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焦点:英ポンドの懸念材料、EU離脱の「硬軟」より景気停滞か
2017年6月16日 / 02:06 / 3ヶ月前

焦点:英ポンドの懸念材料、EU離脱の「硬軟」より景気停滞か

 6月14日、前週行われた英国の総選挙の結果や今後予想される政局の不透明感は、英経済や通貨ポンドにとって最悪のタイミングと言えるかもしれない。写真は2008年、1ポンド硬貨(2017年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 14日 ロイター] - 前週行われた英国の総選挙の結果や今後予想される政局の不透明感は、英経済や通貨ポンドにとって最悪のタイミングと言えるかもしれない。

ロンドン時間8日午後10時まで、前倒し総選挙に踏み切ったメイ首相の決断が英ポンドの転換点になる様子は見られなかった。

ポンドは国民投票で英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が決まった2016年6月から11月の間に20%近く下落し、海外投資家が要求する「ブレグジット・ディスカウント」もこの辺りまでとの見方が市場では多く出ていた。

しかし、メイ首相率いる保守党が過半数議席を割り込んだことを受け、ポンドは9日に2%下落、週明け12日にはさらに1%下げ、トレーダーの間では、今回の選挙がポンドにとって更なる転換点になるとの見方が出ている。

ポンドは5月半ばまでの4週間に大きく上昇したが、その後市場のポジションは逆転した。

多くのストラテジストは今回の選挙結果について、ブレグジットの形態がいっそう不透明になるだけでなく、政治的な空白によって経済活動の急速な停滞などのリスクが高まると懸念している。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの通貨担当責任者、ジェームズ・ビニー氏は「市場はまだ、ポンドの新たなリスクプレミアムを割り出そうとしているところだ」と述べ、「保守党が仮にソフトブレグジット(穏健な離脱)を支持すれば、ポンドは一見、上値を追いそうだが、経済成長の観点から状況悪化がいっそう明確になれば、一段と大幅に下落する可能性がある」との見方を示した。

<悪循環>

保守党が過半数割れとなったことで、市場関係者は政府がEU離脱方針を軟化させ、EUとの緊密な通商関係をより重視する姿勢に転換すると見込んでいる。

ただ、保守党が北アイルランドの民主統一党(DUP)との閣外協力で政権を長期的に維持できるかどうかや、EUとの2年間の交渉期間を通じてメイ氏が首相の座にとどまることができるかどうかを巡っては懐疑的な見方が強い。

英経済が下方スパイラル(悪循環)に陥りつつあるとの懸念は選挙前から浮上していた。

賃金や経済成長率が伸び悩む一方、EU離脱を決めた国民投票後のポンド安でインフレ率はイングランド銀行(BOE、中央銀行)の目標を上回る水準に上昇した。

しかし、住居費の高止まりが家計を圧迫する中、中銀はインフレに目をつぶって超緩和的な信用状況を維持せざるを得ない。

高水準のインフレと緩和政策という組み合わせは、一段のポンド安につながる。

こうした状況は、ここ10年で最も景気が好調なユーロ圏とは対照的で、ポンドはユーロに対するエクスポージャーが極めて大きくなっている。

空港の外貨両替所では既にポンド/ユーロの変換レートを1ポンド=1ユーロより低く設定しているケースも見られる。

シティのジョッシュ・オバーン氏は「ファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然としてネガティブだ。政治的な求心力低下で英国は安定性が悪化している」とし、「市場のポジションはポンドにマイナスだ。投資家は状況を見極めようとしているが、より明確になるのを待っている」と話した。

前週まではポンドに前向きな見方を示していたバークレイズは見通しを修正中で、予想を引き下げる公算が大きい。

バークレイズのストラテジスト、ハミッシュ・ペッパー氏は「(選挙)結果を受けた不透明感を踏まえると、リスクプレミアムが再び上昇しつつある」とし、「ポンドは短期的にこうした動きの影響を受けやすい」との見方を示した。

ポンドの先行きは、今後1年間に財政政策と金融政策がどう調和するかが大きな鍵となる。一部のヘッジファンドや投機筋は既に、中銀が新たな量的緩和(QE)を打ち出す可能性を視野に入れ始めている。

中銀が新たな資産買い入れを行えば、金融政策は一段と緩和的となり、ポンドにはおそらくマイナスとなるだろう。ただ、英国債は買い支えられる。

資産運用会社コロンビア・スレッドニードルのシニア金利通貨ストラテジスト、エド・アルフセイニー氏は、普通なら投資家は英国債を売り、利回り上昇と財政悪化を招くとした上で、「しかし中銀がQEを再開する機会が浮上している」と指摘。再開への敷居は非常に高く、大幅な状況悪化が必要になるとしたものの、「仮にQEが再開されれば、金利が上昇するかは不透明になる」と述べた。

(Patrick Graham記者)

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