ゲイツ会長が去るマイクロソフト、未来はバルマーCEOの双肩に
[シアトル 24日 ロイター] ソフトウエア産業で一時代を築いてきた米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)のビル・ゲイツ会長がまもなく退任し、経営トップの座から退く。米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)などライバル企業との競合激化で困難な時期を迎えている今、マイクロソフトの未来はスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の双肩に重くのしかかる。
マクアダムス・ライト・レーゲンのアナリスト、シド・パラク氏は「マイクロソフトはオンライン事業を整えるためだけでなく、他の分野での革新を起こすためにも、組織内での何か根本的な変化を考えなくてはならない」と指摘する。
バルマーCEOはインターネット分野での新たな競合を意識し、マイクロソフト史上で最も大胆な戦略の1つとなる米ヤフー(YHOO.O: 株価, 企業情報, レポート)に対する総額475億ドル(約5兆1300億円)での買収提案を行った。同提案は最終的に合意に至らず、インターネット事業でマイクロソフトに足りない部分が浮き彫りとなり、成長分野であるネット広告事業でグーグルにさらに水をあけられるリスクも明白になった。
同CEOが入社した1980年には従業員数30人だったマイクロソフトは、現在では約9万人を抱える。アナリストらは、同社の官僚主義が革新を阻害しており、ライバルに遅れを取らないためのスピード感も十分ではないと指摘している。
イーグル・ハーバー・アセット・マネジメントのディレクターは「マイクロソフトはそれほど革新的なものは何も考え出しておらず、何年にもわたって多くの企業を買収してきたが、内部からは何も出てきていない」と厳しい。マイクロソフトにとって状況が一層難しくなっているのは、新たなライバル企業たちが旧来のルールを変えてしまっていることだ。
マイクロソフトがソフトのライセンス料を収益の柱とし、数年ごとにユーザーに新バージョンへのアップグレードを求めてきた一方、ライバル企業はソフトをネット上のサービスとして提供し、月額使用料や広告収入などでもうけるビジネスモデルを採用している。
<この先の変化はあるのか>
ゲイツ氏はマイクロソフトの会長職を退任後、慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」に活動の場を移すが、今後もウェブサーチなど特別プロジェクトには週1日ぺースで参画することになる。
独立系調査会社ディレクションズ・オン・マイクロソフトのディレクター、ロブ・ヘルム氏は、ゲイツ会長の退任が同社の方向性に大きな変化をもたらすことはないと指摘。「ビル(ゲイツ会長)とスティーブ(バルマーCEO)は、特に投資家の観点からは総じて会社の戦略について意見が一致している」と述べた。
ゲイツ会長とバルマーCEOの2人は、マイクロソフトの最大の株主でもある。同社の株式をゲイツ氏が約9%、バルマー氏が約4.4%保有している。
バルマー氏がCEOに就任して以降、マイクロソフトはウィンドウズとオフィスの圧倒的な市場シェアを何とか守りつつ、サーバー事業を拡大し、Xboxで家庭用ゲーム機事業にも参入した。2001年度に250億ドルだった売上高は今期670億ドルになると予想されており、アナリストらの試算では、今期純利益は当時の約3倍となる210億ドルが見込まれている。一方、業績に反して株価はさえない。ゲイツ氏がCEOを退いた2000年以降、マイクロソフトの株価は52%下落。同時期のナスダック総合を42%、S&P総合500指数を11%アンダーパフォームしている。
(ロイター日本語ニュース 原文:Daisuke Wakabayashi、翻訳:宮井伸明)
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