混乱続く金融市場、「負の連鎖」顕在化で意識されるG7協調

2008年 10月 6日 19:16 JST
 
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 [東京 6日 ロイター] 米金融市場安定化修正法案が成立しても、金融市場の混乱が収まらない。週明け東京市場では、市場の不透明感が一段と高まり、円高/株安/債券高が大きく進む大荒れの展開となった。

 特に日経平均株価は1万円割れが視野に入り、外為市場ではクロス円が売り込まれるなど「負の連鎖」が顕著にみられた。市場では金融機関の財務を悪化させるのは株価の下落ということが再認識され、信用収縮懸念の輪を広げている。そうした中でマーケットは10日開催予定の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)への注目度を急速に高め、米欧日の協調利下げの可能性を探る展開になっている。

 <日経平均は1万円割れ視野に>

 株式市場では日経平均が大幅に続落し1万0500円を割り込み、2004年2月以来の安値水準で引けた。米金融安定化法が成立したものの、市場では抜本的な対策にならないとの見方が多く、投資家の不安心理が収まっていない。海外ファンド勢の換金売りが止まらないほか、信用取引の追い証発生に伴う処分売りなども出て下げ幅が拡大した。「次に予想される対策は欧米での緊急利下げであり、そうした観測が円高を誘発した。輸出関連株にとって逆風になっている」(東海東京証券・エクイティ部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。

 米金融安定化修正法は、その実効性に問題があるとみられている。買い取り枠が十分ではないとの指摘があるほか、金融機関の不良債権の買い取りには1カ月以上かかるとの一部報道もあるなど効果は未知数という。仮に買い取りが進んでも、銀行の貸し渋りが収まるには時間がかかるとの見方もある。三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「実際に法案を運用するのは新政権ということになるのだろうが、前週末の米市場では株価が急落する米大手銀行があるなど、マーケットでは警戒感が強まっている」とみている。

 藤戸氏はマーケットの目がグローバルリセッションのおそれにも向いているという。「米国では1割の富裕層が9割の資産を持っていると言われるが、レイオフされる労働者だけでなく、こうした富裕層も株と土地の下落で大きな痛手を受けている。今年のクリスマスだけでなく、厳しいリセッションが長期化するとの懸念が株価を押し下げている。日経平均株価の1万円割れも視野に入れておく必要がある」と話している。

 <リスク回避の円高急進、ユーロ売り継続の見方>

 外為市場では、欧州金融機関の財務の健全性に関心が向けられている。資本筋による大口のユーロ売りや、欧州首脳会談で欧州金融セクターの安定化に向けた包括的なプランが示されなかった失望感などから、朝方からユーロが対ドル、対円で大幅に下落した。懸案となっていた米金融安定化法案の成立後も日米の株安からリスク回避の円買いが強まり、クロス円は全般的に軟調。ユーロ/円は朝方、資本筋からの大口の売りや個人投資家の売りに押され、2年半ぶりの安値139.97円を付けた。また、英ポンド/円は早朝から夕方の間に4円近く下げた。

 豪ドル/円が81円付近から一時77円を割り込むなど大きな下落も目を引いた。市場では、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が7日の理事会で追加利下げに動くとの観測が台頭しているという。ロイターの調査では全員が利下げを予測する。政策金利であるオフィシャルキャッシュレートは現在7.0%。利下げ幅については、20人中15人が50ベーシスポイント(bp)とみている。オーストラリアでは国内経済指標が堅調なため、数週間前まではRBAが9月に25bpの利下げに踏み切った後はしばらく利下げはないとの見方が強かった。その後、世界的な信用収縮が深刻化し、資源輸出と海外からの投資への依存度が高いオーストラリア経済の先行き懸念が高まっている。

 みずほコーポレート銀行・国際為替部次長の竹中浩一氏は、フランスのBNPパリバ(BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)が経営難に陥ったフォルティス(FOR.AS: 株価, 企業情報, レポート)(FOR.AS: 株価, 企業情報, レポート)のベルギーとルクセンブルク業務の経営権を取得するなど、不安解消の材料が出てきたが「アイルランドやスペインをはじめ欧州の金融機関に対する疑念は深まっている。こういう状況下では、利下げが視野に入ってきており、マーケットもそうしたアクションを催促するだろう」と言う。このためますますユーロが売られやすい地合いと指摘している。

 <長期金利は急低下>

 国債先物は、朝方から年金や銀行など国内勢から現物に買いが入っていることに加えて、日経平均が後場、一時500円を超える大幅な下落となったことを受け、海外勢などの先物買いが活発化した。その後も上げ幅を拡大し、一時前日比1円15銭高の138円83銭まで上値を伸ばした。現物市場でも買いが一段と強まり、長期金利は前週末比7.5bp低い1.370%に低下して4月以来の水準を付けた。5年債利回りは同8.5bp低い0.895%をつけ0.9%を割り込んだ。

 ある国内証券関係者は、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切らざるを得なくなっているほか、欧州もすでに利下げ局面直前まできていると指摘する。また、日銀はまだ中立姿勢を維持しているが「マーケットは先読みして利下げを織り込んでいくことになるだろう」とし、足元ではそうした思惑を織り込んで、金利が低下を始めているとの見方を示す。

 <にわかに注目されるG7、くすぶる協調利下げの思惑>

 金融市場の混乱が続くなか、今週開催予定のG7も意識され始めた。いちよし証券・投資情報部チーフストラテジストの高橋正信氏は、G7に向けて、政策の催促と政策当局の対応の綱引きになっているが、米国は金融安定化法案を通したばかりで、大統領選後まで財務省は動けず政策の空白期に入ると指摘。その上で「FFレートののりしろが小さい中では安易に利下げもしにくい。欧州を中心に公的資金投入の枠組みを作れるかどうかが焦点」としながらも、米国は公的資金投入の枠組みに参加できないとみている。欧州も危機感の温度差が目立つなかでは不透明感が強いが、株価の下げが対策を引き出す可能性があり、状況を注視したいという。

 みずほコーポの竹中氏は、G7に関して「協調的な枠組みを示すことができるかどうかがポイントになるだろう。市場では、協調利下げの可能性もなくはないとみている。ただ、信用収縮の動きを止めるのは難しいと思う」と指摘している。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者;編集 田巻 一彦)

 
 
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