〔FEDフォーカス〕引き際が難しいFRBの緊急対策、出口戦略が必要
[ニューヨーク 7日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が現在実施している緊急景気支援策を終わらせようとするとき、正しいタイミングを選ぶという困難でデリケートな課題が待ち受けている。
長く待ち過ぎればハイパーインフレや新たな資産バブル発生のリスクを冒すことになり、早く動き過ぎれば景気回復の芽を摘む恐れがある。
悲惨な景気見通しやデフレの脅威にもかかわらず、過去に例を見なかったFRBの政策に対して、明確で信頼できる出口戦略の必要性を警告する声がこのところ増えている。
大恐慌以来最悪の金融危機から米経済を守るため、FRBは主要なクレジット市場に流動性を供給し、ここ数カ月でFRBのバランスシートは倍増した。
デルタ・グローバル・アドバイザーズの上級ストラテジスト、マイケル・ペント氏は「すべての道はインフレに通じており、FRBが政策を反転し始めたら、経済は非常に不安定な状態に置かれるだろう。大きな痛みを伴わずに出口を迎えられるというのは、認識の甘い未熟な考えだ」と指摘した。
FRBはこれまでのところ、クレジット市場と経済に対する緊急対策の終わらせ方について詳しく説明していないが、この問題が政策担当者の念頭にあるのは明らかだ。
ニューヨーク連銀スタッフのティル・シュールマン氏は、コロンビア・ビジネス・スクール(CBS)で最近行われた金融危機に関するシンポジウムで「FRBは出口戦略についてどのように考えるべきか」と学識者らに問いかけた。
これに対しコロンビア大学のタノ・サントス教授は「タイミングがカギになる」と答えた。
米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長は12月、政策担当者に対し、出口戦略に関する厳しい質問に今すぐ答え、「混乱の危険な道をたどらないよう」求めた。
一方CBSのグレン・ハバード学部長は、政策担当者らが直面する最大の課題の一つに流動性拡大策の終わらせ方を挙げた。
<自然終息>
PNCフィナンシャルの主任エコノミスト、スチュワート・ホフマン氏は、FRBの緊急対策の多くは(役割を終えた際に)自然終息するよう設計されていると指摘する。言い換えれば、景気やクレジット市場が回復すれば、FRB以外から低コストで資金を調達できる企業がFRBのファシリティーを頼る理由はなくなる。
JPモルガン(ニューヨーク)の米国担当エコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「簡単に終わらせられるかもしれない。しかしそれはすべて、経済が好調さを取り戻し、銀行のバランスシートが再び信頼に足るものになるという条件付きだ」と指摘した。
2007年12月に導入された短期資金供給ファシリティーに対する銀行の需要は、既に減退し始めている。アナリストはターム入札ファシリティー(TAF)の応札倍率低下について、プログラムに対する銀行の必要性が薄れており、資金調達ニーズがほかで満たされていることを示していると話す。
ただPNCのホフマン氏は、一般企業と消費者の借り入れ支援をターゲットとした緊急対策が問題になる可能性があるとみている。
例えば、消費者ローンと中小企業向けローンを裏付けとした資産担保証券(ABS)の保有者に融資を実施するターム物資産担保証券ローンファシリティー(TALF)は期間が3年で、段階的縮小は困難かもしれない。
一般企業の短期資金調達ニーズに対応するコマーシャル・ペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)も、企業にCP市場を利用させるよう、規模を減らし、借り入れコストを引き上げることで段階的縮小をどんどん進めることが必要かもしれないとホフマン氏は指摘した。
景気が回復するとき、セクターによって回復時期は異なり、ファシリティーの利用がほんの一握りの企業だけなら、プログラムがなお必要とは主張し難いだろう。
FRBの政策担当者らはまた、特に消費者向けの緊急支援策を終了する場合、景気回復の芽を摘まないよう迫る政治的圧力に抗う必要が出てくる可能性がある。
06年に日銀が量的金融緩和を終了したとき、政界は措置の継続を望んでいた。
恐らく、CBSのハバード学部長が先月主催したシンポジウムで述べたように、FRBは「空飛ぶドラゴンに乗るのは簡単だが着地するのは難しい」ことを肝に銘じておくべきだろう。
(Kristina Cooke記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 村山圭一郎)
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