来週はドル伸び悩みの展開へ、クロス円売りに歯止めかかるか見極め
[東京 5日 ロイター] 来週の外為市場で、ドルは伸び悩む展開が予想される。一方、足元では世界経済に下振れリスクが強まっていることでクロス円売りの地合いだが、一段下落か歯止めがかかるかを見極めたいとする声が出ている。
特に、豪ドル/円は資源価格の下落を受け売られやすく、経済指標などで景況感の悪化が確認されれば追加利下げ観測が強まり、さらに売りが加速しそうだ。逆に、指標の内容が強ければ買い戻し圧力が大きくなる展開も予想されている。
予想レンジはドル/円が105―108円、ユーロ/ドルは1.40―1.44ドル。
<ドル/円は買い材料見当たらず、下落局面で再び105円台も>
ドル/円は4日の海外市場で1カ月半ぶりの水準となる105.67円に下落した。みずほ総合研究所シニアエコノミストの武内浩二氏は、米国について「減税効果がはく落して、年末までにはリセッションの色が濃くなってくることや、実体経済に深刻な影を落としている金融セクターのクレジット問題もあり、ドル/円でドルが買われにくい状況」との見方を示す。ある米系証券の関係者も「全般的に投げの展開となっており、商品市況が下落してもドルが上値を追う展開は考えにくい」と指摘している。
また、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー東京支店のヘッドオブFXストラテジー、山本雅文氏は「米個人消費は年内は低迷が続くとみており、安全な逃避先としての米国債需要を背景とした米金利低下圧力継続も考慮すると、ドル/円相場の上値は重い」とし、再び105円方向に下落する展開を予想する。さらに、今月中旬以降に「米大手証券会社6―8月決算発表を控えた業績予想の(下方)修正が米株価の下落やリスク回避姿勢の強まりを通じて、ドル売り/円買い圧力になるリスクもある」と述べている。米経済指標では、12日発表の8月米小売売上高が注目される。
ユーロの一段安も予想されている。ユーログループの議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相が4日、記者団に対し「ユーロは時として1.44ドルを下回っていたことがあり、そのような為替動向を歓迎する」と発言したことで、市場では「具体的な水準まで明示した発言がユーロ売りに拍車をかけた」(都銀)との声が出ている。ユーロ/ドルがテクニカル上の下値抵抗線を割り込んできたきたことで、市場では「1.40ドル付近までの下落もあり得る」(外銀)とする見方も出ている。
<クロス円売り加速か一服かを見極め、豪ドルは反発の可能性も>
外為市場ではクロス円売りの地合いが続いているが、8日から始まる週ではそうした地合いがさらに強まるか、あるいは下げ止まるのかがポイントとなる。特に、豪ドルや英ポンドは底値が見えない状況で、経済指標などで相場が敏感に反応しそうだ。7月豪小売売上高のほか7月英鉱工業生産、同製造業生産、8月英生産者物価指数(いずれも9日)が注目される。12日発表の4─6月期GDP2次速報の数字は1次速報から、やや下方修正されるとの見方もあるが「特に材料視されないのではないか」(米系証券)とみられている。
RBSの山本氏は豪ドルについて「重要指標発表が予定されており、下振れリスクと豪ドル売り圧力に注意が必要だ」としている。ただ、これまで豪市場金利は大幅に低下し、来年半ばまでの100bpの追加利下げがほぼ織り込まれていると指摘。通貨先物市場では「投機筋のロングポジションもほぼ解消され、ごく短期ではショートポジションも造成されているとみられる」とし、「悪材料がかなり織り込まれてきている中、予想よりも改善した場合、潜在的な買い戻し圧力が次第に大きくなっている可能性もある」との見方を示す。
一方、英ガーディアン紙は8月30日、ダーリング財務相が「(われわれの直面している時期は)60年間で最悪とみられる。考えられていたより深刻で、より長期にわたるのではないか」と述べたと伝えた。しかしフィナンシャル・タイムズ(FT)紙電子版はその後、財務相があたかも過去60年で最も深刻なリセッション(景気後退)を予測しているかのような誤った印象を与えたとしたうえで、財務相は世界的信用収縮や商品価格の上昇など現在の経済状況の厳しさを強調しているとし、ガーディアンのインタビューを打ち消そうとした。しかし、外為市場ではガーディアンの論調によりインパクトが大きいとの見方だ。
<自民総裁選が本格化、各候補のマニフェストに関心>
日本では次期総選挙をにらみ、政治日程が大きく動き始める。民主党は8日に代表選(21日投開票)を告示、また自民党は、福田康夫首相の辞任表明に伴い、10日に総裁選(22日投開票)を告示する。民主党は、小沢代表以外の立候補者が見込まれておらず、小沢代表の再選が濃厚。一方、自民党は麻生太郎幹事長のほか石原伸晃元国交相、与謝野馨経済財政担当相、小池百合子元防衛相の4氏が出馬に意欲を示している。
自民党総裁選は経済政策が主要な争点になる見通しで、8日から始まる週は各候補の政権公約が次第に明らかになりそうだ。「市場にとっては財政規律の観点で上げ潮派が望ましい」(邦銀)とされ、中川秀直元幹事長らが後押しする小池元防衛相の正式出馬表明が1つの焦点。中川元幹事長は、自身のホームページで「この総裁選は民主党の攻勢にさらされていた自民党にとって反転攻勢に出る絶好の機会」とした。そのうえで「本命視される麻生幹事長だけでなく、複数の候補者が立って政策を競い合い、総選挙に向けた自民党の政権公約(マニフェスト)を明確にすることが望ましい」と指摘している。
(ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)
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