再送:〔株式スコープ〕原料安効果で好調目立つ食品株、課題は低価格化への対応
*この記事は10日午後6時31分に送信しました。
<東京市場・10日>
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関連業種 | 終値 | 前日比 | 年初来高値 | 年初来安値 |
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食品業 | 800.92| +9.49| 857.18| 631.05|
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水野 文也記者
[東京 10日 ロイター] 食品株の業績好調が目立っている。これまで
収益圧迫要因となっていた原材料価格が低下し、その効果が数字の上でも現われた格好だ。
値上げの浸透も寄与した企業が多いが、消費者の節約志向による低価格化が進み、NB
(ナショナルブランド)がPB(プライベートブランド)に押されるケースもあるなど、
収益環境は楽観視できない。原材料価格が反転するリスクも生じている中で、低価格化へ
の対応が課題になりそうだ。
決算発表シーズンが始まる直前から、食品会社に業績見通しを上方修正する企業が多か
ったが、発表時にも業界の代表銘柄であるキリンホールディングス(2503.T: 株価, ニュース, レポート)が09年12
月期見通しを、味の素(2802.T: 株価, ニュース, レポート)が10年3月期見通しをそれぞれ従来予想を上積みしたな
ど、好実態が明らかになるケースが目を引いた。
上方修正をした理由として「原料価格の高騰が沈静化したほか、価格改定が期を通じて
寄与する」(味の素の大野弘道執行役員)といった点が挙げられている。昨年までは、小
麦や砂糖、乳製品をはじめ原材料価格の上昇が利益面を圧迫。その対策として、値上げに
踏み切りながらも浸透し切らない企業が多かったが、その効果が出始めるとともに、原料
価格そのものも低下するメリットも生じた。多くの原材料は輸入しているため、円高もコ
スト面でプラスに作用する。
10月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で23%引き下げられるために、日清製
粉グループ本社(2002.T: 株価, ニュース, レポート)では値下げで還元策を実施するが「その分は通期の業績見通しに
織り込んでいる」(深田晶也取締役)という。
同社は、消費者の節約志向の高まりによる内食化から家庭用食品が好調なほか、昨年9
月の製粉東灘工場の本格稼動といったコスト削減策の効果が寄与し、2010年3月期の
連結決算見通しについて、営業利益を従来予想の203億円から234億円に上方修正。
家庭の内食化が進んでいることが追い風となった企業もあった。
さらに、海外事業の好調が寄与した例も少なくない。日清食品ホールディングス
(2897.T: 株価, ニュース, レポート)では、これまで赤字だった北米事業が黒字化したことが利益面に貢献した。その
理由として値上げや原料安のほか、米国において景気不況から即席めん需要が増加した点
を挙げている。
海外事業の伸長も上方修正の要因となる味の素は海外でのさらなる展開について「中東
のドバイに駐在員事務所を持っている。ドバイは東アフリカの中継地でもあり、中東、東
アフリカでの展開を狙いたい」(長町隆常務)としていた。
このように足元は順調に推移しているものの、収益環境は手放しで楽観視できる状況で
はない。沈静化していた原材料価格が再び上昇傾向を示しているためだ。
味の素では不振のアミノ酸事業について「夏ごろから単価は上がってきたものの、粗糖
の価格高騰やブラジルの通貨高の影響があり、下期も赤字を想定している」(長野常務)
と厳しい見通しを示す。
森永乳業(2264.T: 株価, ニュース, レポート)では上半期の営業利益実績が130億1500万円(前年同期比
40.8%増)となったのに対し、通期予想はそれに19億円上積みするだけと下半期は
慎重だが、その理由のひとつに「砂糖など原料価格に反転するものが出てきたことも懸念
材料」(田形均取締役)として挙げている。
加えて「消費者の所得減少や低価格化の進展など市場環境は日を追うごとに悪化してい
る」(田形氏)という。国内景気の低迷は消費者を生活防衛に走らせ、内食化という好材
料を業界をもたらしたものの、同時に嗜好品の買い控えや低価格化の進行につながった。
業界関係者によると、コンビニエンスストアやスーパーなどがPB商品の積極的な投入
でNB商品の売り場が縮小しているほか、デザートなど嗜好品やぜいたく品の売り場スペ
ースが減少しているという。こうした状況下、低価格化の波に乗り切れたかそうでないか
で明暗が生じたケースもある。
森永乳業では上半期実績で対前年同期比16%増となった牛乳の伸長が目を引いたが、
それをけん引したのが低脂肪品の「まきばの空」。これは脂肪分だけを調整することで、
牛乳の持つコクを活かした製品だが、低脂肪品だけに通常の牛乳よりも安く提供できるた
め、低価格化や消費者の節約志向が高まりに対応できた格好となった。
反対に、ニチレイ(2871.T: 株価, ニュース, レポート)は10年3月期の連結営業利益について、従来予想の166
億円から151億円(前年比0.3%減)に下方修正したが、その理由として「大手スー
パーなどで惣菜品の価格が劇的に下がる中、低価格品への対応が遅れた」(中村隆執行役
員財務部長)点を挙げている。
先行きについて、原材料市況に不透明感が漂う中で、こうした低価格化の進行にいかに
対応するかが、食品各社の今後の収益を占う上でポイントになりそうだ。
ニチレイでは品質格差を強みとして従来レベルの価格呼び戻しを狙うものの、こうした
低価格化は容易に戻るとは考えられないと分析、対応を急ぐ考えだ。具体的には「低価格
品に多くみられるような製品の品質を落とすことは考えていない。原料価格の低下やレシ
ピの変更などで対処していく」(中村執行役員)という。
日清食品ホールディングスは「低価格品はブランドの普及版が売れ筋となっており、単
に価格が安いだけの製品は売れない。主要ブランドの味を消費者が記憶し、それと比較し
て買っているようだ」(中川晋専務)と分析、ニチレイと同様に品質強化を低価格化を乗
り切るための重要なポイントとした。
利益見通しこそ上方修正したものの、低価格化の影響も手伝い減収を見込んでいる森永
製菓(2201.T: 株価, ニュース, レポート)の佐藤順一常務は「(値上げで)数量が下がったのは、価格低下が進む中で
消費者に受け入れられなかったことを示す」と指摘。そのため、価格改定した商品の一部
について元の価格に引き下げるという。その上で「PB対NBとなる中で、NBしかない
価値を出していく」とコメントしていた。
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(ロイター日本語ニュース 編集 宮崎 大)
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