〔焦点〕G20、新興国への資金流入問題に言及なくドル安再燃か

2009年 11月 9日 12:14 JST
 
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 [ロンドン 8日 ロイター] 週末開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、世界的な資金の流れの不均衡是正について、具体策が打ち出されなかったことを受け、ドルは対新興国通貨とユーロで下落圧力が強まると予想されている。

 英セントアンドルーズで開催されたG20では、国家間の通商・貯蓄などに関する不均衡是正に向けた議論の枠組みを定めることが声明に盛り込まれた。

 しかし、共同声明では経済の不均衡是正について一般的な問題だけに言及しており、最短でも来年末まで、個別の国が具体策を採ることで合意することは難しいことが示唆された。

 このため、新興国市場には今後も大量の資金流入が続き、当該国の通貨が上昇する可能性がある。自国通貨高抑制のため介入を行う中央銀行は、ユーロ投資を行うため、ユーロ相場EUR=も上昇することになる。

 ロイズTSBのシニア・マーケッツエコノミスト、ケネス・ブロー氏は「G20を受け、目先ドル安が再燃すると予想している」と述べた。

 <中国とブラジル>

 通貨問題の中心は、中国が管理下に置いている人民元の上昇容認に積極的ではない点だ。人民元の対ドル相場は2008年半ば以来、事実上固定されている。

 このため、ブラジルなど変動相場制の新興国に資金流入が続いている。ブラジルレアル(BRBY: 株価, 企業情報, レポート)は年初来30%以上上昇している。ブラジルは先月、レアル高の抑制策として、海外からの株式および債券への投資資金に対し2%の金融取引税を導入した。

 ブラジル当局者は先週、G20では新興国への資金流入問題を議論すると述べていた。しかし、今回のG20声明ではこの問題に対する言及がなかった。ブラジルは、世界経済の不均衡是正問題で主要な役割を担っている国際通貨基金(IMF)の高官から、さほど同情は得られていないようだ。

 IMFの国際通貨金融委員会(IMFC)のガリ議長は7日、ロイターとのインタビューで、ブラジルの金融取引税は機能しない可能性があるとした上で、「我々は通貨を固定すべきではない」と述べた。

 G20ではブラジル、日本、インドネシアなどの一部の国が、中国に対し人民元のより柔軟な動きを促す発言があった。

 しかしG20筋によると、会合全体として、この微妙な問題について中国に是正を求めることはしなかった。ダーリング英財務相は記者団に対し「人民元について議論しなかった。それは我々よりも中国の問題だと思う」と述べた。

 実際に中国はやや好戦的なムードだった。新華社によると、謝旭人財政相と人民銀行(中銀)の周小川総裁はG20終了後、人民元には言及しておらず、先進国は自国の経済政策の質に集中すべきと述べていた。同財政相は、自国通貨が基軸通貨になっている国は、当該通貨の価値を維持すべきだと述べ、ドル安問題を解決するのは米政府であり中国政府ではないとの認識を示した。

 今回のG20で人民元に言及がなかったことを受け、G20は中国に是正を求める会議ではないと受け止められたようだ。先月開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では人民元に言及があったが、「柔軟性を向上させるとの中国の方針を歓迎する」と文言は穏やかもので、その期限も言及されていなかった。

 <不均衡是正>

 G20は共同声明で、世界の通貨市場の安定化をもたらす経済均衡化問題を議論する詳細な日程を発表した。

 声明の付帯文書では、2010年1月末までに各国は金融・財政政策などの枠組みをIMFに提出することが求められた。IMFは4月までに世界経済の分析を行い、各国は6月に政策オプションを策定する。その上で11月の首脳会合で詳細な政策提言を作成する予定だ。

 しかし、付帯文書でIMFは特定の国に対する政策提言をしておらず、単に「同様な状況に直面している国々」と言及しているだけで、明確な人民元上昇容認提言は排除している。

 このため、短期的に為替市場は現在の状況が続くとの見通しがでている。

 

 (Andrew Torchia記者;翻訳 宮本辰男;編集 村山圭一郎)

(tatsuo.miyamoto@thomsonreuters.com; 03-6441-1864; ロイターメッセージング: tatsuo.miyamoto.reuters.com@reuters.net)

 
 

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