株とドルは戻り歩調、足取り不安定で方向感に欠く
[東京 22日 ロイター] 22日の東京市場は、午前は株安・債券安に加えてドル相場も軟調地合いでトリプル安の様相を呈したものの、午後に入って米国株の回復期待や大手証券会社の投信設定などを材料に戻り歩調となった。
ドル/円相場は株の戻りを好感し、投資家のドル買いなどにも支援されて小幅反発している。ただ、株価、ドルとも足取りは不安定で明確な方向性を欠いている。
<日本株はプラス圏に復帰、不安定な状況>
株式市場では、午前中に日経平均が続落し一時200円を超す下げ幅となった。米国株の大幅安や為替が1ドル102円台の円高に振れたことが嫌気され、幅広い銘柄に売りが先行した。「大型株に海外勢の利益確定売りが先行。下値支持線とみられた25日移動平均線を割り込んだことで、先物に仕掛け的な売りも出て下げ幅が拡大した」(大手証券エクイティ部)という。
午後に入って、日経平均は、現物でメガバンク株の買い戻しや、ドルが103円台を回復したこと、グローベックスの米国株指数先物が堅調で米国株の上昇期待が出てきたことなどから、プラス圏に復帰した。
また、野村アセットの22日の投信設定額(日本割安好配当ファンド)が700億円を超えたことで、需給が引き締まるとの見方も下支え要因となっている。
ただ、株式市場の足取りは、依然不安定だ。
「日米市場とも米国景気の行方について楽観に振れすぎていたため、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録や経済見通し修正を受けてこの調整が入っている。ただ、センチメントが振れているだけで、原油価格以外はもともとリセッションをみていた米国景気にしても為替にしても想定からはずれたわけではない。日経平均の下値は1万3500円程度とみている」と、いちよし証券投資情報部チーフストラテジスト・高橋正信氏は指摘する。
日本株が買われすぎているとの指摘もある。
「日本株はバリュエーションの壁にあたって跳ね返された格好だ。一時、日経平均でみて株価収益率(PER)は17倍まで買われたが、インドのSENSEX指数でさえ17倍だ。減益予想の日本に対しインド企業は利益2割増見通しであり、相対的にみて日本株はやや買われすぎの水準まで上昇していた」と三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長は分析する。
ある外資系証券の営業担当者は「インフレリスクが相対的に小さいという意味で日本株の買い余地はあるが、企業業績が米国景気、為替、原材料価格などの要因で振れやすいのは事実。現状をみれば企業側の下期増益シナリオは楽観的にみえてくる」という。
DIAMアセットマネジメントシニアポートフォリオマネジャーの宮田康弘氏は、「足元の国内株式は中期上昇後の踊り場とみている。TOPIXでみた3カ月程度の中心レンジは1250─1500を想定している」としたものの、「リスクは円高。基本観は日経平均は3月安値の1万1691円で底打ちとのみているが、内需改善が遅れるなか、米景気後退長期化や1ドル90円割れの円高に振れた場合、2番底をつけにいくリスクも残る」(同氏)という。
<原油高とドル安の連鎖>
米原油先物は、日本時間22日朝方の電子取引で史上初めて1バレル=135ドル台に乗せた。米原油在庫の予想外の減少やドル安を背景に、市場に大量に資金が流入したため。米原油先物7月限はグローベックスの電子取引で135.04ドルを付けた。21日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)終値より1.4%高い水準。21日のNYMEXで7月限は4.19ドル高の133.17ドルで終了した。
ヘッジファンドや米年金などのマネーは、好成績を示す原油市場に流入し続け、米原油先物は月初から20%超上昇している。「ドルが下落すれば、他通貨を保有する書いての購買量は増加する」(外銀アナリスト)との見方から、最近のドル安基調も原油市場の上昇にモメンタムを加えているという。
午後2時50分現在、ドル/円は103.05/07円の気配で前日ニューヨーク市場終盤とほぼ変わらずの水準。
他方、為替市場では原油高がドル安の流れを先導しているとの見方もある。
「欧米の金融政策面から言えば、米連邦準備理事会(FRB)が、エネルギーと食品を除いたコア指数に注目するのに対して、欧州中央銀行(ECB)は、それらを含めた総合指数に着目している。この結果、ECBはFRBとの比較においても、タカ派スタンスを維持しやすい環境が整っている。この面で、原油高はドル安/ユーロ高を招きやすいと言える」と ロイヤルバンク・オブ・スコットランド東京支店のヘッドオブFXストラテジー山本雅文氏は指摘する。同氏は当面のドル円予想レンジを102.00-103.80円としていた。
金融市場では、原油高による米消費の低迷が懸念されており、それが米株安、ドル/円の下押し圧力に結びついている。ただ、市場参加者は米株式市場の軟調な地合いは、原油高だけではなく、金融関連株の下落基調も背景にあるという。
米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は21日、世界的な金融危機による米経済への影響は、大方の予想以上に深刻で長期にわたるとの見通しを示した。当地で行われた記者会見で語った。バフェット氏は、経済の悪化による金融機関への影響は第二次世界大戦以降最悪と指摘した。
<債券市場とインフレ懸念>
国債先物の中心限月6月限は、国債買い切りオペの結果を受けて、一時前日比1円06銭安の134円80銭まで売り込まれた。10年最長期国債利回り(長期金利)も上昇し一時7.5ベーシスポイント高の1.680%まで上昇した。
「国債利回りがベア・スティープニング気味になっている。財務省が27日実施する20年利付国債(8000億円、2028年3月20日償還)の入札を控え、それに備えた持ち高調整的な動きが影響した可能性がある」と日興シティグループ証券の債券ストラテジスト・山田聡氏は言う。
たが、債券市場の一本調子の下落については懐疑的な見方もある。
「海外市場では米株安/債券安となり、ドルも含めたコモディティへの資金移動がみられているが、日本でもそうした動きになる必然性はない。長期金利が1.6%を割り込むことは難しいとはいえ、1.7%付近ではサポートされる公算が大きい。足元のレンジは1.6―1.7%とみている」と同氏は語る。
債券市場でも原油価格に対する警戒感は強い。
カリヨン証券・チーフエコノミストの加藤進氏は、原油相場について「バブルが破裂する雰囲気がないため、原油価格は1バレル=150ドルに向けてじりじりと上昇を続けるのではないか」としたうえで、「円債市場はインフレ懸念に対して楽観的で、織り込んでいないと言っても過言ではない。外国人投資家からみれば、仮にインフレ率2%の時に、長期金利が1.5─1.6%でいいのかという議論につながる。コスト的に投資が見合わないと判断された場合には、大きな調整が引き起こされる可能性もある」と述べた。
(ロイター日本語ニュース 森 佳子記者 編集 宮崎 大)
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