〔アングル〕米シティ株が急落、財務状況に関心集まる

2007年 11月 2日 12:47 JST
 
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 [ニューヨーク 1日 ロイター] 1日の米株式市場では、金融大手シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)が資本強化のために減配を余儀なくされる恐れがあるとの懸念が浮上、同行の株価が急落した。

 懸念されているのは、総額800億ドルといわれるストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)やサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)など、同行のクレジット市場へのエクスポージャー。

 市場では、SIVの資金繰りが悪化すれば、バランスシートへの資産計上を余儀なくされ、資本の増強が必要になるとの懸念が浮上。モーゲージ関連で評価損の追加計上が必要になるのではないかとの不安もある。

 シティ株急落のきっかけとなったのは、CIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ウィットニー氏のリポート。「シティグループは、資産売却、減配、増資、もしくはこれらの組み合わせを通じて、短期的に300億ドル以上の資本調達が必要になるとみている」として、シティの投資判断を「セクター・パフォーマー」から「セクター・アンダーパフォーマー」に引き下げた。

 同日のシティ株は一時9%急落、2003年5月以来の安値をつけた。売りは株式市場全体に波及し、米国債は急反発。市場ではプリンス最高経営責任者(CEO)の辞任を求める声が強まった。同行の第3・四半期決算は57%の減益だった。

 シティの広報担当者はコメントを拒否。アナリストリポートにはコメントしない方針であり、配当額は取締役会の決定事項だと述べた。

 複数のアナリストによると、シティの四半期配当は総額27億ドル(1株当たり0.54ドル)。このため、資産売却やトレーディング業務の制限を検討する必要が生じる可能性があり、収益力が低下することも考えられるという。

 ニューヨーク大学ビジネススクールのロイ・スミス教授(ゴールドマン・サックスの元パートナー)は「シティは、モーゲージ市場やストラクチャード・クレジット市場の回復に期待を寄せている。もし回復しなければ、シティは多額の資産償却を迫られる可能性が高く、資本面の問題が生じることになる」と述べた。

<自己資本比率>

 連邦準備理事会(FRB)は「資本の充実した」(well-capitalized)銀行の要件を(1)Tier1自己資本比率が6%以上(2)自己資本比率が10%以上──としている。

 シティグループのTier1自己資本比率は、第3・四半期時点で7.4%と、第2・四半期の7.91%から低下。同行が目標とする7.5%を下回った。

 他の米銀のTier1自己資本比率は、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価, 企業情報, レポート)が8.22%、JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)が8.4%、ワコビアWB.Nが7.2%、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)が8.21%。

 シティグループの自己資本比率は第3・四半期時点で10.7%。FRBの定める10%は上回っているが、関係筋によると、内部目標の11.0─11.5%は下回った。

 シティのゲーリー・クリッテンデン最高財務責任者(CFO)は10月15日、来年初めまでに資本を目標水準まで回復させたいと発言、自社株買いの一時停止を発表した。日興コーディアルグループ8603.Tの完全子会社化も、三角合併を利用した株式交換方式で行うと表明した。

 ただ、クレディ・スイスのアナリスト、スーザン・カッツケ氏は、これだけでは不十分だと主張。

 「今後数カ月以内に一段と積極的なバランスシートの合理化が予想される」とし、シティの投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げた。

<監督当局は米銀の健全性を主張> 

 ただ、すべてのアナリストが、シティに減配が必要になると考えているわけではない。減配に踏み切れば、シティ株の売り圧力はさらに強まる可能性が高い。

 バンク・オブ・アメリカ証券のアナリスト、ジョン・マクドナルド氏は、減配論は「極端だ」と指摘。バランスシートのスリム化を図ることでおそらく事態を乗り切ることができるとの見方を示した。

 監督当局も、繰り返し米銀の健全性を訴えている。

 通貨監督庁のデューガン長官は10月8日の講演で、総合金融機関には「安定した」流動性資産があり、「顧客に融資を行いつつ、現在のクレジット市場の問題を切り抜けることができる」と述べた。

 ただ、いくら政府が米銀の健全性を主張しても、預金者が不安を感じる可能性は排除できない。

 今年8月、住宅ローン大手のカントリーワイド・フィナンシャルCFC.Nが与信枠115億ドルを引き出したと発表すると、同社の銀行子会社では、小規模ながら預金が流出。連邦預金保険公社(FDIC)の保証対象預金でも流出がみられたという。

 通貨監督庁は、個別行に関するコメントは控えたが、同庁では定期的に大手行を検査しており、「問題が生じれば、その銀行と協力してすぐに対応する」と述べた。

 
 

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