〔ファンドビュー〕セコム企業年金、オルタナティブで資産の2割運用・リスク低減で

2007年 03月 30日 19:23 JST
 
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 大林 優香記者

 [東京 30日 ロイター] セコム企業年金基金の八木博一常務理事・運用執行理事は、伝統的資産の下落リスクを限定する目的で資産の2割強をオルタナティブで運用していることを明らかにした。

 オルタナティブ比率は他の基金に比べ相対的に高いが「リスク管理が企業年金の最も重要な仕事」との考えに基づき、高リターンの追求ではなくリスク低減のために最適なオルタナティブ投資を採用しているという。

 

 新年度に向けて有望視している投資対象としては新興市場の株式と債券を挙げ、新興市場全体に投資するファンドや中国、インドなど特定地域に投資するファンドの投資ウエートを高める可能性もあると述べた。

 ただ、2月末に中国株の急落が世界同時株安を招いたように「急成長を続ける新興市場はマーケットのかく乱要因にもなる」と認識しており、リスク管理の観点からも新興市場の動向に最大の注意を払う方針。

 同常務理事が30日、ロイターとのインタビューで述べた。

  

 <リスク低減のためのオルタナティブ投資> 

 八木常務理事はセコム(9735.T: 株価, ニュース, レポート)グループの年金基金約580億円を運用している。同基金の2月末の資産構成は国内債券が9%、国内株式が27.5%、外国債券が19.2%、外国株式が10.6%、オルタナティブが22.3%で残りは短期資産。

 大和総研によると、国内企業年金のポートフォリオに占めるオルタナティブ比率は平均1割以下で、米国の年金でも1─2割にとどまっていることから、同基金のオルタナティブに対する取り組みは積極的と言える。

 

 ただ、八木常務理事はオルタナティブの活用目的は「収益を取ることより、リスクを抑えること」と強調する。同常務理事によると、セコム企業年金が他の国内基金と異なるのは「基本資産の配分を示さずに運営するため、時として大きくアロケーションが変わる」点だ。

 国内の伝統的な企業年金は基本の資産配分を決め、その配分と実際の運用の乖離を管理するアプローチを取っているのに対し、セコムは投資対象の商品や資産クラスの動向を見ながら「ダウンサイドにずれ込むリスクを管理するアプローチを取っている」という。

 

 2001年頃に為替のヘッジファンドを採用したのが同基金のオルタナティブ投資の始まり。その後、徐々にヘッジファンドを増やしたが、その後は資産分散を図るためにクレジット投資、不動産投資信託(REIT)、新興国投資などを取り込んだ。

 2月末時点のオルタナティブ投資の内訳はイベントドリブンを含むヘッジファンドが約3割、新興市場の株と債券が約3割、クレジット投資が約2割などで、日本を除く世界のREITや国内のプライベート・エクイティ(PE)も2─3%程度組み込んでいる。

 国内機関投資家に人気のあるファンド・オブ・ヘッジファンズはほとんど採用しておらず、リスク特性を見極めたうえでシングルファンドに投資している。海外で急成長しているPEについては「流動性が低いため今後も投資する気はない」(八木常務理事)。

 

 <新興市場を有望視>

 

 セコム企業年金の今年度の運用利回りは2月末時点で8.4%。格付投資情報センターの「年金情報」誌によると同期間の国内年金のリターン(年金のインデックス上昇率)は4.89%。

 運用成績が好調だったのは「オルタナティブによる分散効果のほか、2月中旬に先進国通貨ベースの運用をフルヘッジに切り替えたことも奏功したため」(同常務理事)。

 

 同常務理事は新年度については新興市場を魅力的な投資対象とみている。同基金は中国、インド、東南アジア地域に投資するファンドにも投資している。

 一方で警戒感もある。新興市場の高成長は資源価格の高騰をもたらすなど世界の市場へ波及効果が大きいためだ。中国やインドについては先進国のような経済統計が整備されていないため「今は目隠しをして景況感だけで資金が流入している」状況で、今後公表される新たな統計情報などに注目したいという。

 
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