UPDATE1: 国債消化できなくなることは考えにくい=武藤前日銀副総裁

2009年 11月 11日 20:10 JST
 
記事を印刷する |

 [東京 11日 ロイター] 武藤敏郎・大和総研理事長(前日銀副総裁)は11日、都内で講演し、世界的な財政赤字を背景とした国債消化について、いま世界は資金量に対し需要が少ないとして、国債を消化できなくなることは考えにくい、との認識を示した。

 ただ、景気が回復して資金需要が出てくれば「公的部門の資金繰りに若干の問題が出てくる可能性がある」とも指摘。そのときには「長期金利が上昇するおそれがある」と懸念を示した。

 日本ビジネスプレス主催のセミナーで述べた。

 <国債消化できなくなること考えにくい>

 武藤理事長は、世界の財政赤字に触れ「このまま(国債による)ファイナンスが順調にいくのであろうかということが懸念材料になっている」と指摘。これについては「幸いなことに、いま世界には資金量に対して需要がない。投資チャンスがない。したがって、国債を買うのは金融機関にとってはむしろ安全な投資先なので、国債が消化できなくなることは考えにくい」との認識を示した。

 ただ「やがて景気が回復して民間資金需要が出てきて、資金需要が全体として増えていくと、公的部門の資金繰りに若干の問題が出てくる可能性がある」とも述べ、「そのときには国債価格が下落、長期金利は上昇するおそれがある」と懸念を示した。さらに「そのときに景気が良くなっていればいいが、景気が悪い中での長期金利の上昇になると、打つ手が限られる」と付け加えた。

 <日本経済は来年前半に踊り場>

 武藤理事長は、日本の景気について「来年前半は日本のGDP成長率は四半期ベースでみてマイナスになる可能性も否定できない」と慎重な見方を示し、気がかりな点として、雇用水準とデフレを挙げた。

 雇用について「現時点ではやや過剰となっているので、雇用を手控えるか、賃金を削るかによって、雇用者所得に対して調整がかかってくるだろう。これは日本全体のマクロ経済にとって下押し圧力になることは間違いない」と指摘。デフレについても「ジーンズが600円台で売られているということになると、かつて起こった価格破壊の現象が出てきているのではないか。これが企業収益全体に与える影響、雇用者所得に与える影響がどういうものかは要注意だ」と警戒感を示した。

 こうした状況を背景に、武藤理事長は、日本経済のメーンシナリオは少しずつ回復に向かっているとしながらも「二番底はちょっと大げさなので、あまりそういう言葉は使いたくないが、順調にだんだん成長率が高くなっていくかというと、そこはそう簡単ではない」との認識を示し、「来年前半にちょっと踊り場状態になるといったようなことが起こる可能性はかなり高いだろう」と語った。

 さらに「仮に四半期成長率がマイナスとなると、いろいろな議論が出てきて、更なる財政出動をどうするかとか、金融政策はどうしたらいいのか、というようなことが課題になる可能性がある」との見方を示した。

 もっとも、デフレ対策としてのインフレターゲット政策については「それを目指すと宣言したらそうなるのかというと、それはたぶんならない」と否定的な見解を示した。

 武藤理事長はこのほか、ドル基軸通貨体制についても言及。「ドルに代わるべき通貨はいま存在しない」として、「ドルが依然として基軸通貨体制を続ける可能性が高い」との見方を示した。

 (ロイターニュース 志田義寧記者)

(yoshiyasu.shida@thomsonreuters.com; 03-6441-1837; ロイターメッセージング:yoshiyasu.shida.reuters.com@reuters.net)

 
写真
2012年にも米経済に破滅的打撃

最近の信用危機を予想したことで知られるアナリストによると、米ドルの急落は、2012年にも米経済に破滅的な打撃を与える可能性がある。  記事の全文 

 

株価検索

会社名銘柄コード
 

ロイターオンライン調査

写真

欧州の監督当局は金融機関の報酬制限導入で足並みがそろっているが、その関連で注目されるのが、流動性規制に向けた動きだ。  ブログ 

  • 日本日本
  • アジア
  • 米国米国
  • 欧州
  • 東証1部 値上り率