〔株式スコープ〕新日石と新日鉱が経営統合、実需型M&Aに関心集まる契機の可能性
<東京市場・4日>
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関連銘柄 | 終値 | 前日比 | PER | PBR | 利回り |
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新日本石油(5001.T: 株価, ニュース, レポート) | 331円| +11円| ──| 0.38| 6.04|
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新日鉱HD(5016.T: 株価, ニュース, レポート) | 285円| +29円| 14.6| 0.38| 5.61|
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*PER、PBRは倍。利回りは%。PER、利回りは予想値から算出。
水野 文也記者
[東京 4日 ロイター] 新日本石油(5001.T: 株価, ニュース, レポート)と新日鉱ホールディングス(5016.T: 株価, ニュース, レポート)の
経営統合が発表され、株式市場でM&A関連に注目が集まるきっかけになりそうだとの思
惑が急浮上している。世界的な景気悪化を背景に収益の悪化に直面しているのは石油業界
ばかりでなく、幅広い分野で再編が活発化するのではないかとの見方が広がっているため
だ。これまでマーケット参加者は、ファンド筋による投機的な買収を想定しM&Aに注目
していたケースが多く、「仮需」の側面に重点が置かれていたが、今後は業界再編をにら
みつつ「実需」部分に関心が高まる可能性が出てきている。
新日石と新日鉱の統合は、足元の収益環境が厳しくなっているほか、将来的なエネルギ
ー需要の縮小懸念を考慮して踏み出したとの見方が支配的となっている。原油価格は半年
足らずでピーク時の3分の1の水準まで下落したものの、なお底打ち感はみえていない。
市場では「下げ止まりの期待材料としてOPEC(石油輸出国機構)の大幅減産があるが、
先の金融サミットではサウジアラビアがメンバーになったことで、その期待は小さいと
言わざるを得ない。世界的に石油の需要が落ち込み、代替エネルギーが広がりそうなこと
を踏まえれば、本格的な市況回復は見込みにくい状況だ」(SBIフューチャーズ・アナ
リストの鈴木孝二氏)との声も出ている。さらに在庫評価損など石油業界は、厳しい収益
環境が直面する可能性が高い。
みずほインベスターズ証券・エネルギー担当アナリストの河内宏文氏は「これまでのい
きさつから(新日石と新日鉱の)組み合わせに意外感はあるが、原油価格が下げ止まらな
い現状や将来の需要動向を考えると、統合自体はサプライズではない」と指摘。「業界で
は国内の需要先細りを以前から想定し、新日石をはじめ海外での販売拡大を積極化させた
が、それも世界的な需要減で難しくなっている状況。こうした厳しい環境の中で起きた統
合劇とみることもできる。今後も業界再編が進みそうだ」と指摘する。
厳しい業界は石油だけに限らない。日米欧などの先進地域だけではなく、新興国なども
巻き込んで世界的に景気が低迷する中、輸出型産業が大きなダメージを受けている上、日
本国内で内需刺激策を打ち出しても、人口減少時代を迎えるため需要創出にも限りがある。
「将来を見越せば、業界再編は今までに起きていても不思議ではなかった。足元が厳し
くなって再編の動きが出てきたのだろう。株価が安くなったこともそうした動きを後押し
する。今後は、国内企業の再編がテーマとして注目されそうだ」(大和証券SMBCグロ
ーバル・プロダクト企画部次長、西村由美氏)という。
西村氏が指摘するように、過去にも業界再編は景気の谷間で加速した経緯がある。80
年代後半に起きたバブルの崩壊後、「失われた10年」の局面で、多くの業界で再編が起
きた。とりわけ目立ったのが装置産業で、紙パルプ業界では、山陽国策パルプ、本州製紙、
十条製紙など名門企業の名が消滅、鉄鋼業界では川崎製鉄と日本鋼管が統合しJFEホ
ールディングス(5411.T: 株価, ニュース, レポート)が誕生した。今回の新日石にしても、三菱石油を吸収した経緯が
ある。装置産業ではないが、金融危機を背景にバブル期には13行あった都銀が3メガに
集約されたことも記憶に新しいところだ。
これらを踏まえて、株式市場では相場のテーマとしてM&A関連が再び浮上するとの見
方が増えてきた。ただ、M&A関連と言っても、金融問題が生じる以前にファンド筋のマ
ネーが席巻した時期とはイメージが異なる。市場では「ファイナンスが困難となる現状で
は、ファンドが運用を目的にするようなM&Aは衰退する一方、事業再編などを目的とし
た本来あるべき姿のM&Aが本流になる」(SMBCフレンド証券・投資情報室次長、松
野利彦氏)という分析のように、M&Aの姿は「仮需」から「実需」に色彩が変化する方
向だ。
株式市場における関連銘柄に対する評価も「景気低迷が長引く可能性が高まる中で、
(買収や経営統合で)どれだけ収益体質を強化できるかが厳しく問われる。単に規模が拡
大するだけで、シナジー効果が大きくないようでは、評価を落とすことになりそうだ」
(大手生保系投信運用担当者)との指摘もある。M&Aが本来あるべき姿となる中で「純
粋にシナジー効果を追求した前向きな統合か、パイ縮小により追い込まれて行う後ろ向き
な統合か、投資家はシビアに見極めて行く」(SMBCフレンド証券の松野氏)という。
新日石と新日鉱の統合に関しては「最初に報道に接した時点で、箱だけを整えて何をし
たいのかわからなかった。単純な規模拡大が生きる業界ではなく、具体的な方向を示すこ
とが2社に求められてくる」(みずほインベスターズ証券の河内氏)との指摘もあり、両
社の株価は、統合効果を見極めながら推移するとみられる。
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(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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