Reuters logo
中国市場懸念で株安円高が進行:識者はこうみる
2016年1月7日 / 03:37 / 2年後

中国市場懸念で株安円高が進行:識者はこうみる

[東京 7日 ロイター] - 中国経済への不安がくすぶるなか、中国人民銀行が人民元の対ドル基準値を元安方向に設定したことを受け、国内外の株価が下落。日経平均は終値で約3カ月ぶりとなる1万8000円割れとなった。リスク回避一色となった市場で、ドルは一時117.66円まで下げ、4カ月超ぶりの安値をつけた。

 1月7日、中国経済への不安がくすぶるなか、中国人民銀行が人民元の対ドル基準値を元安方向に設定したことを受け、東京市場では株安・円高が進行した。写真は都内で昨年1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部部長 門司総一郎氏>

株安の最大の要因は中国問題とみている。中国株安と人民元の元安方向への基準値設定に市場が振り回されている印象だ。いずれも日本市場への直接的な影響はないはずだが、中国経済が実際のファンダメンタルズ以上に悪いのではという印象を抱かせた。足元で中国経済指標の一部には改善の兆しがみられるほか、政策的にも昨年末の中央経済工作会議で2016年は景気下支えに軸足を置くことが示された。財政面でのサポート余地はある。このあたりを投資家が認識すれば市場も落ち着くだろう。

12月米ISM指数が製造業、非製造業とも予想を下回り、米景気に対する懸念も出ているが、あす発表の12月米雇用統計で非農業部門就業者数が市場コンセンサス並みの前月比20万人増となれば、投資家心理も改善しそうだ。相場反転のきっかけになる可能性もある。

<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>

昨年8月のように中国リスクが再燃している。もっとも中国経済の減速は今に始まったことではない。昨年8月は米利上げ懸念、今回はサウジアラビアとイランの外交断絶や北朝鮮の核実験などの地政学リスクの高まりでリスク回避ムードが強まるなか、中国リスクが心理的なショックを与え、株売りにつながっている。

中国リスクによる株安は昨年8月に一度経験しているため、当時ほどは下げないのではないか。目先的な日経平均の下値めどは1万7500円程度とみる。もっともドル/円JPY=EBSが118円を割り込んでおり、来期業績に対する警戒感が強まりかねない。瞬間的なら構わないが、為替が同水準で定着するようだと株価も一段の下押しを余儀なくされるだろう。

<みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト 山本雅文氏>   

マーケットは不確実性を好まないが、足元で不確実要素として存在感を増しているのが人民元の下落ペースだ。   

前日は中国株価が反発したものの、中国経済指標の予想外の悪化、北朝鮮の核実験報道、原油価格の下落などに加え、人民元が大幅下落してリスク回避傾向が強まった。円とドルがともに買われたが、豪ドルなど資源国通貨の下落が大きく、ドル/円は円高圧力が勝って下押しされた。

下落ペースの強弱を見るには、人民元基準値や、より自由に取引されているオフショア人民元相場の前日比での変化率が目安になるだろう。きょうも人民元基準値の設定が前日比で昨日と同じくマイナス0.2%か、それ以上の元安水準で設定されたり、オフショア人民元が前日のマイナス1.0%の様に大幅下落すれば、ドル/円は一時的に118円割れを試す展開もありそうだ。

昨年8月に人民元基準値の決定方法変更、事実上の切り下げがあって以降、オフショア人民元に対する感応度は、マレーシアリンギ、ニュージーランド(NZ)ドル、韓国ウォン、インドネシアルピアなどが大きい。アジア地域の競争的通貨切り下げも、先行きのリスク回避要因として注意する必要があるだろう。

きょう発表の12月末時点の中国外貨準備高にも注目が集まりやすい。前月の872億ドル減に近い数字となった場合、中国からの資本流出圧力の強さとして意識され、人民元や豪ドル、ドル/円に下落圧力をかけそうだ。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏> 

中国当局が人民元安を志向している背景には、中国のセンチメント系の経済指標の悪化に象徴される景気減速の深刻化があるとみている。

前日発表された財新/マークイットによる12月の中国サービス業PMIは50.2と、好不況の分岐点の50は維持したものの、統計開始以来2番目の低水準となった。

民間企業を対象とした財新/マークイット、および国営企業が多くを占める国家統計局の製造業PMIにおいてもダウントレンドが顕著だ。さらに、需要の減退から新規貸出の伸びや社会融資総量もピークアウトしている。

以上から、中国は人民元安による景気テコ入れの強いインセンティブを有しており、資本流出懸念はあるものの、「背に腹は代えられない」状況に追い込まれていると推測される。

元安誘導の目標水準について中国が明確なターゲットを持っているか否かは現時点で不明だが、リーマン・ショック後2010年半ばまで維持していた1ドル=6.8―6.85元がオンショア人民元の目先のターゲットとなるだろう。

人民元安はリスクオフの流れを強め、円の全面高を招きやすい。人民元安が継続する環境で、ドル/円の下値めどは昨年8月24日につけた116.15円となろう。

<あおぞら銀行 市場商品部部長 諸我晃氏>

週末には米雇用統計の発表を控えている。リスク回避ムードの強い相場の中にあっては、ドル/円は下方リスクを警戒した方がよさそうだ。

本来であれば、雇用統計が強い結果となれば、米利上げ継続の思惑からドル/円上昇に寄与するはずだが、原油安や人民元安といったリスク要因が意識される足元の相場では、仮に雇用統計で強い数字が出ても一気にトレンドが変わる環境にない。

足元ではリスク回避の円買いが出やすい。国内輸出企業がドルを売り始めるとしたら、さらに下押しされるおそれもあるが、まだそういう動きにはなっていない。国内勢のドル買いがどの程度、下支えになるかがポイントになりそうだ。

ドル/円は118円を一時割れたものの、その後は下げに勢いがついておらず、明確な割り込みとはいえない。ただ、118円は昨年のレンジ下限に当たる重要な水準だ。これを明確に割り込んでくるようであれば、下値リスクが高まりやすい。目先の下値は昨年8月24日につけた116.15円となる。これを下回るようなら、心理的節目の115円が意識されるだろう。

先行き115円付近に下落するようなら、機関投資家や企業がドル/円買いを強めるだろう。日銀による追加緩和など、政策期待も出やすい。

*写真を付けて再送しました。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below