〔クロスマーケットアイ〕米で浮上のインフレ懸念広がらず、一部海外勢はアジア株売り/日本株買い

2008年 05月 8日 15:49 JST
 
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<東京市場 8日>

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日経平均   |国債先物6月限 | 国債291回債  |ドル/円(15:31) |

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  13943.26円 | 135.80円  |  1.660%    | 104.46/49円 |

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-159.22円 | +0.33円   | -0.005%  | 104.75/77円   |

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注:日経平均、国債先物は大引け、現物の価格は午後3時の値。

下段は前営業日終値比。為替は前日NY終盤。

 [東京 8日 ロイター] 米株式市場の下落を受けて8日の東京市場は、日経平均

.N225が反落した。ただ、米株下落の主要な要因だったインフレ懸念が日本のマーケット

でも広がっているわけではなく、海外勢の一部は、下落しているインド株や中国株を売っ

て日本株を買っているという。東京市場には、先行きへの不透明感から様子見気分が濃く

なっているが、外航不定期船の運賃指数であるバルチック指数.BADIが足元で上昇する

など、世界的な景気の足取りに明るい光が差し始めているとの声も出ている。

 <下値で海外勢の買い> 

 8日の株式市場では日経平均が反落し、節目の1万4000円を割り込んでいる。原油

高騰によるインフレ懸念で米国株が大幅安となったことを受けて、主力株を中心に売りが

先行した。「先物にまとまった売りが出たほか、銀行株などテクニカル的な過熱感の強い

銘柄にも利益確定売りが出た。ただ、引き続き海外勢の買い意欲が強く、大きく崩れる気

配はみられない」(大手証券エクイティ部)との声が出ている。

 野村証券エクイティ・マーケットアナリストの佐藤雅彦氏は「日本株はテクニカル的に

過熱感があり、米株下落がきっかけとなって利益確定の売りが出た。これまではダウ

.DJIが200ドル下落すれば、仕掛け的な売りを伴い日経平均株価も200円を超える

下落となったケースが多かったが、きょうは大幅安にはならずに推移している。下値で海

外勢の買いが引き続き入っているようであり、売り方も安易に仕掛けられないという状況

になっている。このまま底堅く推移すれば日本株の強さが鮮明になるだろう」と述べてい

る。

 複数の市場筋によると、今年3月にかけて日本株が大きく下げる過程で、中国株買い/

日本株売りやインド株買い/日本株売りのポジションを膨らませていたヘッジファンドな

どが、直近では中国株やインド株の下げを見て、それらを売って日本株を買い戻している

という。 

 三菱UFJ投信・運用企画部ストラテジストの石金淳氏は「産油国のオイルマネーなど

が、ロンドンやシンガポールなどを経由して日本株に流入している構図が考えられる」と

いう。「インド株や中国株が上昇し過ぎたため、代替で日本株にシフトするというよりは

原油高によって発生するニューマネーが金融資産に向かい、その一部が日本株に振り分

けられている」とみている。

 <今期の業績見通し、下期に急回復シナリオ>

 グローバル投資家のリスク許容度が上昇し、需給面では現預金、債券から株式への資金

シフトが鮮明になりつつあるが「ファンダメンタルズからみると、市場は楽観的な方向に

振れ過ぎている」(欧州系証券幹部)との見方もある。

 新光総合研究所がまとめた2008年3月期決算集計(東証1部)によると、7日まで

に決算内容を開示した324社(発表率は26.2%)の09年3月期業績見通しは、経

常利益が2.6%減と小幅減益見通しにとどまっている。しかし、これを上期と下期に分

けると、上期の18.3%減益に対し、下期は一転して14.9%増益と急回復を予想し

ている。「為替や原油価格の先行きが不透明なことを考えても、下期の楽観的な増益見通

しは根拠に乏しい。当面のウエート調整が完了すれば、海外勢の日本株買いも衰えること

になるだろう」(欧州系証券幹部)との指摘が出ている。

 <インフレ懸念で米債は割り負けの可能性>

 7日の米市場では原油高などを背景にインフレ懸念が台頭し、株価が下落した。この現

象に関連し、第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏は「これまでは株が下

がると、コモディティと債券の価格が上昇する展開が目についたが、最近は株が上がる中

でコモディティが上がり、債券が売られている。米市場ではインフレマインドが次第に醸

成され、株とコモディティにマネーが流入し、債券が割り負けしているとみることができ

る」と指摘する。この先、賃金が上昇するかどうかがインフレの進展の行方を見る上で重

要だと熊野氏は分析するとともに「どうなるかはっきりしない」とも話している。

 <円債は入札後に買い戻しも>

 マーケットでは、バルチック指数の上昇に注目が集まりつつある。ある外資系証券の関

係者は「荷動きが活発化していることを示しており、新興国の経済が米経済の後退懸念を

跳ね返して拡大している可能性を示している」とみている。

 ある邦銀関係者も「新興国の経済成長が、インフレ懸念の背景にある。米市場で広がっ

ているインフレへの警戒とも整合的だ」と述べる。ただ、そのことが「直ちに日本の金利

上昇の要因にはならない。10年利付き国債の入札後に金利が急上昇しないのも、国内マ

ーケットでインフレへの警戒感がほとんどないことを示している」と述べている。

 一方で、米証券取引委員会(SEC)が7日、監督下にある投資銀行の流動性について

調査をし、流動性や資本の状態に関する情報公開を義務付けることを計画しており「金融

機関の追加損失が新たに出てくる可能性も否定できない」(国内金融機関)との思惑も出

ている。市場のテーマがインフレ懸念から再び米景気後退やクレジット問題に移行すると

の見方も浮上し、一本調子での金利上昇に慎重な声も出ている。

 実際、8日の10年利付き国債の入札が予想よりもやや悪い結果になり、いったん、国

債先物、現物で売りが出たものの「新発債に買いが入って価格は持ち直した」(別の邦銀

関係者)という。

 <外為で目立ったユーロ売り>

 英フィナンシャル・タイムズ紙が、米欧当局者はドルがユーロに対して上昇することを

望んでいる、と報道したことが、外為市場の一部で話題になり、ユーロの売り安心感を誘

ったという。同紙は、米高官のコメントとして、為替市場が欧米の中期的な経済の展望に

着目せず、米国の短期的な経済のぜい弱さや市場に存在するストレスに注意を払い過ぎて

いる現状について、当局者は懸念している、と報じた。

 こうした手掛かりから、ユーロ/ドルはストップロスを巻き込み、一時1.5285ド

ルまで下落した。2カ月ぶりの安値水準。朝方は下値で中国勢が買い支えていたが、米系

金融機関のユーロ売りが目立ったという。ある資本筋は、売り地合いが継続しており、目

先の値動きは「読みきれない」としている。

 それに反応する形で、ユーロ/円も下落。一時きょうの高値161.26円から約

1.5円下落して159.63円をつけた。市場筋によると、ユーロは基本的に新規材料

難のなか、英系クリアリング・ハウスが売り仕掛けをしたほか、英フィナンシャル・タイ

ムズ紙の報道が売り安心感を誘っているという。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 宮崎 大)

(kazuhiko.tamaki@thomsonreuters.com;03-6441-1848;ロイターメッセージング:

kazuhiko.tamaki.reuters.com@reuters.net)

 

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