世界のSWFが投資障壁に警告、APECビジネス界・政界の要人との会合で
[シンガポール 14日 ロイター] 世界有力政府系ファンド(SWF)の責任者は14日、世界各国の政府がSWFの活動を妨げなければ、SWFは世界経済の回復に重要な役割を果たすことができるとして、投資障壁に対して警告した。
世界の有力SWFの責任者は、シンガポールで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス界や政界の要人らとの会合に出席。アジア各国、およびクウェートやノルウェーなどの世界の有力SWFの責任者は、不安定な市場と先行き不透明な世界経済の回復を乗り切るために、SWFは長期的な資金を提供できる数少ない資金源となりうるとアピールした。
シンガポール投資公社(GIC)[GIC.UL]の副会長のトニー・タン氏は「世界的な資本市場を開放することの重要性を強調したい」とし「各国政府がSWFに対し自国の資本市場を閉ざした場合、その国の資本コストは上昇し、SWFの機会は縮小する」と述べた。
この日の会合では、メキシコや中国などからの参加者が、保護主義の台頭について警告。これまで、中国の国有企業による米国、および豪州での投資案件の実現をそれぞれの国の政府に阻止された経緯がある。またシンガポール政府の投資機関テマセク・ホールディングズ[TEM.UL]はタイとインドネシアでの投資が困難に直面した。
約3000億ドルの資産を持つ中国のSWF、中国投資有限公司(CIC)の金立群・董事長は、SWFは消極的な投資家で、投資対象の企業の経営にかかわることに興味を持っていないとし、SWFの投資には政治的な意図があるとの警戒感の払しょくに努めた。
同氏は「SWFは、過度に高い投資利益を追い求める競争には参加しない」と述べ、米国債利回りよりも若干高い水準の投資利益を得ることを目指しており、高リスク高リターン型の投資は追及しないとした。その上で「SWFは世界経済の安定に貢献してきた。SWFは他の投資家が資金を引き揚げたり、金融機関やその他の企業に新たに投資を実施したりしている時でも、一環した態度をとってきた」と語った。
また、4550億ドルの資産を持つノルウェーのSWFの担当者は、多くのSWFは20─30年のスパンでの投資を考えていると述べた。
世界のSWFが保有する資金は合計で約3兆ドルとされる。昨年の信用危機でUBS(UBSN.VX: 株価, 企業情報, レポート)やシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)などへの投資で損失を出したことから、一時は慎重姿勢を強めたが、現在は以前よりも積極的に投資を行うようになっている。
バークレイズによると、今年これまで最も活発に投資活動を繰り広げたのは中国のCICとアブダビのファンド。大部分が天然資源分野への投資だった。シンガポールのGICとテマセクは今年は欧米の銀行株のエクスポージャーを引き下げる一方で、新興国への投資を増加させた。
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