景況悪化で苦戦のゼネコン、公共工事に下支え期待

2008年 11月 12日 18:28 JST
 
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 水野 文也記者

 [東京 12日 ロイター] 大手ゼネコンの苦戦が目立っている。過去に請け負った案件が資材価格の高止まりなどで採算が厳しくなっているほか、足元の受注もここにきて落ち込む気配が出てくるなど、景況悪化のダメージを受けている状況だ。

 ただ、一方では長く低落傾向にあった公共工事の受注が上向きに転じており、今後の景気対策も合わせて収益の下支え役として期待されている。

 大手ゼネコン4社(大成建設(1801.T: 株価, ニュース, レポート)、大林組(1802.T: 株価, ニュース, レポート)、清水建設(1803.T: 株価, ニュース, レポート)、鹿島(1812.T: 株価, ニュース, レポート))は12日、そろって第2・四半期決算を発表したが、そこで各社とも厳しい状況にあることが浮き彫りになった。第2・四半期累計のセグメント別営業損益で、大成建設、鹿島は本業の建設事業で赤字となったほか、大林組と清水建設も2009年3月期の営業利益見通しの下方修正を余儀なくされている。

 背景にあるのは工事採算の悪化。急騰していた鋼材など資材価格は、直近では落ち着いてきたものの、「高止まりした状態にあり、当面は工事の利益が上がらない。2006年下半期から2007年上半期に受注した大型案件が、資材・労賃の高騰で採算が厳しくなっている」(鹿島の染谷香常務)という。

 さらに「資材費高騰や請負金増額交渉の不調で海外土木工事の採算が大幅に悪化。セグメント別の営業損益で土木工事は上場来初の赤字を計上した。マンション市況の悪化も響いている」(大成建設の富岡守経理部長)との声も出ている。

 第2・四半期累計の完成工事利益率が前年同期の5.2%から5.5%に改善した大林組でも、「立替えが多くなるなど代金の受取条件が厳しくなっている」(野間暎史副社長)と明かした。

 資材費に関しては「足元では厳しい状態が続く。鋼材価格などの低下が決算に反映されるのは来期以降になりそう」(清水建設の黒澤成吉専務)との声が出ているが、景気悪化によって工事単価も引き下げ圧力が加わるとみられることから、今後は受注額とコストのバランスをいかに取るかが重要になりそうだ。

 利益面だけではなく、先行きの収益を占う受注にも陰りが見えている。これまで収益をリードしていた民間工事が、企業の設備投資抑制などで先細る可能性が出てきたためだ。

 各社の受注動向をみると、上半期は工場建設の受注額の増加が目立ち、全体を押し上げる要因になっていたものの、「ここにきて工場関係の工事などが急激に冷え込んできた。設備投資のマインドが低下しているが、この状態が続くのではないか」(大成建設の岡本敦副社長)とみられている。上半期の国内民間の工事別受注実績で、製造業が前年比50%増、非製造業が同24.5%減だった清水建設では「下半期は製造業も減少すると想定している」(黒澤専務)という。

 ただ、受注環境は一方的に悪いわけではない。財政問題から減少傾向にあった公共工事が、土木を中心に上向きに転じている。ゼネコン各社は、細っていく公共工事を補う形で民間工事を伸ばし、収益を上げてきたものの、そうしたビジネススタイルに変化の兆しが感じられるようになった。

 各社とも09年3月期の受注予想で、官公庁向けの土木工事を大きく伸ばす。その背景として「工事の絶対数は減少しているが、道路公団の民営化に象徴されるように官公庁の効率化が進展。それとともに公共工事が大型化し、大手にとって有利と言える状況になっている」(大林組の野間副社長)ことが挙げられていた。

 公共工事の受注が増加している要因のひとつとして、総合評価落札方式の導入がある。これは従来の価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格と価格以外の要素(初期性能の維持、施工時の安全性や環境への影響)を総合的に評価する落札方式で、ノウハウや施工実績が豊富な大手ほど有利に働く。先行き景気対策も絡んで公共事業減少に歯止めがかかった場合、総合評価落札方式によって大手が受注競争が優位に立つのは想像に難くない。

 「公共工事の増加は業界として期待している。もっとも、今後の政策の行方次第でもあり、現在は具体的に話せる段階にはない」(清水建設の渡辺英人経理部長)との声も聞かれる。

 株式市場では、国内の内需拡大策による公共投資増加を期待する声が出ている一方、世界各国が景気対策を打ち出していることを踏まえ、海外進出に実績のある大手ゼネコンの活躍の場が増えるとの見方もあった。

 市場では「世界各国が財政政策を含む景気対策を行う方向であり、公共投資も含まれる可能性が大きい。ゼネコンにとってはチャンスだろう」(準大手証券エクイティ部)との声も出ている。

 (ロイター日本語ニュース 編集 山川薫)

 
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