再送:〔高まる中国依存〕13億人の潜在市場、新中間所得層取り込みがカギ=河合・アジア開銀研究所長

2009年 11月 17日 07:32 JST
 
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*この記事は16日午後5時44分に送信しました。

 [東京 16日 ロイター] 2008年の金融危機発生以降、欧米市場の縮小に伴い、世界経済は一段と中国・アジア市場への依存度を高めている。国際通貨基金(IMF)は2011年まで世界経済が平均で4%程度成長するシナリオを描くが、その3割が中国の成長に依存する形となっている。ロイターは〔高まる中国依存〕という視点で、日本経済の発展性と問題点を浮き彫りにしていく。

 第1回は、河合正弘・アジア開発銀行研究所長にインタビューし、中国市場の可能性とリスクについて聞いた。河合所長は、人口13億人の中国市場において4億人の中間所得層が将来の富裕層に、その下の所得層の9億人が、将来の中間所得層になりうると指摘。その上で日本を含む世界の企業にとって、この富裕層・新中間層の獲得なしで生き残りを図ることは難しいとの認識を示した。同時に中国市場は、今後30年から50年にわたり、中付加価値品から高級品まであらゆるセグメントの商品の投入が可能だと述べた。

 河合所長は中国市場について「今最も重要になってきているのが、中間所得層に食い込むこと」だと述べた。

 現在、中国人の1人当たり国内総生産(GDP)は3000ドル程度で、日本の10分の1にとどまっている。一方で、年間可処分所得が5000ドルから3万5000ドル(50万円から350万円程度)の中間所得層と呼ばれる人口は4.4億人にものぼり、日本の総人口の4倍に当たる。この層が近い将来350万円以上の富裕層に移行していくと見られている。

 これ以下の所得層は、現在9億人程度。この層は近い将来、中間所得層に移行していくと河合所長は語る。

 こうした見通しにたって「日本でも1960年代から所得が増加して消費が徐々に高級化していった。それと同様、中国の中間層の将来のポテンシャルは相当大きい。こうした市場は最近なかった」と指摘した。

 その上で、企業にとって「この市場をつかまえておいて、自社のブランドを知ってもらえれば、30年、50年先までミドル商品から高付加価値商品まで売れるようになる。これを無視して企業は、今後やっていけないくらいだ」と語った。さらに「企業にすれば、ミドル商品から高級品までマーケットセグメントを捉えれば、予測可能な形で長期間仕事ができる市場だ」と述べた。

 企業にとって、金融危機後の欧米経済の落ち込みに伴って、中国依存を高めている要因もあることから、欧米経済の回復後のアジア市場の位置付けが気なるが、同所長は「当然、欧米経済の回復に伴い、欧米向け輸出は回復していくだろう。しかし、アジア中間層の伸びは続く。(中南米やその他発展途上地域と異なり)早くから外資を導入して世界経済とかかわってきたアジアが、これからの成長市場。欧米の回復後は、先端技術を生かした高級品は欧米に、中間的商品の大量販売はアジアという構図になっていくだろう」との見方を示した。

 日本企業では、かつて人件費や資源化価格の安さに目を付けて中国に生産拠点を移す動きが活発化したが、最近は巨大市場の開拓のために中国での開発・生産を手がける動きが出始めた。

 このため販売市場が拡大しても、日本国内では生産・雇用の拡大には結びつかない懸念もある。賃金についても論理的には中国など新興国の水準に収れんしてくことになりかねない。日本経済が今後どのような経済戦略の下に雇用を確保していけばいいのか、この点に関して河合所長は「このままでは日本経済は雇用機会を失うことになる。国内では製造業ではなく、サービス業などの知識集約型の産業に特化していくべき」だと語る。

 日本国内にはブルーカラーも大勢いるが、そうした付加価値の高い産業に従事できるような産業を育てていく必要があると主張。「英国、米国では賃金水準は途上国に収れんしているわけではない。日本も、そうした経済に転換していくことが必要」との見方を示した。

*このインタビューは11月13日に実施しました。

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者:編集 田巻 一彦)

 
 

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