訂正:GPIFの08年度運用利回り、自主運用開始以降で最低
[東京 1日 ロイター] 公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2008年度の市場運用利回りがマイナス10.03%になったと発表した。
2年連続のマイナスで、年金積立金の自主運用を始めた2001年度以降で最低の運用成績。世界的な金融危機を背景に、内外株価が急落したことや対ユーロなどで円高が進行したことが響いた。
GPIFは、今年3月末の運用資産額が117兆6286億円で世界最大の年金基金。このうち財投債分が25兆0888億円で、残りが市場運用分となっている。
市場運用分の08年度の総合収益額(運用手数料控除前)はマイナス9兆6670億円で、07年度(訂正)のマイナス5兆8400億円からさらに悪化し、運用利回りも07年度のマイナス6.41%に比べ悪化した。財投債を含めた運用資産全体の08年度の収益率はマイナス7.57%となった。
新規寄託金や財投債の満期償還金などから年金特別会計への納付や財政融資資金からの借入金の償還・利払いなどを差し引いた市場への新規資金配分は11兆2790億円で、このうち4兆0744億円が国内債券に充てられた。他の資産への配分は、国内株式が2兆6716億円、外国株式が3兆0336億円、外国債券が9707億円などとなった。
GPIFは、08年度の新規資金配分について「上期は国内債券を中心に配分した。下期はリーマン・ショック等による内外株価の大幅下落、対ユーロを中心にした急激な円高の進行で、基本ポートフォリオの資産構成割合から下方にカイ離した国内株式、外国株式、外国債券に市場動向を注視しつつ配分を行い、年度末においてカイ離許容幅の下で基本ポートフォリオを達成した」としている。
財投債を含めた運用資産の構成は09年3月末現在、国内債券が73.94%、国内株式9.69%、外国債券8.51%、外国株式7.72%、短期資産0.14%となった。GPIFが08度末の実現を目指してきた基本ポートフォリオは、国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%だが、国内債については上下8%、国内株は上下6%、外債と外株は上下5%のカイ離許容範囲が設けてある。確かにカイ離許容幅では基本ポートフォリオを実現したことになっているが、結果的に目標の中心値からは国内債券が大幅に上振れ、国内株式は下振れした形となっている。
GPIFの野島康一理事は記者会見で、今年度についても「この基本ポートフォリオを維持する形で運用を続ける」と語った。
08年度は単年度で大幅なマイナス運用を記録したものの、野島理事は、04年の財政再計算に基づく年金積立金の長期的な目標運用利回りである「名目賃金上昇率プラス1.1%」を直近6年間に当てはめた年率0.94%と比較すれば、GPIFの運用資産全体の名目運用利回りは年率2.00%で「目標はクリアしている」と指摘した。また、今年4─6月期の運用収益について「インデックスベースでは、08年度の9兆数千億の(マイナス分の)半分程度のプラスを取っている」と語った。
<海外年金の運用成績>
GPIFは06年度まで4年連続で運用損益がプラスだったが、07年度に5年ぶりのマイナスに落ち込み、08年度はさらに成績が悪化した。ただ、ポートフォリオに占める株式比率が高い企業年金基金の08年度運用成績はマイナス約17%と落ち込み幅がさらに大きく、国内債券比率が7割を超えるGPIFの「安全」重視の運用が危機下でのダメージを抑える役割を果たしたとも言える。
GPIFが算出した08年度の海外年金基金の運用成績では、米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)がマイナス29.1%、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)がマイナス18.6%、ノルウェー政府年金基金─グローバル(GPF─G)がマイナス9.5%で、GPIF運用資産全体のマイナス7.57%を下回る成績だった。
GPIFは2010年度以降の次期基本ポートフォリオのあり方について幅広い観点から検討を行っている。厚生労働省が5年ごとに行う公的年金の財政検証をもとに2010年度以降の予想運用利回りを年内にも決める見通しで、有識者で構成するGPIFの運用委員会がそれに対応する形で次期基本ポートフォリオを決める。昨秋以降の運用環境の激変などについても考慮されるとみられるが、次期ポートフォリオの内容について野島理事は言及を控えた。
(ロイター日本語ニュース 大林優香記者;編集 宮崎亜巳
*本文3段落目の「08年度のマイナス5兆8400億円」を「07年度のマイナス5兆8400億円」に訂正します。
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