米GSE政府管理:識者はこうみる

2008年 09月 8日 10:11 JST
 
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 [ニューヨーク/東京 8日 ロイター] 米政府は7日、政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)を政府の管理下に置くと発表した。悪化する米国の住宅市場や経済を支えるため、積極的な支援に乗り出す形となった。

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●政府のコストを試算するのは困難

<ファクト・アンド・オピニオンズ・エコノミクス(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、ロバート・ブルスカ氏> 政府のコストがどのくらいなのか、試算するのは困難だ。米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)の問題は、起きるべくして起きた。GSEの事業はもともと存続不可能なものだった。うまく撤退する方法はない。GSEはレバレッジが非常に高い。始めから意味をなさない事業だ。

 ファニーメイとフレディマックはコーポレートファイナンスの悪夢。プライベートキャピタルがGSEに出資することは決してない。

 株主は損をすることになろう。GSEは国の政策として国民に安価なモーゲージを提供するために設立されたものだが、これは失策だった。ただ(今回の救済は)モラルハザードではなく、適切なものだ。

●出血を止めるまでは市場の回復ない

<ラッセル・インベストメンツ(ニューヨーク)のシニアポートフォリオストラテジスト、スティーブン・ウッド氏> 

 政府による規制や管理の熱心な支持者でも、1年前には夢にも考えなかったような状況に、われわれは今ある。政府がこのように市場に関与することは1、2年前には想像もできなかった。規制当局や財務省、米連邦準備理事会(FRB)の選択肢は限られている。副作用は相当だが、何もしないことは受け入れられない、といったところだ。

 スプレッドがワイド化している主な要因の1つはGSEだ。住宅市場や経済全般、債券市場の出血を止めるまでは、市場の回復はない。

●スプレッドは今後縮小へ

<バンクレート(フロリダ州ノースパームビーチ)のシニアファイナンシャルアナリスト、グレッグ・マクブリッジ氏> 

 (救済は)住宅ローンの供給を確実にするものだ。モーゲージ債のスプレッドは現在は歴史的に見てワイドな水準にあるが、今後は縮小していくだろう。米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)はこのところローンの取得を減らしたり、ローン取得時の手数料を増やすなどしており、(今後のスプレッド縮小は)GSEの動きによるものともいえよう。

 政府債の保有リスクが高まったとの認識から米財務省証券の利回りが上昇するならば、スプレッド縮小を打ち消す可能性がある。こうしたことが起きなければ、住宅ローン金利は今後数週間で50ベーシスポイント(bp)程度低下する可能性がある。住宅ローン金利は住宅購入に対する障害ではないが、リファイナンスの障害となっている。

●効果は限定的、方向感は変わらず

<BNPパリバ銀行東京支店 外国為替部部長 好川弘一氏>

 米政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)を米政府の管理下に置くと発表され、外為市場ではポジティブに反応した。しかし、その反応が一巡した後は、実体経済がテーマになると思う。米国の利上げは考えにくく、下手をすれば下げ方向だ。欧州も状況は変わらない。そうなると、支援策の効果は一時的、限定的とみている。つまり、前週の円買いの流れは変わらないのではないか。支援策についてはコストの規模が大きすぎ、効果を見極めるには市場が地球を1周するぐらいの時間が必要だ。今週の予想レンジはドル/円が106.50―109.50円、ユーロ/ドルは1.42―1.47ドル。

●時期的にサプライズ、日本株は切り返し

<大和証券SMBC グローバル・プロダクト企画部部長 高橋 和宏氏>

 米政府が政府系住宅金融機関(GSE)2社を公的管理下に置いたことはシナリオ的には想定されたことだが、タイミング的にはサプライズといえる。次期米政権に持ち越される可能性もあるとみられていたためだ。この救済策で米住宅市場が底入れするわけでもなく、すべてが解決されるわけではないが、金融セクターの不透明感が資金の動きに悪影響を与えていた面もあり、その点では間接的にせよポジティブな効果が期待できる。

 再び安値を割り込む可能性がないとは言い切れないが、前週末の大幅安の反動もあり、日経平均株価.N225はいったん切り返すだろう。

 ただ依然として景況感や業績見通しはさえない。先行きの見通しに期待感が表れなければリスクプレミアムが低下せず株価の本格的な回復には時間がかかりそうだ。

●局面転換には公的資金の積極活用必要

 <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 

 なお積極的な措置とは言い難い。市場催促やメディアの論調におされた当面の措置で、選挙を控える中では大きく動きづらい状況に変わりもない。局面転換には積極的な公的資金活用が必要だ。短期的にはドル高/株高/債券安の流れが予想される。しかし、8月の米雇用統計で失業率が6.1%に急上昇しており、市場の米利下げ観測も再浮上している。

 実体経済の悪化度合いの速さと税金投入が打ち消しあう部分もあり、次第にドル高/株高/債券安には息切れ感が出てきそうだ。

●米民間金融への公的資金、なお距離

<東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤 満氏>

 米政府系住宅金融機関(GSE)を米政府が公的管理下に置く政策パッケージが発表された。東京市場は、公的資金がGSEに入ることを歓迎し、大幅な株高/債券安になっている。

 ただ、これをきっかけに米民間金融機関にも近い将来、米公的資金が注入されるとみるのは、早計だろう。GSEは政府の関与が大きく、これを根拠に米政府は公的資金の注入を決断した。

 しかし、民間金融機関への公的資金の注入には、米政権や与党共和党内に依然として慎重論が根強い。

 他方、米金融市場の機能不全は全く改善の兆しがなく、健全な企業への信用供与もおぼつかなくなってきている。金融システムを起点にした米経済の失速スパイラルは、米民間金融機関への公的資金の注入があるまでは、予断を許さない。

 
 
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