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コラム:3月米利上げ、イメージトレーニングのすすめ
2016年3月3日 / 08:43 / 2年前

コラム:3月米利上げ、イメージトレーニングのすすめ

[東京 3日 ロイター] - 多くの市場関係者は「荒唐無稽(こうとうむけい)」と思うだろうが、最近の米連邦準備理事会(FRB)幹部の発言や経済データを見ていると、3月の米利上げの可能性がゼロとは言えなくなってきたと考える。

 3月3日、多くの市場関係者は「荒唐無稽(こうとうむけい)」と思うだろうが、最近の米連邦準備理事会(FRB)幹部の発言や経済データを見ていると、3月の米利上げの可能性がゼロとは言えなくなってきたと考える。写真はイエレンFRB議長。2月撮影(2016年 ロイター/Carlos Barria)

市場は余りにも無警戒であり、もし、利上げがあった場合の市場変動の可能性について「イメージトレーニング」を行う必要がある。日本にとって最悪のシナリオは、リスクオフになって円高が急進展することだ。

<重視すべきSF地区連銀総裁の発言>

イエレンFRB議長の心情を代弁する役割を担っていると、FEDウオッチャーが注目している幹部がいる。サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁だ。今月2日、同総裁は2016年に何回利上げすべきかということに対する考え方に変更はないとの見解を示した。

昨年12月に16年の利上げ回数は4回になるとの見通しを示したウィリアム総裁だが、1月、2月の市場変動を経ても、4回利上げの見通しに変更がないと2月18日に続いて繰り返した点を軽視してはいけないだろう。  

また、FRB内で大きな影響力を持つフィッシャー副議長は2月23日、最近の世界的な金融市場変動が米経済に大きな影響を与えるかどうかを判断するのは「時期尚早」と発言。合わせて「同様の不安定な動きはここ数年にもあったが、米経済への影響はほとんどみられていない」とも述べている。

<上がってきたコアPCE指数>

一方、FRBが物価動向を判断する指標として重視している食品とエネルギーを除いた個人消費支出指数(コアPCE指数)は、1月に前年比プラス1.7%となり、14年7月以来の大幅上昇となった。

FRBが目標としている2%にようやく接近してきたことで、一部のFEDウォッチャーは、3月利上げのハードルが下がってきたとみている。

また、1月米雇用統計では、失業率が08年2月以来の4.9%まで低下。2月雇用統計を占う材料として注目されている2月ADP民間雇用者数は21万4000人増となり、市場予想の19万人増を上回った。

さらに米アトランタ地区連銀が発表しているGDPNowでは、GDP全体が前年比プラス1.9%、個人消費が同3.1%となっている。

注目される経済指標は着実に好転し、FRB幹部の発言をみても、否定的なコメントばかりが並んでいるわけではないのに、3月利上げの可能性は「ゼロ」とどうして断定することができるのか──。

マーケットが無警戒である時は、政策変更後の市場変動は大きくなりやすい。そこで仮に3月利上げがあった場合、どのような影響が市場に出るのか予測してみた。

<利上げ時のポイントは米株動向>

直後の反応は、ドル高/円安方向に為替がシフトすることだろう。しかし、その動きが長続きするとは限らない。

まず、カギを握るのは、ダウ.DJIを初めとする米株の動向だ。マーケットが不意を突かれ、動揺して急落するようなら、市場全体にリスクオフ・ムードが広がることになる。

その結果、ドル高/円安だったドル/円も、一転してドル安/円高に動く可能性が出てくる。安全資産への逃避が加速し、米・独・日の国債が買われ、日本の長期金利のマイナス幅が深くなる展開も十分にありえる。

また、中期的には新興国から米国への資金流出が急速に拡大。新興国の通貨安と株安の連鎖が起きるリスクが高まると予想される。

2月26、27日の20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議以降、安定してきていた中国人民元と中国株の動向に市場の目が集まることも十分にありえる。

<原油下落に転じれば、リスクオフに拍車>

さらに重要なのは、原油価格の動向だ。G20をはさんで原油価格が持ち直し、米原油先物が1バレル34ドル台まで上昇してきたことが、世界的な株価復調の原動力だった。

しかし、米利上げを機に中国など新興国の不安が蒸し返されると、需要面から原油下落圧力が増幅され、原油下落─株価下落というルートで、リスクオフ・ムードが強まる懸念も出てくる。

これまで述べてきたことは、実現可能性が低いテールリスクだと言える。だが、どんなリスクも、発生可能性がゼロではないだろう。

古今東西の戦史を振り返ってみると、壊滅的な打撃を被った側に共通しているのは「このルートで敵は来ないはず」「この時期の敵襲はありえない」という勝手な想定の存在だった。源平合戦では、一ノ谷の平家軍が、鵯越(ひよどりごえ)のルートを取った源氏軍に大敗した。

現在の市場を見ていると「3月の米利上げはあり得ない」という声で満ちている。本当にあり得ないのかどうか──。冷静かつ合理的に再検討してみても、いいのではないか。

●背景となるニュース

・今年の米利上げ回数、自身の見通し変えず=SF連銀総裁 [nL3N16A4XP]

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