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コラム:トランプ氏、パリ協定離脱でも変わらない世界の潮流
2017年5月29日 / 02:49 / 4ヶ月前

コラム:トランプ氏、パリ協定離脱でも変わらない世界の潮流

 5月26日、トランプ米大統領は近く、米国が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に残留するか離脱するかを決断する。写真は伊シチリアで27日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ニューヨーク 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は近く、米国が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に残留するか離脱するかを決断する。大統領選で、温暖化は「でっち上げ」と述べていたトランプ氏が残留を選べば驚きだが、米国が離脱したとしても、温暖化抑制に向けた国際的な取り組みに大きな影響はないだろう。

2015年に200カ国近くが合意したパリ協定は、米国の支持が得られなくても十分な勢いがついている。米国内の温暖化対策においてすら、連邦政府の果たす役割は限られる。トランプ政権は再生可能エネルギーより石炭を優遇する政策を実行したり、大気・水質汚染対策の政策を覆したりする可能性があり、その場合には限定的な影響が及ぶかもしれない。

しかし現在、多くの権限は州や市に移管されており、これら地方自治体は独自の気候変動抑制合意に調印している。例えば「アンダー2コアリション」には、世界経済の3分の1以上を占める170のメンバーが加盟。これは米カリフォルニア州とドイツのバーデン・ビュルテンベルク州が創設したもので、国家以下の政府が結束してパリ協定の目標達成を目指している。

企業も重要な役割を果たしている。ゼネラル・モーターズ(GM.N)、ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)、アップル(AAPL.O)といった米企業は将来、再生可能エネルギーの使用に全面移行すると表明。また、ロイターの報道によると、資産運用大手フィデリティ・インベストメンツは傘下のポートフォリオマネジャーに対し、投資している企業の株主が気候関連の提案を行った場合、たとえその企業の幹部が支持していなくても、賛成票を投じることを許可した。ステート・ストリート(STT.N)やブラックロック(BLK.N)といった同業他社に続いた格好だ。

一方、資産運用額にして合計17兆ドルを超える約280の投資家はこのほど、シチリアで首脳会議を開いた主要7カ国(G7)に書簡を送り、パリ協定を順守するよう訴えた。

これらのことを考え合わせると、トランプ氏が離脱を選んでも象徴的な意味合いしか持たないだろう。しかし代償は伴う。世界の世論が温暖化抑制に傾いている中、離脱は米国の評判とソフトパワーを損なうだろう。

米経済に打撃をもたらす恐れさえある。再生可能エネルギー産業に従事する米国民の数は、石炭産業をはるかに上回る。しかも経済協力開発機構(OECD)の試算によると、気候変動阻止のためのインフラ投資拡大により、20カ国・地域(G20)の総生産は5%押し上げられる見通しだ。そのチャンスをみすみす逃すとすれば、実業家出身の大統領らしからぬ決断になる。

●背景となるニュース

*トランプ大統領はパリ協定の離脱をちらつかせており、近く最終決断を下す見通し。

*ロイターが26日に報じたところでは、フィデリティ・インベストメンツは議決権行使の指針を変更し、再生可能エネルギーや環境関連の株主提案に、ポートフォリオマネジャーが賛成票を投じることを許可した。以前は投資している企業の経営陣の意向に沿った投票行動をとる傾向があった。

*OECDが23日に公表した報告書によると、気候変動対策を行えば、G20の経済は2050年までに最大5%押し上げられる可能性がある。また、世界中で年間6兆9000ドルの関連インフラ投資を実施することで、今世紀の平均的な気温上昇を、パリ協定の目標である産業革命以前に比べ2℃未満に抑えられる。このインフラ投資額は、気候変動目標の達成を目指さなかった場合に比べ約1割多いだけであり、1兆7000億ドルの燃料節約により一部は相殺されるとしている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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