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焦点:パナホーム子会社化に異論、企業統治コード試す例に
2017年2月14日 / 05:56 / 7ヶ月前

焦点:パナホーム子会社化に異論、企業統治コード試す例に

 2月14日、パナソニックのパナホーム 完全子会社化に関し、パナホームの価値が正確に反映されていないとの指摘が複数の投資家から上がっている。写真のパナソニック・ロゴは都内のパナソニック・センターで2日撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 14日 ロイター] - パナソニック (6752.T)のパナホーム (1924.T)完全子会社化に関し、パナホームの価値が正確に反映されていないとの指摘が複数の投資家から上がっている。

親会社が経営資源の効率化などで上場子会社の吸収を目指す動きが広がるなか、すべての株主を平等に扱うコーポレー・ガバナンスコードを実践できているか、機関投資家が受託者責任を全うできているかを見極める例になると、関係者の間で注目されている。 

<パナホームは950億円の現金保有、価値算出に疑問>  

パナソニックはパナホーム株式の54%を保有する筆頭株主。昨年12月20日、パナソニックがパナホームを株式交換によって100%子会社にすることで両社が合意。今年6月のパナホームの定時株主総会で、株式交換について承認が得られれば、7月末にパナホームの株式は上場廃止になる予定。

株式交換ではパナホ―ム株式1株に対し、パナソニック株式0.8株を割り当て交付する。パナソニックは、パナホーム子会社化で双方の経営資源を共有・活用しながら住宅事業を成長させることができ、住宅市場におけるグループの価値が一段と高まる、と説明している。

この完全子会社化について、アジア、北米などに拠点を構える複数のファンドが異論を唱えている。    

香港を拠点とするあるファンドは、パナホームの企業価値の算出方法が間違っているのではないかと指摘する。パナホームは12月末時点で約950億円の現金を保有。この現金規模は昨年末の合意時点でパナソニックの時価総額の半分を超えていた。

同ファンドは、この事実が株式交換比率に加味されていないなどと指摘、反映されているのであれば、他の何等かの条件が考慮されている可能性があるという。  パナソニックのメーンバンクは三井住友銀行。そのグループ子会社のSMBC日興証券がパナホームのファイナンシャルアドバイザー(FA)を務めていることにも触れ、「実質的には親会社が少数株主から搾取することを是認した取引としか見えない」と述べている。

同ファンドは8日までにパナホームに質問状を送り、SMBC日興証券が示したパナホームの株式価値の評価と比率算定の前提条件に関し、交渉の中味などを開示するよう求めた。 

SMBC日興証券はこうした問い合わせがパナホームに寄せられていることについて「コメントは差し控える」(広報)としている。  

<コーポレートガバナンスの実態、見極め>   

パナホーム株式を約5%保有するファンド、オアシス(香港)も今回の株式交換比率はパナホーム株式の公正価値を50%以上、過小評価したものだと分析する。株式交換比率を見直すか、会社が保有する現金の株主還元(特別配当)などを実施すべきだと主張、問題点を共有するための特設ホームページも開設した。 

こうした状況について、ある海外投資家は「日本株を運用している仲間の間で関心が高まっている。親子上場をする他の企業が子会社を吸収する際の悪しき前例にならないか」と懸念を示す。現在は株主ではないというこの投資家は、ファンドがISSなどの議決権行使アドバイザーに働きかけて、株主総会に向け、今回の子会社化の問題点について機関投資家への周知や意見の共有化が進む可能性があると指摘する。

パナホームの広報担当者は、株式交換の実施やその条件については「少数株主を含む当社の株主に対して妥当なものと考えている」と指摘。同社に抗議文を送った複数の株主に対しては、現時点で「公表情報をベースに個別に対応している」という。今後は「十分な説明責任を果たしていく必要があることから、追加的な情報開示を行い(株主の)理解を求めていく予定」との方針を示した。

パナソニックは「今般の株式交換はパナホームの株主にとっても、内容及びプロセスの双方の観点で公正なものと理解している」とコメント。ガバナンスコードについては「順守を強く意識している。本件においても、コードの趣旨も意識しながら、公正かつ妥当なプロセスを経て適時に開示を行っている」と述べた。

パナホームが東京証券取引所に提出した「ガバナンスコードの状況」の中では、株主との建設的な対話を促進するため、国内外の株主・投資家との長期的に良好な関係の構築に向けて「法的開示のみならず公正かつ正確な財務情報や経営方針のほか、その背景にある要因や経営環境などを適時適切にわかりやすく提供することを、情報開示の基本とする」としている。   

ガバナンスの専門家、ニコラス・ベネシュ氏は今回のケースについて、ガバナンスコードが「表面的な形式ではなく実態をともなって機能しているかを見極める好例になる」と指摘。同時に、年金基金など資金の運用を委託されている機関投資家も、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)を全うできているかが試されると話している。

江本恵美、トム・ウィルソン、編集:石田仁志

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