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アングル:ロシア疑惑捜査、「告発証言」引き出す腕利き抜擢
2017年6月21日 / 02:15 / 3ヶ月前

アングル:ロシア疑惑捜査、「告発証言」引き出す腕利き抜擢

 6月19日、モラー特別検察官のチームに抜擢されたベテラン連邦検察官、アンドリュー・ワイスマン氏(中央)は、昨年の米大統領選におけるトランプ陣営とロシアとの関係を探る「ロシアゲート」捜査において大いに役立つであろう能力で知られている。ヒューストンで2003年5月撮影(2017年 ロイター/Jeff Mitchell)

[19日 ロイター] - モラー特別検察官のチームに抜擢されたベテラン連邦検察官は、昨年の米大統領選におけるトランプ陣営とロシアとの関係を探る「ロシアゲート」捜査において大いに役立つであろう能力で知られている。

モラー特別検察官の捜査チームに先月参加したアンドリュー・ワイスマン氏は、友人や同僚、上司に背いて、証人になるよう説得する能力に長けているのだ。

それ以前は米司法省で刑事上の詐欺事件を担当する部署を率いていたワイスマン氏は、過去2つの任務で最もよく知られている。今はなき米エネルギー企業エンロンの不正会計事件と、ニューヨーク市ブルックリンの組織犯罪を巡る裁判における捜査だ。双方とも、証人の協力が大きな鍵となった。

多くが独自に雇った弁護士を抱えるトランプ大統領の側近から、協力を得ることは、先月17日に司法省によって任命されたモラー特別検察官にとって重要となる可能性がある。

モラー特別検察官は、特にトランプ大統領自身が司法妨害を行ったかどうかについて捜査している。トランプ大統領は、共謀、妨害いずれの嫌疑も否定している。

寝返って証人になることは、必ず成功するわけではないが、刑事訴追においてよくある戦術だ。

ビル・クリントン元大統領を捜査するケネス・スター独立検察官の後任を務めたロバート・レイ氏は、解任されたマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)がすでに弁護士を通して、自身の訴追免除と引き換えに議会での証言を申し出ていることは、証人として協力する意思を示すものとして注目している。

「手にしていないものを手に入れるため、どのような手段を持ち、適用し得るかについて、今こそ決断する時期のように私には思える」と、レイ氏はモラー特別検察官のチームについて、このように述べた。

トランプ大統領や、マイク・ペンス副大統領、そしてトランプ氏の娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問などの大統領側近はすでに自身の弁護士を雇い、拡大するモラー特別検察官による捜査と現在行われている議会による調査をうまく乗り切ろうとしている。

オバマ政権下で法律顧問を務めたキャサリン・ルエムラー氏は、証言を確保するため、ワイスマン氏は他の検察官なら取らないかもしれないリスクを取ることに前向きとの見方を示した。

ルエムラー氏は、2001年に破綻したエンロンの巨額粉飾決算を捜査する司法省のチームで、ワイスマン氏と共に働いた経験がある。

ルエムラー氏によれば、当時協力に同意せず、すでに有罪を認めていたエンロンの元財務担当ベン・グリサン被告が、証言するだろうというワイスマン氏の勘が働いたという。そこでワイスマン氏は、同被告を刑務所から大陪審に引っ張り出してきた。

<負けることを恐れない>

他の検察官であれば、グリサン被告の証言が自分たちが組み立てた事件の構図と矛盾する可能性を恐れたかもしれないと、ルエムラー氏は指摘する。だが、このエンロン元幹部が重要な証言を行ったことで、ワイスマン氏の賭けは功を奏した。

「彼(ワイスマン氏)は負けることを恐れない。これは、まれに見る資質だ」とルエムラー氏は語った。

ワイスマン氏はまた、エンロン事件で検察側の重要な証人となった同社のアンドリュー・ファストウ最高財務責任者(CFO)の弁護団との長期にわたる交渉の先頭に立ち、同じくエンロン社員だったファストウ氏の妻が不正取引で起訴されたという事実から交渉を有利に進めた。

2人とも罪を認め、ファストウ被告はエンロンのジェフリー・スキリング最高経営責任者(CEO)に不利な証言を行った。同CEOは2006年、有罪判決を受けた。

ファストウ氏はコメントを拒否。グリサン氏からもコメントを得られなかった。モラー特別検察官の代理人とトランプ大統領の弁護団もコメントを差し控えた。

ワイスマン氏の強硬姿勢は検察の越権行為につながりかねないとの批判の声も上がっていた。エンロン事件を巡る多くの有罪判決は控訴審で覆された。スキリング氏に下された24年の刑期も、のちに10年減刑されている。

エンロン事件で被告側の弁護を担当したトム・カーケンダール氏は、司法省の捜査チームは証人を脅し、法を誤って解釈したと糾弾する。

一方、同捜査チームにいた元検察官サム・ビュエル氏は、そのような批判は大事件ではつきものだと一蹴する。

モラー特別検察官はほかにも、数人のベテラン弁護士を自身の捜査チームに加えている。そのなかにはマイケル・ドリーベン訟務副長官も含まれている。

一方、トランプ大統領側もニューヨーク市の弁護士、マーク・カソウィッツ氏を筆頭に弁護団を結成している。同弁護団にはワシントンのベテラン弁護士ジョン・ダウド氏も最近加わった。

ワイスマン氏はエンロン事件を担当する以前、ニューヨーク市ブルックリンの組織犯罪局の連邦検察官を務めていた。

同氏は1997年、パートナーのジョージ・スタンボウリディス氏と共に、米国で最も有力なマフィアのボスの1人であるビンセント・「チン」・ジガンテを、裏切り者の証人のおかげで、ついに有罪判決を受けさせることに成功した。

「われわれは組織犯罪で経験を積んだ」と、現在は弁護士事務所を開業しているスタンボウリディス氏は言う。「このような裁判で立証できる唯一の方法は、人々に協力させることだ。たとえ、当局に協力しないというマフィアの沈黙のおきてが固く、手ごわくてもだ」

(Karen Freifeld記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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