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アングル:ポルトガルの経済改革、欧州全体に追随して機運低下
2015年5月26日 / 03:58 / 2年前

アングル:ポルトガルの経済改革、欧州全体に追随して機運低下

 5月25日、経済改革をどのように進めるかのモデルとして称賛されたポルトガルでは、欧州全体でさらなる財政引き締めに向けた意欲が失われるのに伴い、変革を目指す熱意が弱まっている。写真はリスボン市内で2013年4月撮影(2015年 ロイター/Rafael Marchante)

[シントラ(ポルトガル) 25日 ロイター] - 財政の悪化を受けて経済改革をどのように進めるかのモデルとして称賛されたポルトガルでは、欧州全体でさらなる財政引き締めに向けた意欲が失われるのに伴い、変革を目指す熱意が弱まっている。

ユーロ圏におけるギリシャの先行きが不透明となるなか、欧州の政策当局者は問題の波及を避ける目的もあって、かつて救済された他国に焦点を当てている。

当局者は、債務危機を乗り越えて復活に成功した国として、アイルランドに続いてポルトガルにお墨付きを与えた。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は先週末、ポルトガルについて、積極的に難題に立ち向かって困難な経済改革を進めていると評価した。

総裁は、中央銀行当局者や学術関係者を招いてECBがリスボン近郊で開いた会合で、経済改革について「ここポルトガルを含めて実行された場所では、かなりのところまで達成されており、われわれは進展を称賛する」と述べた。

それでもドラギ総裁は、欧州は改革への手綱を緩めていると警告、ECBの大規模な量的金融緩和によって経済が人為的に押し上げられた同地域において、改革への無関心が広がる状況にあらためて懸念を表明した。

かつてはポルトガルも欧州と同様、改革に積極的だった。ポルトガルはユーロ圏および国際通貨基金(IMF)が救済のために設定した、労働市場と法制度の改革を含めた条件を満たすため、抜本的な改革を実行した。

同国は、公務員の給与と年金の削減や大幅な増税にも踏み込んだ。

だがエコノミストの話では、3年にわたる救済プログラムが昨年に終了し、国際的な監視団が進展を点検するための同国訪問が打ち切られたことを受け、改革の動きは減退しているという。

公務員給与を削減する取り組みは、同国最高裁の判決によって一部が退けられた。また9月もしくは10月には総選挙が予定されていることから、政治家の間では、さらなる改革を進めようとする熱意が弱まっている。

だが改革の失敗を口にするのは論外だ。ポルトガル経済は3年間のリセッション(景気後退)を経て2014年に0.9%のプラス成長に回復。今年は成長が1.5%程度に加速する見通しだ。

ただこれらの統計は根深い問題を覆い隠している。ポルトガルでは労働人口の7人に1人が失業中で、失業率は西欧諸国で3番目に高い水準だ。政府はこの傾向を反転させるには長い期間を要すると警告している。

ドラギ総裁が説明に用いた図表が、この問題の原因を解き明かす手掛かりとなる。「活用されていない可能性」と題する図表では、ポルトガルの労働生産性はスペイン、イタリア、フランスを大きく下回り、ユーロ圏8カ国中最下位だった。

「ビジネスのやりやすさ」では、ポルトガルの順位はアイルランドよりも低く、全体では真ん中より下となった。

IMFは先週、企業の債務削減を支援する法的な枠組み策定へ向けた取り組みをポルトガル政府が進めていないと批判した。同国では、企業の債務負担が成長を抑制すると見込まれている。

また一部のエコノミストは、改革へ向けた取り組みが散発的にとどまっている点を非難している。

サンタンデール・トッタ(ポルトガル)のチーフエコノミスト、ルイ・コンスタンティーノ氏は「ポルトガルは改革を実行したのかもしれないが、競争力向上と生産拡大をもたらす方向にそれぞれの要素が調整されていない」と話した。

トッタ氏は進めるべき改革の対象として(1)法制度(2)官僚(3)税制──を挙げた。同国の中間所得層はここ数年で、純収入が少なくとも10%は減少している。

だがポルトガルはもはや、IMFやECBに報告する義務を負わない。欧州全体における改革の勢いが弱まるのに伴い、ポルトガルに行動するよう求める圧力はほとんどなくなるだろう。

一方、フランスでは財政改革が難航。同国は財政赤字を欧州の基準内に収める期限を、さらに2年間延長することを認められた。期限延長は2009年以降で3度目となる。

先週末開かれたECBの会合では、改革の必要性をめぐって中銀当局者や学術関係者が議論を交わしたが、ほとんど結論には至らなかった。

かつてポルトガル首相を務めた欧州委員会前委員長のジョゼ・マヌエル・バローゾ氏は、ユーロ圏債務危機の局面を振り返って「われわれはポルトガル、ギリシャで人々が苦しむことを望まなかったが、当時は奈落の底に近い状態だった」と主張。「われわれが欧州で社会福祉モデルを維持したいのなら、財政の健全化に取り組み続けなければならない。われわれは欧州を、旅行客が訪問するだけの単なる博物館にはしたくないのだ」と語った。

(John O‘Donnell、Axel Bugge記者)

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