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「先取点」狙いの利益確定、新年度初日も国内勢は株売り
2013年4月1日 / 06:03 / 4年前

「先取点」狙いの利益確定、新年度初日も国内勢は株売り

4月1日、名実ともに新年度入りした国内マーケットでは利益確定売りが先行している。写真は都内の外為トレーダー。2008年10月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 1日 ロイター] 名実ともに新年度入りした国内マーケットでは利益確定売りが先行している。「安倍相場」の継続期待は根強いものの、株価などが高いうちに利益を確定し、「先取点」を上げておくことで今年度の運用を楽に進めたいとのインセンティブがポートフォリオマネジャーなどに働いているという。

欧米市場の休日で海外勢の押し目買いが鈍いことも、株価の下げ幅を大きくしている要因だ。

<サラリーマン的なインセンティブ>

新年度初日、国内機関投資家は日本株の利益確定売りから入ってきた。「安倍相場」が始まって以来、国内機関投資家は売り越しを継続しており、生損保や銀行など金融機関だけで約3.7兆円、日本株を売っている。新年度入りすれば、国内機関投資家は買いを増やさずとも売りは減らすだろうとの期待もあったが、初日に関しては見事に裏切られた格好だ。

前場の日経平均.N225は反落。東証1部の値下がり銘柄数は1500を超え、ほぼ全面安商状となった。前週末の米国株市場が休場だったほか、週明けも欧州主要市場がイースターマンデー(復活祭後の月曜日)の祝日となることで、株式市場では押し目を買う海外勢の動きが鈍いことも下げ幅を大きくした要因だ。

予想が外れた要因はポートフォリオマネジャー特有の心理にある。彼らの「成績表」は新年度に入れば通常リセットされる。新規マネーを投資して先行きの相場に備えるよりも、まず利益を早く上げておきたいという心理が働くという。

3月末までにTOPIX.TOPXは昨年11月半ばから43%上昇、12月末からでも20%上昇している。「野球で先取点を取れば後の展開が楽になるように、株価が高いうちに新年度の最初に利益確定売りで利益を出しておき、後の運用を楽にしたいというサラリーマン的なインセンティブが働いたようだ」(準大手証券)とみられている。

円債市場でも利益確定売りの動きが強まった。期末にかけて大きく買われてきた長期・超長期ゾーンを中心に金利が上昇。10年債は0.590%と3月21日以来の水準、20年債も1.450%と3月27日以来の水準に上昇した。

10年国債は昨年11月半ば以降から3月末まで約0.2%金利が低下。国債を100億円保有していれば2億円近い評価益が出る計算だ。りそな銀行の総合資金部チーフストラテジスト、高梨彰氏は「日銀の金融緩和は相当程度マーケットに織り込まれている。実際に発表されたときにどれだけ好意的にみられるかは微妙だ。一寸先は闇であり、利益を出せる時に確定させるのがポートフォリオマネジャーなどのセオリーだ」と述べる。

<アベノミクスに懐疑的な国内勢>

急いで利益確定に動いた国内勢の心理には、欧州問題や中国など新興国経済への不安のほか、「アベノミクス」への根強い懐疑心もあるという。

きょう発表された3月日銀短観で企業の2013年度の想定為替レートは85.22円だった。2011年6月調査における2010年度実績以来の円安水準となったが、現在の94円付近と比べてかなり円高だ。市場では「80円台後半とみていたが、かなり慎重だ。アベノミクスの効果を国内の企業や機関投資家はまだ信じていないのではないか」(国内銀行)と声が聞かれる。

岩井コスモ証券の投資調査部副部長、清水三津雄氏は「社会保障制度改革やアベノミクス『第3の矢』である成長戦略はこれから。海外勢とは対照的に国内勢にはアベノミクスに対する懐疑心が根強いようだ。先行きよりも利益が乗っている足元をみた投資行動となっている」と指摘する。

ただ、実態に比べてマーケットが先行するのはいつものことだ。失望リスクはつきまとうものの、時間がかかっても円安トレンドが定着し、環太平洋連携協定(TPP)の交渉が開始されれば、日本全体の変革につながるとの期待もある。「相場観とは異なった事情での商いがこの時期は出やすい。きょう1日で今年度は占えない」(りそな銀行の高梨氏)という。

T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は、いわゆる失われた20年は我慢や耐えることばかりで、日本はほとんど動かなかったと指摘。「これまでは円安局面が来てもすぐに円高が再来するとの恐れが常につきまとっていた。今回、円安トレンドが続くとの見通しが強まれば、輸出企業の行動が変わってくるかもしれない。TPPもプラス面だけでなくマイナス面も明らかになれば、日本は経済構造を変えるために動かざるを得なくなる」と話している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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