について、金融危機により2009年には深刻な景気後退(リセッション)に陥り、失業率は5.7%と、これまでの4倍に急上昇する公算が大きいとの見通しを示した。また、GDPの実質伸び率について、2008年はプラス1.6%だが、2009年はマイナス9.6%に落ち込むと予想している。アイスランドのハーデ首相は今週、独紙のインタビューでIMFの支援により同国経済の回復は早まるとの認識を示し、「2010年には復活する」と述べた。

 しかし、ハーデ首相は10月30日、同国の金融セクターの危機による損失額について、2007年のGDPの85%に当たる90億ドルあまりに達する可能性があるとの見通しを示した。首相府が発表した声明によると、同首相は国会で、09年の財政赤字がGDPの最大10%に上る可能性があると語った。

 一方、アイスランド中央銀行は10月28日、政策金利を6%ポイント引き上げ18%にすると発表した。通貨の信頼回復に加え、IMFに対する配慮が理由と説明した。アイスランド中銀はその2週間前に、金融市場の混乱を受けて政策金利を3.5%ポイント引き下げたばかり。アイスランドでは大手銀行3行が国有化され、金融システムが事実上崩壊。通貨クローナが急落する一方、インフレ率が2ケタに急上昇している。こうした金融政策は「資金流出を防ぐだけで、資金が国内に流入しない」(外銀)と批判されている。

 金融危機の影響により、デフォルトしたアイスランドの大手銀3行の社債に対するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の売り手が支払う現金の総額は約73億ドルとなった。ランズバンキ・イスランズ [LSBPEA.UL]、グリトニル[GLBNK.UL]、カウプシングKAUP.ICの3行が政府管理下に入った。

 日本の投資家にも影響が及んだ。最大手カウプシング銀行KAUP.IC<0#1251=JFI>が発行した4銘柄・発行総額780億円のサムライ債(円建て外債)がデフォルトとなった。カウプシング銀行が2006年10月20日に発行した第1回固定利付き債(償還2009年10月20日、発行額500億円)が10月20日に利払いがなく、猶予期限とされた27日までに利払いが実行されなかったことから、発行要項上のデフォルト事由に該当した。

 アイスランドの金融システムは、国内大手3行を公的管理下に置いて以降、事実上崩壊している。金融セクターの規模がGDPよりも大きいため、銀行を救済できずにいる。国の破たんリスクを取引するソブリンCDS取引のうち、アイスランド5年CDSはリーマン破たん前は300ベーシスポイント(bp)を下回っていたが、9月末には600bpに跳ね上がり、10月初旬には一時1100bpに上昇した。足元でも1000bp程度で推移している。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者 編集 橋本浩)

(takeshi.yoshiike@thomsonreuters.com; 03-6441-1794; ロイターメッセージング:takeshi.yoshiike.reuters.com@reuters.net)

 
 

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