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アングル:米ハワイとアラスカ住人、北朝鮮の「射程入り」懸念
2017年7月8日 / 23:09 / 3ヶ月前

アングル:米ハワイとアラスカ住人、北朝鮮の「射程入り」懸念

 7月6日、北朝鮮の国営メディアによれば、今週試射されたミサイルは高度2802キロに達したという。一部の西側専門家の中には、このミサイルが8000キロ以上の射程を持ち、ハワイとアラスカを射程内に収めるのではないかと解釈する見方が出ている。写真は米ハワイ州オアフ島のダイヤモンドヘッドと訓練中の米軍ヘリコプター。米軍提供(2017年 ロイター)

[カイルア・コナ(ハワイ州)/ウィロー(アラスカ州) 6日 ロイター] - 米ハワイ州オアフ島のランドマーク、ダイヤモンドヘッドの火口の麓(ふもと)には、使われなくなった軍事用トンネルがある。ワイキキビーチでくつろぐ観光客の目に触れることはないが、ジーン・ワード州議会議員の頭の中は、このトンネルのことで一杯だった。

北朝鮮が今週行ったミサイル実験と、新しく開発した大陸間弾道弾(ICBM)には大型核弾頭が搭載可能という同国の主張に危機感を募らせたワード議員は、万一に備え、このトンネルを、市民用シェルターとして、今こそ再整備すべきだと考えている。

「これまでにも警鐘は鳴っていたが、7月3日に起きたことは、私たちをベッドから揺さぶり起こした」とワード議員は今回のミサイル実験について語った。

北朝鮮国営メディアによれば、今回試射されたミサイルは高度2802キロに達したという。一部の西側専門家の中には、このミサイルが8000キロ以上の射程を持ち、ハワイとアラスカを射程内に収めるのではないかと解釈する見方が出ている。

北朝鮮で加速するミサイル開発プログラムについて、ツンドラ地帯のアラスカから熱帯のハワイに至るまで、米国民は何年も前から頭を悩ませている。ただ、孤絶した北朝鮮政府の本当の能力と意図が不明なだけに、今回のミサイルに対して、住民からはこれを懸念したり、肩をすくめたりと、さまざまな反応が見られた。

民主党優位のハワイ州で共和党の州議会議員を務めるワード氏は、米軍が建設した掩蔽壕(えんぺいごう)の再利用を定めた州法復活を支持している。掩蔽壕は、第2次世界大戦に米国が参戦する契機となった1941年の日本軍による真珠湾攻撃以前に建設されたものだ。

トンネルは、オアフ島に建設された多数の軍事用掩蔽壕と砲台のあいだを走っている。ハワイが米国領となった1898年以降から第2次世界大戦を通じて行われた陣地構築の名残りである。

もし、ハワイの住民は真珠湾攻撃という過去のせいで外部からの脅威により敏感になっているとすれば、アラスカ住民の一部はほとんど動揺を示していない。

アンカレッジの北方約80キロに住む元米海軍パイロットで、現在は金物店を経営するドイル・ホームズさんは、同じアラスカ州の住民にこうアドバイスする。「家で寝ていなさい、気に病むことはない」

79歳のホームズさんは共和党の活動家で、この3月にアラスカ州防衛軍を退役した。彼の楽観的態度の根拠は、北朝鮮がどのように米国国土を攻撃しようとしても対応できるとの、米軍の能力に対する確固たる信頼だという。「わが国を狙ってミサイルを発射するというのは自殺行為だ」とホームズさんは言う。

 7月6日、北朝鮮の国営メディアによれば、今週試射されたミサイルは高度2802キロに達したという。一部の西側専門家の中には、このミサイルが8000キロ以上の射程を持ち、ハワイとアラスカを射程内に収めるのではないかと解釈する見方が出ている。写真は米ハワイ州オアフ島ホノルルの市民防衛局施設(2017年 ロイター/Hugh Gentry)

「何も問題はないと思っている。1950年代・60年代には放射性降下物に関する研修も核シェルターに関する訓練も受けた」と彼は言う。冷戦期に想定された旧ソ連による攻撃への対応策を指しているが、結局そのような攻撃は一度も起きなかった。

米連邦議会の上院軍事委員会は先週、米国本土、地域、そして宇宙空間におけるミサイル防衛の強化に向け、ミサイル防衛庁予算85億ドルの計上を提案した。

ある議会スタッフによれば、この予算の一部は、アラスカ州フォート・グリーリー基地に迎撃ミサイル28基を新たに追加して現在の32基から増強するために使われるという。すでに国防総省には、地上配備型中間段階防衛(GMD)の発射基地であるフォート・グリーリーに、40基の迎撃ミサイルを配備する計画があった。

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北東アジアにおける政治・安全保障問題の専門家のなかには、北朝鮮を核保有国として認めることを急ぎすぎたと批判する声もある。北朝鮮が本当に、実用的な核弾頭を精密に投射する能力を持っているのか、また北朝鮮が米国による必然的な報復を受けるリスクを冒すのかという点を疑問視しているのだ。

だが、最新のミサイル実験によって、公的な論調は決定的に変わった、とホノルルのシンクタンク「イースト・ウェスト・センター」の上席研究員デニー・ロイ氏は指摘する。

「画期的なのは、北朝鮮に米国本土を攻撃する能力があるとアメリカ人が信じているようだという点だ。今までは、全て机上の空論にすぎなかった」とロイ氏は言う。

アジア方面の米軍を統括する太平洋司令部を含め、ハワイ諸島には米軍の大きな戦力が集中しているため、ハワイ州民は、ここが格好の攻撃目標になりうることを理解している。

ハワイ島のカイルア・コナで小売店の店長を務める24歳のリース・ボーナムさんは、「まだ防空壕を作ってはいないが、もちろん警戒を怠るわけにはいかない」と語る。

ハワイ大学で経営学を専攻する21歳のカレン・マクヘールさんは、北朝鮮側の主張に疑問を抱いており、米軍の能力を信頼しているが、それでも、米国がどのように対応するか懸念している。「北朝鮮政府よりも、わが国の政権のほうが恐ろしい」

(翻訳:エァクレーレン)

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