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焦点:東京プロボンド1号に堅調な需要、インデックス組入がカギ
2012年4月10日 / 09:52 / 5年前

焦点:東京プロボンド1号に堅調な需要、インデックス組入がカギ

4月10日、TOKYO AIM取引所が昨年5月に開設したプロ向け債券市場「TOKYO PRO─BOND Market(東京プロボンド市場)」がようやく始動した。写真は2010年8月、都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 10日 ロイター] TOKYO AIM取引所が昨年5月に開設したプロ向け債券市場「TOKYO PRO─BOND Market(東京プロボンド市場)」がようやく始動した。

第1号となったのは、オランダのING銀行債。運用難のなか投資家から堅調な需要があり発行額は507億円と、国内公募普通社債(SB)などと比べても大きな規模となった。一方で、さらなる投資家の裾野拡大には、野村BPI(債券インデックス)に組み入れられるかがカギを握るとみられている。

<ING銀行債の販売件数、重複分を加味しても30─40件に>

507億円という発行額について、市場では「投資家からの需要が想定以上に積み上がり、起債は成功したと言えるのではないか」(アナリスト)との評価が多い。主幹事によると、主な販売先は大手銀行、系統上部、保険会社、投信投資顧問、地銀、信金、外国人だった。金額では中央投資家、件数では地方投資家が多く、販売件数は重複を加味しても30─40件に達したという。

投資家はかなりの運用難に直面している。堅調な需要となった理由は、スプレッドがLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)プラス100ベーシスポイント(bp)という高い水準に決まったことにある。足元の社債スプレッドはつぶれ、個人向けに販売するオリックス(8591.T)5年債でもLIBORプラス55bpに過ぎない。ING銀行債には譲渡制限があり、特定投資家や非居住者特定に限定されるものの、「流動性の低さを補うには一定のプレミアムが必要だが、今回債のスプレッドは他の債券と比べて相対的に厚みがある」(市場筋)とみられている。

さらに投資家は、エルピーダメモリの破綻、日本板硝子(5202.T)の業績悪化に伴う大幅な格下げの影響で、低格付け債の信用リスクに対して敏感になっている。

市場では「政府保証債や地方債など安全な投資先ばかりに傾斜すれば運用益を向上させるのは難しい。スプレッドに厚みのある投資先を求めた運用資金が、こうした新規市場に流入する可能性は十分にあるのではないか」(別のアナリスト)との指摘が出ている。

<発行体に手続き面・コスト面でメリット>

東京プロボンド市場は2011年5月に開設した。特長は、プログラム上場や英文での情報開示を導入するなど手続き面の簡便性や弁護士費用の安さなどコスト面での優位性があること。「とりわけ、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート(MTN)プログラムを持っている海外発行体にとってユーロ円債を発行するのとほとんど手続きは変わらない。資金調達の選択肢が広がるメリットがある」(銀行系証券)という。

公募サムライ債(円建て外債)との棲み分けについても、ある銀行系証券の起債関係者は「継続開示している発行体にとってはそのままサムライ債を選択する可能性があるが、サムライ債を発行しないで機動性を重視してユーロ円債を発行してきた発行体にとって、このマーケットは活用しやすい」とみている。

しかしながら初起債は開設から約1年後となった。第1号案件の登場までに時間を要したのは、ギリシャなど欧州債務不安から起債環境に不透明感が強まり、発行体があえて新設の市場で起債に踏み切る余裕がなかったことが挙げられる。国内投資家も東日本大震災の影響から、新設市場を活用した社債運用のメリットを見出せるのか否か見極めがつかず、早期参入のインセンティブが働きにくい面があった。

<購入に慎重な機関投資家も>

一方、今回、購入に慎重だったある大手機関投資家は、「この市場に参加を決めるだけの決定的な理由が乏しかった。第1号案件の結果を見て、第2号案件以降から参入しても遅くはない」と話す。取引がプロの機関投資家に限定されるため、公募債に比べて流動性が劣ること、公募債でないと購入できないなど社内ルールがあること、投資家が運用する際の目安としている野村BPIの対象外であること──などが参入障壁になったという。

とはいえ、第1号案件が成功したことで、「急速には広がりはしないものの、この市場は徐々に認知されるのではないか」(銀行系証券)との見方も出ている。野村BPIの対象となれば、風向きが大きく変わる可能性もある。

(ロイターニュース 片山直幸 寺脇麻理 編集;伊賀大記)

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