東芝に増資観測、自己資本回復と株下落リスクで難しいかじ取り
[東京 17日 ロイター] 東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)が大規模な増資に踏み切るとの観測が資本市場で浮上している。新株発行による財務基盤の強化に踏み込むとの見方が出ている。
半導体不況の直撃により2009年3月期は巨額赤字を計上し、自己資本が大きくき損しかねない見通しの上に、株式市況の悪化を背景にした年金利回り低下や繰延税金資産取り崩しなどの懸念も台頭。
ただ、市場環境が悪化している中での株式希薄化は株価の急落を招くリスクがあり、東芝の経営陣は難しいかじ取りを迫られる事態に直面しそうだ。
東芝の自己資本比率は08年3月末に17.2%だったが、半導体不況を受けた業績悪化で同年12月末は11.9%に低下した。電機大手の12月末時点の自己資本比率は日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)が17.4%、NEC(6701.T: 株価, ニュース, レポート)が24.0%、富士通(6702.T: 株価, ニュース, レポート)が24.3%、三菱電機(6503.T: 株価, ニュース, レポート)は26.3%となっており、東芝の財務のぜい弱性が目立っている。東芝は1月末、09年3月期に2800億円の最終赤字とする業績予想の修正を発表。巨額赤字が自己資本を大きくき損し、09年3月末には10%を割り込みかねない状態に追い込まれている。
自己資本比率が低下すれば、金融機関からの融資や起債など資金調達面で不利となり、経営の機動性が損なわれる。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やムーディーズは、東芝の業績予想・下方修正を受け、格付けの見直しを表明。ゴールドマン・サックス証券の松橋郁夫アナリストは「財務建て直しが急務で、エクイティファイナンスが必要になる」と、増資の可能性を指摘。「5000億円確保したいところだが、現実路線として2000─3000億の増資をした上で、他の手立ても打つということになるのではないか」と分析する。
<時間がかかる「収益の積み上げ」>
ただ、S&Pの小林修主席アナリストは、一般論として「増資による資本の強化は信用力上はプラスなので格付けの下落に歯止めがかかるケースもあるかもしれないが、それだけでは格付けの向上にはつながらない」と話す。継続的な収益性確保と、これによる財務体質の改善が、格付け向上の王道となる。
東芝は10年3月期の黒字化を目指す考えを示している。東芝の村岡富美雄専務は1月末の決算会見で「事業体質の改革を着実に実行していくことで利益、自己資本の積み上げをまずやる」との姿勢を強調。西田社長は、不振の半導体・液晶事業の構造改革や08年度比で固定費の3000億円削減、発電施設を手がける社会インフラ事業の強化などを通じ「(赤字となった)08年度の売上高でも利益を生み出せる体質を作る」と述べた。 続く...


