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水準下がった日本株のPER、今期の業績予想に不信感
2016年5月27日 / 09:06 / 1年前

水準下がった日本株のPER、今期の業績予想に不信感

 5月27日、日本株のバリュエーションが低下している。円高や外需減退による国内企業の業績圧迫懸念が払しょくされないためだ。写真は都内で昨年7月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 27日 ロイター] - 日本株のバリュエーションが低下している。円高や外需減退による国内企業の業績圧迫懸念が払しょくされないためだ。日経平均.N225の予想PER(株価収益率)は昨年度までの15倍から足元では14倍まで下落。消費増税延期や財政出動など政策期待はあるものの、為替や政策効果を除いた日本企業の「稼ぐ力」に対する信頼感は高まっていない。

<業績期待に陰り>

安倍晋三首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、新興国経済や商品価格に関し「リーマン・ショック」当時に似ている動きがあると指摘。市場では「消費増税先送りを示唆する発言」(国内証券)との受け止めが広がった。

しかし、27日の日経平均は前日比62円高にとどまり、東証1部の売買代金は7営業日連続で2兆円を下回った。政策期待を背景に、日経平均は3日続伸と、じわりと上値を切り上げているものの、市場に強気の声は乏しい。

これまでのアベノミクス相場では日経平均でみて予想PER14倍の水準が押し目買いの好機と捉えられてきた。消費税率を8%に引き上げた後の2014年4月、米量的金融緩和第3弾(QE3)の終了を控えた14年10月、人民元の基準値切り下げが株安につながった15年8─10月などの株安局面ではいずれも14倍割れで切り返している。

しかし、16年3月期決算が一巡し17年3月期見通しが出揃って以降、日経平均の予想PERは14倍近辺から切り返す兆しがない。日経平均の予想PER平均値は15年度(15年4月─16年3月)で15.49倍だったが、16年度に入って直近までの平均は14.64倍と約1ポイント低下している。

日経平均の中心PERがアベノミクス相場の15倍から14倍に切り下がっている、と大和証券シニアストラテジストの石黒英之氏は指摘する。その要因は円高だ。「業績モメンタムが下方向では、国内企業業績が拡大するというイメージが描けず、日本株のバリュエーション低下につながっている」という。

<円高リスク>

みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計によると、17年3月期の国内企業業績見通しは売上高で前年比0.8%減、営業利益で同2.2%減となる一方、純利益では同11.2%増となった。事前には2ケタ減益との見方もあっただけに、想定していたほど悪くはないとの受け止めが大半となっている。

足元のドル/円JPY=EBSは1ドル110円を挟んだ値動きとなっており、約300社が公表している今期想定為替レートの平均値1ドル110円17銭(みずほ集計)とほぼ変わらない。ただ、5月初旬には一時1ドル105円台へと急落しており、市場では「再びいつ急落してもおかしくない」(国内投信ファンドマネージャー)との警戒感もある。円高による業績悪化の不安は拭えていない状況だ。

堅調な業績予想に反し、足元では国内企業の景況感も悪化している。26日に発表された5月ロイター短観では、製造業DIが前月比8ポイント悪化し、3年ぶりの低水準となるプラス2まで落ち込んだ。2013年夏場以降、高水準で推移してきた非製造業もほぼ全業種で悪化し、夏場まで停滞が続くとの見方が広がっている。

<伸び悩むROE、「稼ぐ力」の低い信頼感>

円安や政策の効果を除いた日本企業の「実力」に対する市場の信頼感も高まっていない。

岡三証券がTOPIX500.TOPX500を構成する3月期決算企業で過去5年間の平均ROE(自己資本利益率)を算出したところ、12年3月期の5.5%から14年3月期には8.4%まで上昇した。しかし、15年3月期、16年3月期はともに8.3%にとどまっている。

岡三証券シニアストラテジストの小川佳紀氏は「アベノミクス当初は企業の統治改革が重視され、ROEを高める動きが広がったが、最近はすっかりトーンダウンしている。欧米企業に匹敵するような2ケタのROEに上昇しない限り、海外投資家が一段と日本株を選好することは難しい」と述べる。

現物株と先物を合わせた海外投資家の売買は今年に入って4.8兆円の売り越し。日銀の追加緩和期待を背景に4月末にかけて1.6兆円買い越したが、追加緩和が見送られると、3月期決算発表が佳境に入っているにもかかわらず、再び売り越しに転じた。

日経平均の予想1株利益は足元で約1200円。円高進行や、原油安の再開、中国経済減速などリスクが現実化し、純利益が1割下振れした場合、日経平均はPER14倍で1万5120円、15倍で1万6200円の水準に低下する。

消費増税延期や財政出動など市場の政策期待は高いものの、SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏は「政策が打たれても円安に振れず、企業業績に上振れ期待が高まらない限りは中期的な株価上昇は見込みにくい。日経平均は買われてもPER15倍にあたる1万8000円程度が限度だろう」との見方を示している。

杉山容俊 編集:石田仁志

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