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アングル:モスルの5つ星ホテル、廃墟に残るIS支配の爪跡
2017年2月3日 / 06:51 / 8ヶ月前

アングル:モスルの5つ星ホテル、廃墟に残るIS支配の爪跡

[モスル 2日 ロイター] - かつてイラク富裕層の常連客でにぎわっていたモスル東部の5つ星ホテルは、過激派組織「イスラム国」に占拠されて以来、違う種類の上客に取って代わられた。同組織の外国人戦闘員や自爆要員だ。

イラク軍は最近、廃墟と化した「ニネワ・オベロイ・ホテル」をイスラム国から奪還した。ホテルからは広大なモスルを見渡すことができ、戦略拠点の1つとなっている。

とはいえ、イラク軍がはるかに複雑な戦場となるモスル西部への進撃準備を進めるなか、ヤシの木に囲まれた11階建ての同ホテルは、今後待ち受ける多くの危険と不確実性を喚起している。

ホテルはチグリス川を臨み、イスラム国のスナイパーによる狙撃や迫撃砲を受ける可能性のある距離に位置する。

モスルを東西に分けるチグリス川の西側にいる敵の位置を見つけるため、ホテル高層階の部屋に足を踏み入れたイラク軍兵士は、目にしたくない現実を理解する。

ホテルの部屋から外を見るイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

ホテルの部屋から外を見るイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

カーテンはイスラム国の狙撃手が放った銃弾でぼろぼろになっている。イラクの治安当局者によると、最も危険なのが外国人戦闘員で、彼らは報酬としてこのホテルに滞在していた。

1980年代に建設され、客室数265室の同ホテルは、フセイン元大統領のバース党に対する忠誠の見返りとして、軍や政府の当局者、ビジネスマンら権力層に提供されていた。

<戦闘員用メニュー>

2014年にモスルに攻め入ったイスラム国は、イラク軍による抵抗らしい抵抗に遭遇することのないまま、同ホテルを占拠。それ以降、恐怖政治を行ってきた。

イスラム国のあるウェブサイトは、頭からつま先まで黒づくめの妻と子どもとホテルで過ごす戦闘員を紹介。かつてこのホテルについて「総合的な5つ星サービスを提供できるよう優雅に設計された」とネット上で説明していた。

アルコールは禁止だが、戦闘の前後に戦闘員が使用していた鎮痛剤と注射器が残されていた。

インターネット広告に掲載されていた古い写真には、キングサイズベッドのある豪華なスイートルーム、会議室、プール、ショッピング街、ボーリング場が写っている。現在の破壊された光景とは全く対照的である。

ヤシの木に囲まれたホテル内のプール。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

ヤシの木に囲まれたホテル内のプール。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

携行式ロケット弾やガラス片がジムの入り口に散乱している。サウナとジャクジーが、がれきに埋もれていた。

 2月2日、かつてイラク富裕層の常連客でにぎわっていたモスル東部の5つ星ホテルは、過激派組織「イスラム国」に占拠されて以来、違う種類の上客に取って代わられた。同組織の外国人戦闘員や自爆要員だ。同ホテルで1月撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)
ホテル内のジムの入り口。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

ホテル内のジムの入り口。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

ある兵士が低層階で、粉々になった家具や椅子を調べ、イスラム国がこのホテルをどう利用していたかヒントを探していた。

「会議はそのフロアで行われていた。ダーイシュ(イスラム国のアラビア語名)の指導部は戦略を話し合うため、そこでミーティングを開いていたに違いない」と、この兵士は匿名で語った。

ホテル内レストランのメニューでは、イスラム国が独自に価格を設定していた。カプチーノは約1ドル(約110円)相当で販売されていた。

ベッドは客室から運び出されていた。米軍主導の空爆支援を受けたイラク軍の攻撃によって自称カリフ国家がほころび始めるなか、組織の戦闘員がベッドを市場で売り払ったのだとイラク軍兵士は語る。

イスラム国指導者たちが戦闘員の士気を懸命に高めようとしていたことが、ホテルに残されたプロパガンダ用の新聞から見て取れる。1面では、イスラム国の作戦が数百人のイラク軍兵士を殺害したと伝えている。

別の記事では、昨年の大みそかにトルコ最大都市イスタンブールのナイトクラブで起きた銃乱射事件を取り上げていた。

モスル西部で激しい戦闘が予想されるなか、ホテルが近いうちに再開されるという兆しはない。

たとえイスラム国がモスル全域で一掃されたとしても、同組織はイラクで攻撃をしかけてくると予想される。

ホテルを奪還したイラク軍兵士は、再開の見込みがないものとして、同ホテルを見捨てたようにも見える。破壊された部屋の床には、発砲スチロールの皿に腐った肉とコメが何週間も放置されている。一部のエリアでは人の排泄物がある。

破壊された客室内にいるイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

破壊された客室内にいるイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

だが兵士には、もっと差し迫った心配すべきことがある。イスラム国戦闘員がチグリス川の向こうから彼らを監視し、迫撃砲などによる攻撃をしかけてくる危険があるからだ。

最近では、同ホテルのスリッパを履いているのは銃を持つイラク軍兵士だけである。

ホテルのスリッパを履くイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

ホテルのスリッパを履くイラク軍兵士。モスルで1日撮影(2017年 ロイター/Ahmed Jadallah)

(Michael Georgy記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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