〔クロスマーケットアイ〕海外勢が株先売り/債先買い、翻ろうされる国内勢

2008年 05月 9日 14:35 JST
 
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<東京市場 9日>

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日経平均   |国債先物6月限 | 国債291回債  |ドル/円(14:25) |

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  13815.68円 | 136.78円  |  1.555%    | 103.46/50円 |

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-127.58円 | +0.98円   | -0.085%  | 103.75/77円   |

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注:日経平均、国債先物は前引け、現物の価格は午前11時の値。

下段は前営業日終値比。為替は前日NY終盤。

 [東京 9日 ロイター] 週末9日の東京市場は、株安/債券高が進んでいる。一部

海外勢の株先売り/債先買いが相場の流れを作り、国内勢はきょうも翻ろうされる展開。

特に円債市場では4月25日に予想を超える大幅下落を経験したばかりで、損失を抱えた

ままこの日の大幅な上昇に直面し、さらに打撃を受けている参加者も出ている。今後も前

日の米欧市場の動向が“横波”となって、転覆寸前になる国内参加者が出てくる可能性が

ある。

 <建玉減少して国債先物に買い安心感>

 9日の円債市場は、またしても大波乱となった。国債先物中心限月6月限は、前日比9

8銭高の136円78銭と大幅続伸して前引け。10年最長期国債利回りも一時、前日比

0.090%低い1.550%まで急低下した。

 複数の市場筋によると、午前の取引序盤で海外勢の一部がまとまった株先売り/債先買

いの注文を出し、国債先物が一気に上昇。ストップロスを巻き込みながら急速に値を切り

上げていった。この過程で生保など機関投資家の一部が現物10年ゾーンで買い注文を出

し、現物債の利回りも急低下していったという。さらに新発10年債入札に向けてヘッジ

をしていた証券などの業者が買い戻しを余儀なくされ、上昇相場に拍車がかかった。外資

系証券のある関係者は「海外勢のポジション整理で国債先物の建玉が減少し、売り圧力が

弱まっているところに押し目買いが入ると、相場は大きく上がりやすい」と述べた。

 <円債市場の流動性低下も大変動の要因>

 大幅な上昇の背景には、円債市場の流動性の低下という低下が潜んでいる。ある邦銀関

係者は「サブプライム(信用度の低い借り手向けローン)問題を契機に外資系証券に体力

がなくなり、さらに4月後半までの相場急落で体力をなくし、以前のように派手に相場を

張ってこなくなった」と指摘する。さらに国内証券も相場の変動でポジションが傷み、リ

スクテーク能力が大幅に低下し「市場の流動性が低下して、少しの価格変動ですむところ

が、大幅な価格変動につながるということが、何度も繰り返されている」(先の邦銀関係

者)という。

 先の外資系証券の関係者は「リスク許容度が低下している証券勢は、前日の10年入札

で必要最小限しか落札していなかったため、新発債に買いが入るとそのカバーをせざるを

得なくなっている」と、きょうの相場急上昇の裏側を説明した。

 <需給面からも円債買い優勢の声>

 また、円債市場の特殊な需給面を指摘する声も根強い。三菱UFJ証券・シニア債券ス

トラテジストの長谷川治美氏は「8日に行われた10年債入札では最低落札価格と平均落

札価格の開き(テール)が拡大したが、その後のセカンダリーで投資家の押し目買いが確

認された」と指摘する。

 また、米AIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)が発表した第1・四半期決算が過去最大の赤字となったことで

金融不安が再びくすぶり始めたことに加えて、原油高による景気押し下げ懸念などが意識

され「債券に対して見直し的な買いが入った格好だ」(国内証券)という。

 こうした価格の大変動がCTA(商品投資顧問業者)を含む海外勢主導で起きているた

め「このところ国内勢は防戦一方で、損失が出ている参加者ばかりではないか」(別の邦

銀関係者)とみられている。

 特に最近の値動きで、国債先物と現物の価格変動に大きなかい離が生じ「現物のヘッジ

を先物でしてきた国内勢は、ヘッジ手段を事実上失って、損失の拡大を防ぐ手立てをなく

した格好」(国内証券の関係者)という事態に直面している。

 このため「どうしても海外勢の動向を探る意味から、前日の欧米市場の動向や欧米の指

標が、国内の材料よりも重視されやすくなっている」(先の邦銀関係者)という。 

 <株式市場でも海外勢の影響大きく>

 株式市場では、海外勢の株先売り/債先買いが相場の方向性を決め、さらにアジア株の

下落を受け、午後の取り引きで下げ幅を拡大した。市場では「債先買い/株先売りの動き

が出たほか、海外勢から銀行株に売りが出ている。円高懸念で輸出関連株もさえない」(

東海東京証券エクイティ部長の倉持宏朗氏)との声が出ていた。

 株式市場でも、AIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の発表した第1・四半期決算が注目され、金融問題に対

する懸念が改めて意識された。信用不安は収束に向かうとの楽観的な見方が広がりつつあ

ったが「実態が改善しているわけではない。モノラインの株価やカントリーワイド<CFC.N

>など米住宅金融大手の株価が安値圏を脱していないことが問題の根の深さを象徴してい

る。AIGのようなニュースが続けば、ドル安/円高の懸念もくすぶり、日本株の上値を

抑える」(三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)との指摘が出てい

る。

 <株価反転を予想の声も>

 一方、日経平均の戻りが3月17日の年初来安値(1万1691円)から急ピッチだっ

ただけに、ある程度の調整は許容範囲との見方もある。ユナイテッド投信投資顧問・シニ

アファンドマネージャーの高塚孝一氏は「金融相場の特徴として広義の循環物色が強まる

という側面がある。これまで上昇相場のけん引役だった金融株や大型株に一服感が出てき

たので、投資家の一部では中小型株にシフトしようという動きが出ている。うまくシフト

できて物色の裾野が広がれば、上昇基調は維持されるだろう」とみている。

 また、高塚氏は「クレジット問題で傷ついたマーケットメカニズムが修復される過程で

もあり、過剰な悲観が修正される中でバリュエーションも効き始めてきた。相場のトレン

ドは、戻り売りから押し目買いに変わったとみるべきだろう」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 宮崎 大)

(kazuhiko.tamaki@thomsonreuters.com;03-6441-1848;ロイターメッセージング:

kazuhiko.tamaki.reuters.com@reuters.net)

 

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