〔焦点〕景気対策発表から1年、積極的施策の恩恵に浴す中国

2009年 11月 10日 17:28 JST
 
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 [北京 9日 ロイター] 中国が4兆元(5860億ドル)に上る大型景気対策を発表し、緩和的な金融政策に転換してからちょうど1年が経過する。中国は今、世界的な金融危機に対して講じた積極的施策の恩恵を享受している。

 一部の著名エコノミストがしばらく前まで非現実的と嘲笑していた中国政府による2009年の8%成長目標は達成が確実だ。また、日本を抜いて世界第2位の経済大国に躍り出るとみられている2010年には、恐らく非常に高い成長率を記録するというコンセンサスが固まっている。

 世界銀行によると、中国は米国やユーロ圏、日本よりも世界の成長に貢献しており、輸入の急拡大が世界貿易の落ち込みの防壁となった。世銀の東アジア・大洋州地域担当主任エコノミスト、ビクラム・ネルー氏は「東アジア、とりわけ中国に向かって容赦ないシフトが起きている。中国は世界経済の中心になりつつある」と話した。

 

 要するに、中国は今、勝利感に酔っている。だが、むちゃなこともしていないだろうか。

 結局のところ、過剰投資、過剰貯蓄、過少消費という中国の発展様式の中心にある不均衡は、亡くなった米国人エコノミスト、ハーバート・スタインの金言にぴったりと当てはまる。スタインの法則は「永遠に続かないことがあるとすれば、それはいずれ終わる」と述べている。長く続いた米国の金融のお祭り騒ぎが危機を引き起こしたことも、法則を裏付けている。

 

 <堅実でむらのない成長>

 

 米国の例で明らかなように、中国にとって最大のリスクは、余りにも緩和的な政策を余りにも長期間継続することだ。しかし、謝旭人財政相は週末、中国がギアチェンジを急いでいないことをあらためて合図した。

 財政相はスコットランドで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「世界経済の回復には依然不透明感が強い。あらゆる国がマクロ経済政策の持続性と安定を維持すべきだ」と述べた。 

 中国政府は2年間の景気対策の中間に差し掛かったところであるため、銀行融資で手当てされた投資の巨大なうねりが来年も約束されている。鉄道を建設し始めて、半分やりかけのまま放置するようなことはあり得ない。

 

 設備投資のブームは意図した通りの効果を上げた。7.7%となった1─9月の国内総生産(GDP)成長率に対する投資の寄与度は7.3%ポイントだった。

 中国のインフラ需要は莫大だが、度が過ぎているとも言えそうだ。銀行融資は投資ブームを賄うためにここ1年間に約33%急増した。

 北京の国際通貨基金(IMF)事務所のTarhan Feyzioglu氏は「急速な与信の拡大ペースを緩め始めるころあいだ」と話す。

 中央銀行は普通であればインフレ回避のためにブレーキを踏むが、中国の場合は当てはまらない。実質的なインフレ圧力が緩やかだからだ。

 Feyzioglu氏は北京での会議で「中国の潜在的なリスクは、過剰投資と過剰な与信の伸びが過剰な生産能力につながり、最終的に不良債権が発生することだ。そうなれば金融システムが弱体化する」と指摘した。

 

 <バブルの発生>

 ついでに言えば、潤沢な与信が不動産や株式などの資産の争奪につながることが中国やアジアの大半にとって関連するリスクとなるだろう。野村の中国担当主任エコノミスト、Mingchun Sun氏は「政策担当者が積極的な引き締めを行えず、数年間にマイナスの影響が増幅されるリスクが高いとみている。われわれの意見では、資産価格バブル発生の可能性が高い」と述べた。

 同氏の見通しは中国政府のジレンマを浮き彫りにしている。中国は、返済や住宅ローンに関する規則を微調整することにより、住宅市場のかじ取りが可能だが、金融政策については、概ね両手を縛られている状態だ。中国は人民元相場を低く抑えておきたいため、経済情勢ははるかに良好なのに、実際は米国のゼロ金利政策を見つつ政策を決めているからだ。

 

 従って、中国の為替相場管理が今後1年間で最も決定的かつ意見が分かれやすい政策課題となっていくだろう。

 米当局者は、人民元相場CNY=CFXSの上昇を呼び掛けるキャンペーンを再開している。また米国では、鉄鋼やタイヤなど、安価な中国からの輸入製品に対する保護主義的なバッシングが強まりつつある。

 さらに重要なことには、中国が事実上のドルペッグ制を採用していることについて、ブラジルは問題だと週末のG20で決めつけ、新興国の結束を乱したことだ。

 

 <2010年は良好、2011年は良くない年か>

 

 中国はこれに対し、輸出がぜい弱である限り、人民元相場の上昇を容認するリスクは冒すことができないと反論した。また当局者らは、米国の金利が引き上げられる前に中国の金利を引き上げれば投機資金が殺到し、過剰流動性を吸収するのがさらに困難になるだろうと主張している。

 こうした主張も分からないではないが、説得力に欠けている。経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が良好で、為替相場もいずれは上昇すると予想されているため、中国が待てば待つほど、資本の流入は増えるだろう。

 フィデリティ・インターナショナルの投資担当社長、アンソニー・ボルトン氏は「中国のような市場に対し、西側投資家から資金が引き続き大量に流れ込んでいる」と話した。

 

 中国は今後どのように行動するだろうか。

 スペインの銀行BBVA(香港)の新興国市場担当主任エコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、中国が来年半ばから人民元の上昇を再開させるのではないかとの一般的見方に同意した。ただ同氏は、ごくわずかな上昇しか予想していない。さらに、インフレが抑制されているため、中国人民銀行(中央銀行)に大幅引き締めの圧力がかかることはないと見込んでいる。

 同氏は「これは政策が今後、過度に景気刺激的であることを意味する。2010年は良いニュースの年になろう。しかし2011年は問題が積み上がっていくだろう」と述べた。

 

 (チャイナ・エコノミクス・エディター、Alan Wheatley記者;翻訳 関佐喜子;編集 村山圭一郎)

 
 

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