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焦点:プーチン氏の米大統領選「干渉作戦」、機密文書が裏付け
2017年4月20日 / 08:16 / 5ヶ月前

焦点:プーチン氏の米大統領選「干渉作戦」、機密文書が裏付け

 4月19日、プーチン大統領(写真)の支配下にあるロシアのシンクタンクが、2016年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選するよう計画を立て、選挙制度に対する有権者の信頼を損ねたと、米国の現旧当局者がロイターに明らかにした。モスクワで5日代表撮影(2017年 ロイター)

[ワシントン 19日 ロイター] - プーチン大統領の支配下にあるロシアのシンクタンクが、2016年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選するよう計画を立て、選挙制度に対する有権者の信頼を損ねたと、米国の現旧当局者がロイターに明らかにした。

米情報機関が大統領選後に入手したロシア戦略問題研究所の機密文書2つを挙げ、ロシアが米大統領選に徹底的に干渉しようとしたと同機関が結論づけた構想と根拠を示すものだと、米国の当局者3人と元当局者4人がロイターに語った。

同研究所は、プーチン氏の大統領府(クレムリン)によって指名された、ロシア諜報機関の元高官が運営している。

1つ目のロシア文書は戦略報告書で、昨年6月に作成された。ロシア政府上層部に配布されたが、特定の個人に宛てられてはいなかった。

同文書は、当時のオバマ政権よりもロシアに柔軟な対策を取るであろう大統領を選ぶよう米国の有権者を奨励するため、ロシア政府にソーシャルメディアや政府系国際メディアで宣伝活動を開始することを勧めていたと、現旧の米当局者7人は口をそろえる。

昨年10月に起草され、同様に配布された2つ目の文書は、米民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏が勝利しそうだと警告。したがって、ロシアはトランプ氏を支持するプロパガンダをやめて、代わりに、米選挙制度の正当性を損ねるため不正投票に関するメッセージを大量に送り、クリントン氏の評判をおとしめる方が得策だと同文書は主張していたという。

2つの文書の機密性を理由に、匿名を条件としてロイターの取材に応じた現旧当局者7人は、米国による文書入手ルートについて語ることを拒否した。米情報機関も文書についてコメントを差し控えた。

プーチン大統領は米大統領選への干渉を否定している。大統領の報道官と同研究所は、ロイターのコメント要請に回答しなかった。

これら文書は、ロシアが「偽ニュース」キャンペーンを仕掛け、民主党団体とクリントン陣営にサイバー攻撃を行ったとの結論にオバマ前政権が至った要石だと米当局者らは指摘する。

「プーチン氏の頭には初めからそのような目的があり、そのためのロードマップを作成するよう研究所に求めた」と、情報筋の1人である米情報機関の元高官は述べた。

トランプ大統領は、ロシアの活動が米大統領選の結果に何ら影響を与えていないと主張する。ロシアの干渉を巡って現在行われている米議会と米連邦捜査局(FBI)による調査では、トランプ氏側がロシアと共謀して選挙結果を変えようとしたという証拠は今のところ明らかになっていない。

米当局者4人によると、昨年6月に作成された1つ目の文書で示された手法は、プーチン政権が2016年3月に始めた活動を広げたものである。クレムリンは同月、ロシア・トゥデイやスプートニクといった同国の国際報道機関を含む政府系メディアに対し、次期米大統領を目指すトランプ氏についてポジティブな報道を始めるよう指示したという。

ロシア・トゥデイはコメント要請に回答しなかった。一方、スプートニクの広報担当者は、同社がクレムリンの宣伝活動に加担したという米当局者らの主張は「全くのうそだらけ」と一蹴した。

<政府寄りブロガーたちの活躍>

ロシア・トゥデイとスプートニクが反クリントン記事を掲載する一方、米諜報機関が1月公開した報告書によれば、ロシア政府寄りのブロガーたちは、予想されていたクリントン氏勝利の公正さに疑問を投げかけるキャンペーンをツイッターで行う準備をしていた。

同報告書によると、ロシア・トゥデイで最も人気を博したクリントン財団の慈善活動について疑問を投げかける動画は、ソーシャルメディア上で900万回視聴されたという。

ロシア・トゥデイとスプートニクは「一貫して、トランプ氏のことを、従来のメディアから不当な報道の対象とされている人物として扱った」と同報告書には記されている。

また同報告書は、ロシア政府の活動がトランプ氏に有利に運んだかどうかについて、米情報機関は評価しなかったと指摘。その理由として、米情報機関は「米国の政治プロセスや世論を分析」しないことを挙げている。

<サイバー攻撃>

米当局者4人によると、ロシアの研究所が作成した2つの文書どちらも、米大統領選に干渉するためハッキングしたとされる民主党の電子メールの内容には触れていない。同ハッキングは、クレムリンとは別の隠れた諜報活動だったと4人は語る。

公然と行われたプロパガンダと秘密裏に行われたハッキングは互いに相乗効果をもたらしたという。ロシア・トゥデイもスプートニクも、ハッキングされた米民主党の電子メールの内容を宣伝した。そのなかには、厄介な詳細もたびたび含まれていた。

米当局者5人は、研究所がクレムリン内部の外交政策に関するシンクタンクだと説明した。

研究所のウェブサイトによると、文書が作成された時期に所長を務めたレオニード・レシェートニコフ氏は、ロシア諜報機関での33年に及ぶキャリアのなかで、中将の位にまで昇進した。同氏が1月に研究所を退職した後、プーチン大統領はミハイル・フラトコフ氏を所長に任命した。研究所によれば、フラトコフ氏は2007─2016年、ロシア対外情報庁長官を務めた経歴がある。

ロイターは、この2人のいずれかが文書の起草に直接関与したかどうかについて確認することはできなかった。

ウェブサイトには、研究所の説明として、「専門的な評価」や「提案」、「分析材料」をロシアの大統領府や政府、連邦安全保障会議、閣僚、議会に提供するとある。

1月31日、クレムリンと研究所のウェブサイトは、レシェートニコフ氏とフラトコフ氏がクレムリンでプーチン大統領と面会している写真と会話を公開。大統領はレシェートニコフ氏の貢献に謝意を表し、フラトコフ氏には研究所が客観的な情報と分析を提供するよう求めた。

「われわれは8年近く、あなたの外交政策の構想を遂行すべく全力を尽くしてきた」とレシェートニコフ氏はプーチン大統領に語った。「ロシアの政策、ロシア大統領の政策は、われわれの活動の礎である」

(Ned Parker記者、Jonathan Landay記者、John Walcott記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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