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アングル:金利引き下げでも動かぬ預金者、証券投資へハードル高く
2016年2月8日 / 05:52 / 2年前

アングル:金利引き下げでも動かぬ預金者、証券投資へハードル高く

 2月8日、日銀のマイナス金利導入は銀行の預金金利の引き下げに波及し、銀行にお金を預けるメリットはさらに薄れることになった。写真は都内で昨年11月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 8日 ロイター] - 日銀のマイナス金利導入は、銀行の預金金利の引き下げに波及し、銀行にお金を預けるメリットはさらに薄れることになった。しかし、超低金利にさらされ続けた日本人は、預金金利の低下を静観。

高い運用益を求めてすぐさまキャッシュを証券投資にシフトさせる動きは見えず、貯蓄から投資に弾みがつくには時間がかかりそうだ。

日銀のマイナス金利導入を受け、メガバンク3行は8日から一部の定期預金金利を引き下げた。例えば、みずほ銀行は2年の大口定期を0.01%幅引き下げて0.03%とし、1000万円を下回るスーパー定期と同じ金利にした。

しかし、預金者は動く様子をみせない。都内在住でりそな銀行に口座を持つ西村耕三さん(70)は、低金利があまりにも長引いているため「麻痺してしまっている。0.01%(になる)と言われてもぴんとこない」と話し、ひとまず静観する構え。

鞄店を営む相野谷理子さん(71)も「(金利)下げていますね。もう本当にバカみたい。何十何円(しかつかない)ですよ」とコメント。ただ、「投資と言っても、株がどう動くか分からない。心配ねと、主人と朝ごはんを食べながら話していたんですよ」という。

<890兆円のお金、腰重く>

政府はアベノミクスの一環として、日本人の約890兆円の現預金を、産業の血液となる株式市場へと誘導する「貯蓄から投資」を後押ししたい考え。

株式市場では、不動産関連の銘柄が買われたり、配当利回りのいい株式への買いは目立つものの、貯蓄から投資を裏付ける大きな潮流にはなっていない。

大和総研(ロンドン)のシニアエコノミスト、菅野泰夫氏は、2014年6月にすでにマイナス金利が導入されたユーロ圏の例を挙げ、個人の金融資産に占める有価証券の比率が2014年第3四半期の29.8%から、2015年第3四半期に29.3%になったのを踏まえ「ほとんど変わっていない」と指摘する。

一部では住宅ローンの残高が大幅に増えたものの、むしろ有価証券の運用残高は減っており「リスクオンの傾向はみられない」という。

S&Pダイレクタ―、吉澤亮二氏は「短期、中期的には家計のリスク選好は変わらない可能性が高い」とみている。

これまでアベノミクスでは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的な年金運用を低リスク志向からリスク性資産の運用を増やすように後押ししてきた。

個人のお金についても、非課税枠のある投資制度(NISA)の限度額を引き上げたり、その対象を4月から未成年者にも広げ、証券投資に導きやすい環境づくりを進めている。

しかし、そうした成果が浸透するには時間がかかりそうだ。日銀のマイナス金利導入で、個人マネーが預貯金から証券投資に押し出されるのかどうか。その状況によって、政府・日銀が目標にする2%の物価目標の達成時期や景気の回復テンポにも影響が出そうだ。

マネックス証券のチーフ・アナリスト、大槻奈那氏は「むしろこの状況ではタンス預金が増える可能性も高い」と指摘していた。

浦中大我、舩越みなみ、編集:江本恵美

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