米金融決算通過し短期筋が株買い戻し、原油軟調でマネーシフト先に注目
[東京 23日 ロイター] 23日の東京市場は株高/債券安。米国の金融機関の決算発表がほぼ終わり、金融システム不安の高まりを材料に株売り/債券買いを出していた短期筋などがポジション解消に動いている。原油が下げ基調にあることも株買いを後押ししている。
加えて、日本株には実需筋からの買いも観測され始めている。市場では、原油市場からのマネーの流れ先に関心が向いており、なかには、産油国の資金がファンド経由で日本株にも入ってきている、との声も出ている。
<日経平均が戻り歩調、CTAに実需も加わる>
東京株式市場で日経平均は続伸。銀行や証券など金融株や不動産株に買い戻しが入った。日経平均は前週末終値から500円以上戻している。
戻りの原動力はCTA(商品投資顧問業者)など短期筋の買い戻しとみられているが、株価の戻りに実需筋の買いも出始めてるという。強気ムードが徐々に回復している大きな要因は原油価格の下落だ。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の米原油先物相場は22日、6週間ぶりの安値を付けた。メキシコ湾を通過中のハリケーン「ドリー」が海上産油施設に被害を与える公算は小さいとの見方が強まったためだが、米国経済の混迷が深まっていることや、世界の主要原油消費国で需要低迷が継続していることが相場下落の大きな背景だ。ガソリン小売価格の急騰で自動車の利用を控える動きが強まるなど、原油価格の上昇が需要の低下を引き起こす現象が各地で出始めている。
大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部部長の高橋和宏氏は「円安や原油価格の落ち着きなど環境が好転してきた。原油価格については、1月にも1バレル130ドル割れた後もみあいとなって再び急騰したこともあり、まだ警戒感はある。一方、国内株は依然、債券先物買い/株式先物売りの解消が上昇の主因だが、徐々に実需マネーも動き出しているようだ。日経平均で25日移動平均線を抜ければ、戻り売りをこなしつつ8月に向けて1万4000円水準を試す場面も期待できそうだ」と話している。
<産油国の資金、日本株買い観測>
市場では「原油など国際商品価格を投機資金が押し上げ世界的なインフレ傾向を強めていたことは間違いない。投機資金が手を引く形で自然に原油価格が下落すれば、無理な金利引き上げや当局の規制を行わずにすむ。株式市場などへの資金シフトも予想される」(国内証券ディーラー)と好感する声が多い。原油価格下落はドル高/円安をもたらし輸出株にとってのメリットもある。
三菱UFJ証券プロダクトマーケティング部株式課の谷村仁氏は「原油価格の下落基調が鮮明化しつつあり、原油市場に回っていた資金が次の投資先を探り出している。川上から川下に向けて価格転嫁が進んでいることを考えれば原油の値下がりですぐにインフレ圧力が和らぐわけではなく、債券投資が難しいなかで株式市場には資金がまわってきやすい。実際、産油国の資金などがファンド経由で日本株にも少しずつ入ってきているようだ」と指摘している。
<円債、逃避買いの巻き戻し継続>
円債市場は続落。原油価格の大幅下落を受けて、債券への逃避買いの巻き戻しの動きが続いた。プロッサー・米フィラデルフィア地区連銀総裁が、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制のために労働、金融市場の回復を待たずに利上げ開始を余儀なくされる可能性があると述べたことも米債安を通して売り材料になった。
先物9月限は一時40銭安の135円30銭まで下げ幅を広げた。もっともその後は株価の動きが鈍くなったことから、下げ幅を縮小してもみあいとなった。
現物市場では10年最長期国債利回り(長期金利)は一時4.0bp高い1.650%をつけたが、この水準では押し目買いが入った。金利上昇場面では超長期債への買いが指摘されていた。あすに20年利付国債の入札を控え買いづらさは残るものの、超長期債は需給不安が乏しいため一方向の下げにはなっていない。
国内証券の関係者は「円債市場は海外にらみの展開が続いている。前日の米債の下落につながったのは、プロッサー総裁の発言で早期利上げ観測が強まったことがひとつの要因だが、米金融政策の次の一手に関してはまだ手探り状態。きょうもミシュキン米FRB理事やコーン米FRB副議長など、米当局者の発言の場が続くので思惑によって振らされやすい。逆に言えば、海外要因以外では動きづらい状況が続く」と話す。
外資系証券筋は「インフレ警戒は残るものの米金融不安が払しょくされず、景気後退懸念も高まるなかで総じて国債が買われやすいという構図に変わりはない。日銀の金融政策について当面は利上げも利下げもないと見込んだ場合、現在の金利水準というのは比較的居心地がいい」とし「長期金利が1.5%に向かって低下していくには新たな買い材料が必要」とみている。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:宮崎 亜巳)
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