相場修正に早くも一服感、日経平均1万円回復には距離
[東京 15日 ロイター] 15日の東京市場は、ドル、株ともに軟調地合い。米国をはじめ主要国が金融危機対応策を相次いで発表、さらなる金融混乱は避けられるとの観測が聞かれるが、過度な悲観論の後退による相場の修正には早くも一服ムードが出ている。
海外の実需勢が動きをみせていないため、前日に過去最大の上昇率を記録した日経平均は早い時期の1万円回復が遠退いた、との声もある。
<海外ファンド勢は売り姿勢、実体経済に警戒感>
株式市場では日経平均が反落している。前日急騰の反動で戻り売りが出ているほか、為替が1ドル101円台まで円高に振れていることを嫌気している。各国政府が金融問題に対して政策を次々と打ち出しているが、「金融システム問題の影響が今後、実体経済に波及するとの懸念から新規の買いは少ない。海外ファンド勢の売りも上値を圧迫している」(東海東京証券エクイティ部長の倉持宏朗氏)という。
欧米当局による金融機関への公的資金注入スキームが出揃ったことで、15日のJPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)や16日のシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)など銀行決算をにらんだ不透明感はやや後退した。株価も大幅に調整し、いったん底入れのムードもある。だが、実体経済は株価ほどのスピード感を伴っていないが、時間をかけて悪化のプロセスをたどっている。
「焦点は事業会社に移ってきた。インテル(INTC.O: 株価, 企業情報, レポート)の決算は予想よりよかったとはいえ見通しが慎重だったことで楽観的にはなれない。ペプシコ(PEP.N: 株価, 企業情報, レポート)の業績見通しもさえなかった。今週は米大手企業の決算発表が目白押しで、足元の米景気動向を探るうえでも内容を確認したいところだ」(投信関係者)との声が出ている。
10月後半からは国内企業の9月中間決算も本格化する。「足元の原油安は好材料だが円高や世界的な景気悪化に伴う需要の減少などを見極めたい」(国内証券)として、国内外の実需筋は慎重な投資スタンスを継続している。
みずほインベスターズ証券エクイティ部長の稲泉雄朗氏は「金融不安はいったん後退したが、一方で景気や企業業績の不安が強まっている。海外の機関投資家は様子見姿勢を続けており大きく動いていない。当面は1万円大台が大きな壁となりそうだ」と話している。
<ドル売り材料に再び焦点>
為替市場も前日と一転して円買い方向だ。ドル/円は一時101.12円と朝方につけた高値から1円超下落。ユーロ/円は136.95円と同2円を超える下げとなった。英ポンド/円も175円後半と同3円程度、豪ドル/円は69円後半と同2円近く円高が進んだ。
米国が金融機関への資本注入を含む金融危機対策を正式発表したが、材料出尽くし感から米株が下落、つれてドル売り/円買いが強まった。
公的資金の注入で「最悪状態を脱した」(外銀)というが、「市場の関心がファンダメンタルズに向いてきた。決算が苦戦しているようでは株安も仕方がない」(別の外銀)として、米株売り/ドル売りの動きがでた、という。
このほか、市場では様々な話題がドル売りにつながった、との声もある。市場の楽観論を戒める当局者発言や米財政赤字の拡大だ。
ユーログループの議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は14日、ルクセンブルク議会で「過去2日間に株式市場でポジティブな反応があるが、金融危機の終わりを宣言する理由はない」と述べ、市場の「過度の楽観主義」に反対する姿勢を示した。
また、米財務省は、2008年度(07年10月─08年9月)の財政収支が4550億ドルの赤字と過去最大になったと発表、「金融危機対応で財政赤字の一段の拡大というリスクが意識され始めた」(邦銀)という。
一方、ある外銀の為替部長は、米国はそもそも、景気減速と金融危機という「複雑骨折に近い状態」としたうえで、前日からきょうにかけてはテクニカルな調整が主因だったと分析する。「客観的に見れば危機は一服したといえるが、世界的に株価が下落した影響はこれからが本番。銀行セクターは(資本注入で)いったん落ち着くかもしれないが、金融セクター全体で見れば傷を負ったまま。年度下期にかけて、そうした問題から発生した処理が本格化する」とみる。
<日銀の安定化策、円債買いに安心感>
円債は小反発。銀行勢の中短期ゾーン買いが目立った。実体経済の悪化が不可避との思惑も、債券買いの背景という。
日銀の金融安定化策も一定の安心感を与えた、との受け止めが多いようだ。参加者からは「国債現先オペの対象にレポ市場で使いにくかった変動利付国債や物価連動国債、30年債が入った。外資系金融機関の資金繰りにも効果がありそうだ」(国内金融機関)との声が聞かれた。
レポ市場も徐々に落ち着きを取り戻している。17日スタートのGC翌日物金利は0.6%付近と0.6%半ばで推移していた前日に比べて小幅低下している。
日銀が即日実行で実施した手形売出オペの案分落札金利は0.470%と前日の同オペ(0.500%)に比べて低下した。応札額は1兆8970億円と予定額1兆円の2倍近くに上り「余剰資金を抱える金融機関が積極的に応札したのではないか」(邦銀)との声が出ている。こうした資金余剰感を反映して無担保コール翌日物金利は積み最終日にもかかわらず弱含みの展開。一部邦銀が0.1%付近で調達する動きも出た。
短期市場の落ち着きは相場にプラスだが、様子見姿勢を崩せない参加者も多い。欧州系証券の債券ストラテジストは「出来高も少ない。ヘッジファンドの巧みなロング/ショートは別にして、パニック相場のなかでのフライト・トゥ・キャッシュの資金がどのように戻ってくるのか見極めている最中」と指摘した。
中短期ゾーンの利回り低下により長期/超長期ゾーンとのスプレッド差が広がる場面もあった。これについて、外資系金融機関の債券売買担当者は「長いゾーンには国債発行観測も浮上しかねず、ボラティリティが上昇しかねない。リスク管理上、依然としてバールショックがちらつくのか、消去法的により手前に資金を寄せる動きが影響しているのではないか」と話す。
前出の欧州系証券のストラテジストは「ある程度のところで生保の買いが入れば、スプレッドは縮まりそうだが、そうした動きもなお鈍い」と述べている。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:宮崎 大)
© Thomson Reuters 2008 All rights reserved.















